利益が大きく取れるトレンド相場への関心が高い人は多いですが、トレンドのない場面には興味を示さない人もいるのではないでしょうか？ トレンドで利益を丸ごと取るためには、トレンドが発生していない中間波動といわれる局面を制する必要があります。ここでは、そんな中間波動の攻略方法を神藤将男さんに教えていただきます。
皆さん、こんにちは。前回は水平線を引いてシナリオを考えることの重要性をお伝えしました。トレードにおいて上がるか下がるかといった予想はしません。なぜなら、予想をして思い込みが強くなればなるほど、相場が逆方向に動いたときに対応が遅くなるからです。だからこそ、シナリオが重要になってくるのです。
前回は水平線だけを入れてシナリオを考えましたが、今回は水平線にトレンドラインを追加していきます。水平線とトレンドラインを引くことで、徐々に分析が高度になっていきますので楽しみにしていてください。
トレンドラインとは
トレンドラインは、相場の流れを確認するためのものです。トレンドラインを引くことで、チャートがどこに向かっているかのヒントを得ることができます。
水平線では、主な高値や安値に線を引いて抵抗線や支持線を確認しました。トレンドラインも主な高値や安値を探すところは水平線と同じですが、線を水平に引くのではなくチャートの流れに沿って自由に引いていきます。ですから、右肩上がりの線になったり、右肩下がりの線になったりします。
トレンドラインをなぜ引くのか？
相場はトレンド相場とトレンドのない中間波動の二つに分かれます。そして、私は中間波動を研究しているわけですが、中間波動においてもトレンド相場においてもマーケットに参加している人たちがどの価格を意識しているのかを理解することが重要だと感じています。
水平線を引くことで主な高値や安値の確認ができるようになりますが、それ以外に相場の方向性や強弱も重要であり、その流れにおいてどの価格が意識されているかを浮き彫りにしていく必要があります。
トレンドラインを引き、チャートの強弱を「呼吸」として捉えていくと、その呼吸が穏やかなのか激しいのかが読み解け、なおかつどの価格が意識されているかも見えてきます。それらを確認するためにトレンドラインを引くのです。
どのように引くのか
それでは、チャート上にトレンドラインを引いてみましょう。チャートの呼吸に意識を向けると、相場の流れが見えてきます。流れが上昇しているのであれば、主な安値とその次の安値というように順番に結んでラインを引きます。また、流れが下降しているのであれば上昇のときとは逆で、高値と高値を結んでいきます（図①）。これが中間波動であれば高値と安値の両方にラインを引くことになります。
トレンドラインの考え方とは
トレンドラインはチャートの流れを読み解くために引いていきます。そうすることで、上昇トレンドなのか、下降トレンドなのかが分かります。さらに、そのトレンドの大小や強弱も分かります。もちろん、中間波動になっていることも分かります。そして、上昇相場のトレンドラインを価格が下抜けてくると、流れに変化が起きる可能性が高まります。反対に、下降相場のトレンドラインを価格が上抜けた場合も、その流れに変化が起きる可能性が高まります（チャート①）。
ここで非常に重要で絶対に意識してもらいたいことをお伝えします。それは、トレンドラインの上抜けや下抜けはそれぞれ買いサインや売りサインですが、「上抜け＝買い」「下抜け＝売り」と考えるのは初心者の考え方であるということです。
上級者は、上抜けしたら買いの、下抜けしたら売りのチャンスになるかもしれないので検証をしようと考えます。この検証というひと手間を惜しまないのが上級者の考え方なのです。トレンドラインは難しいとかダマシが多いという声も聞こえてきますが、それは検証をされていないからかもしれません。
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シナリオを考える
水平線だけでなくトレンドラインも追加することで、さらに細かいシナリオを作成できるようになります。そして、より綿密な準備ができます。この綿密な準備が、トレードの成果に大きく関わってくる大事なところです。
なぜかというと、上下の水平線を更新するには値幅があり、それまで待っていては大きなチャンスを逃してしまうという局面において、トレンドラインを入れることでそれよりも早く変化を察知できるようになるからです。
具体的にどのような変化を察知し、どのようなシナリオが考えられるかについては、次回に解説いたします。徐々にレベルが上がってきましたが、まだまだ基本的なことです。この基本を表面上だけ理解するのではなく、一歩踏み込んだ奥深いところまで感じ取ってもらいたいです。
※この記事は、FX攻略.com2020年6月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
※当連載で使用している「中間波動」は、「一目均衡表」における中間波動とは一切関係ございません。
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