女優・投資家である陽和ななみさんがトレード成績向上を目指してFXのスペシャリスト山中康司さんからFXで利益を出すために必要な全てを皆さんと共に学んでいきます。今回もテクニカル分析の基礎について教えていただきます。
サブチャートを使った分析を紹介
陽和 今回はサブチャートの指標について学んでいきます。山中先生よろしくお願いします。
山中 サブチャートに出す指標はさまざまですが、今回はRSI、ストキャスティクス、ADXの三つを説明していきます。オシレーター系のテクニカル指標は、通常はメインチャートの下に独立して表示します。目盛りは0~100、あるいは中心がゼロのように価格とは異なった目盛りを持つものが多いです。
RSIを使ったゾーン・エグジット
RSIは、米国のJ・W・ワイルダー氏が作ったテクニカル指標です。オシレーター系の指標の一つに、前日と比較して上がったか下がったかだけを見るサイコロジカルラインがありますが、その指標には値幅が考慮されていません。
陽和 上がるにしても、その値幅によって全く意味が違ってきますよね。
山中 そこで、サイコロジカルラインに上昇、下降の変動幅を考慮したものがRSIです。0~100の中で70~80付近まで上がると買われすぎ、20~30くらいまで下がると売られすぎという見方をします。他にも中央の50ラインを上抜け、下抜けで順張りに使う、2本のRSIのクロスや乖離を使う、あるいはダイバージェンスを見るなどの手法があります。今回は「ゾーン・エグジット」について説明します。
陽和 買われすぎ、売られすぎのゾーンからエントリーと決済のポイントを探す方法ですね。
山中 例えば、25以下を売られすぎ、75以上を買われすぎのゾーンとします(図①)。ゾーンに突入した四角の部分を「ゾーン・エントリー」といいます。ただし、ゾーン・エントリーだけでは良いポイントは見つかりません。
陽和 売られすぎのゾーンに入ってから、ずっとさまよう場合もありますよね。
山中 そこで、売られすぎ(買われすぎ)のゾーンを出ていく丸印の部分に注目しましょう。もちろんダマシもありますが、一番ダマシが少なく、かつ使い勝手が良いのがこのゾーン・エグジットです。買われすぎゾーン、売られすぎゾーンといっても範囲が広く分からないので、そこから抜け出る部分に着目することでポイントを絞ります。
今回はRSIだけの解説ですが、前回説明したメインチャートに表示する指標とも組み合わせながら、相場状況やテクニカル指標の特徴を把握して、自分に合ったトレード環境を考えてみましょう。
陽和 自分で組み合わせを見つけることは重要ですね。
山中 そしてRSIに限らず、オシレーター系の指標を使うときはこのゾーン・エグジットが重要です。頭に入れておきましょう。
ストキャスティクスのダイバージェンス
山中 次にストキャスティクスです。%K、%Dと呼ばれる線を使ったファストストキャスティクス、スローストキャスティクスといろいろあります。ストキャスティクスで線が2本あれば、%Kを短期線、%Dを長期線として、%Kと%Dがゴールデンクロス(GC)したら買い、デッドクロス(DC)で売りという使い方が一般的です。ここではさらに、ダイバージェンスについて説明していきます。
陽和 ダイバージェンスとはどのようなものですか?
山中 日本語にすると「乖離」です。ななみんはMACDを使っていますが、MACDのDがダイバージェンスを意味しています。
陽和 Dはダイバージェンスのことだったんですね。
山中 ここでは価格とストキャスティクスが乖離していることをいいます。ダイバージェンスという言葉はいろいろなところで使われています。例えば、日経平均が下がってTOPIXが上がっている状態のことを市場間ダイバージェンスと呼びます。要するに、二つを比べたときに違う動きをしていることを意味しています。ストキャスティクスの%Dにおけるダイバージェンスの見つけ方は、画像①のようになります。これを読んで理解するのはさすがに難しいですよね(笑)
陽和 なんか早口言葉みたいです。
山中 図にすると分かりやすいです(図②)。ダイバージェンスには隠れたダイバージェンスというものもありますが、単純に買いと売りのダイバージェンスと覚えてください。買いのダイバージェンスは図②の左二つになります。売りのダイバージェンスが右の二つです。ダイバージェンスは、まず価格を見るのではなく指標の方から見ます。指標と価格にそれぞれサポートラインを引いてダイバージェンスが発生していれば買いになります。反対にレジスタンスラインを引いて指標と価格のダイバージェンスが発生している場合は売りになります。指標と価格は連動しているのが普通で、ダイバージェンスが起きている状態はねじれ現象です。例えば、チャート①を見ると5月後半から6月にかけての%Dに引いたサポートラインが上がっています。
陽和 この部分に相当するローソク足のサポートラインは下がっていますね。
山中 これは買いのダイバージェンスなので買いになります。この考え方はストキャスティクスだけでなく、RSIなどのいわゆるオシレーター系全般に使うことができます。覚えておくと、さまざまな場面で応用ができますので後で役に立ちます。注意点として、ダイバージェンスは基本的に逆張り系の考え方なのであまり長期目線で見ない方が良いですね。
陽和 短期売買で活用した方が良いということですか?
山中 そうですね。ストキャスティクスではその方が使い勝手が良いと思います。ただし、ダイバージェンスは見つけにくいので、多くのチャートを見て慣れてください。
陽和 練習あるのみですね。
ADXを使いこなす
山中 最後にADXです。ディレクショナル・ムーブメント・インデックス(DMI)という指標があり、+DIと-DIが判断の基準になりますが、それよりも大事なのがADXです(画像②)。テクニカル指標は売買を判断するのは得意ですが、もみ合いや過熱感を判断するのは苦手です。これを判断するための指標がADXです。
ADXは大体0~70の間を動きます。日足で50を超えてくると注意が必要で、60を超えれば行きすぎで要注意ですね。価格の上下とADXの上下は全く関係ありません。トレンドが出ていない、もみ合いの状態になってくるとADXが下がっていきます。また、15以下の低い位置にあればトレンドがない状態と判断できます。一方で、ADXの上昇はトレンドを表します。過熱しているときを除いて20~50へ上がっているときは押し目買いや戻り売りが狙えるので、売買的なシグナルが出る他の指標と相性が良くなります。チャート②で確認してみましょう。+DIが緑の線、-DIが赤の線、ADXが青の線になります。
陽和 このチャートでは、7月はずっとADXが下がっているので、またもみ合いになっていますね。
山中 8月に入ると少し上がって、下降トレンドが出てきていますね。その後ADXが下がっているので、もみ合いになっています。このようにADXが多少の上下を挟みながら緩やかに上がっているときは、ずっと息の長いトレンドになります。このチャートはADXが一番上昇しているところでも50を超えていないので、比較的安定した下降トレンドになっていますね。
ADXは単独だと使いにくいかもしれませんが、他のテクニカル指標と組み合わせてあげると効果的です。ボリンジャーバンドなら、もみ合いでバンドの上限下限にタッチしたら逆張りで使う、あるいはトレンドが出ていれば順張りで使う、他にもADXが上昇しているときの移動平均線のGCは正しい、下がっていればダマシかもしれないと考えることができます。
陽和 より確度を上げたトレードに使うことができるんですね。
山中 ADXはあまり一般的とはいえませんが、サブチャートの中で一度は使ってほしい指標です。
陽和 やはりトレンドがあるときと、もみ合いのときとでは戦略が全然違ってきますよね。これを使えば、かなり自信をもって売買できそうです。
山中 迷ったときに背中を押してくれる指標です。
陽和 次回がテクニカル指標分析の最後になります。ありがとうございました。
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第9回まとめ
- オシレーター系の指標ではゾーン・エグジットで売買のタイミングを見極める
- ダイバージェンスは価格とオシレーター系指標の向きがねじれ現象を起こしている状態。2点間の線を引いて判断する
- ADXは相場のもみ合い、トレンドかどうかを判断する指標
- オシレーター系の指標だけでなく、メインチャートに表示する指標と組み合わせて確度の高いトレードを目指す
※この記事は、FX攻略.com2020年3月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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