【来週の米ドル/円予想レンジ】→ 107.20-110.85
「内需を腰折れさせかねない消費税率の引上げは延期すべきである。そう判断致しました」-。これは安倍首相による6/1の表明である。これを以て消費税率10%への引き上げは2019年10月に延期された。首相は自らの判断是非は「参院選で信を問う」としている。
信を問われて困惑する日銀
安倍首相は5/26-27のG7伊勢志摩サミットで世界経済減速懸念を示した。「最悪の場合、再びデフレのトンネルへと逆戻りするリスクがある」とも語っている。そこで、総合的且つ大胆な経済対策は今秋に講じるとし、6/2の政府閣議では骨太方針・一億総活躍プランを決定した。しかし、市場反応は鈍い。
それは政府と日銀の策が左右に拡がる“鶴翼の陣”を期待していた反動なのかもしれない。仮に“日銀黒田節・朱槍の単騎駆け”がなされた場合でも懸念を感じる。
それは、4/28“日銀追加緩和見送り” 後の会見で黒田総裁は「基調としては緩やかな回復を続けている」「2%の物価安定の目標は十分達成できる」とした従前の考えを堅持し、マイナス金利の効果を当面見極める覚悟を示していた点だ。
しかし、6/8の1-3月期GDP改定値が上方修正となった場合は、6/16の日銀会合ではどのような対話を示すのか。政治を慮る一方で、過去策との矛盾が突かれる可能性がある。
市場はドルに「信を問う」
5/27に米複数報道が「Janet Yellen says rate hike ‘appropriate’ soon」「Fed chief Janet Yellen says interest rates will rise ‘in coming months」など米景気回復に伴ってイエレンFRB議長が利上げ時期を探っていると伝えた(この報自体、安倍首相の世界経済減速懸念と一線を画しているが・・)。
しかし6/2にタルーロFRB理事は英のEU離脱問題は米利上げ判断の要素とした見解を示した。ポイントは一点。6/23英国民投票を控え、過去、幾度となく慎重な政策運営をしてきたイエレン議長が6/15のFOMCで“今、利上げをせざるを得ない状況”、と考えるのだろうか、である。(筆者は懐疑的だ。)
米ドル/円見通し
上値焦点は日足一目均衡表雲の帯(108.90-110.35)と6/1高値110.85。下値焦点は5/13-16安値圏108.47-50、5/10-11-12安値圏108.22-26-30維持。
2012年11月(アベノミクス登場)の80円と高値125円台示現後に黒田日銀総裁が「実質実効為替レートが更に円安になるのはありそうにない(2015/06/10)」と発言してからの38.2%戻し(フィボナッチ)≒107.81、5/9安値107.18を留意している。
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