トレイダーズ証券の井口喜雄による【Dealer’sEYE】をお届けします。
加熱したマーケットに冷や水
昨晩はパウエルFRB総裁、ブラード・セントルイス連銀総裁両名の発言がドル円の下落に歯止めをかけたほか、利下げに備えるマーケットにメッセージを発信しました。まず、ブラード連銀総裁は「7月に50bp(0.5%)の利下げを実施する状況にない」と発言し、FRBからすると過度な利下げに備えているマーケットに冷や水をかけました。ブラード連銀総裁がFOMCの投票権を有する委員であることに加え、先日のFOMCで利下げを主張するハト派の急先鋒であったため、マーケットはドル買いで大きな反応を示しました。続いて発言したパウエルFRB議長も「不確実性が緩和を必要とするか注意深く見ているが、短期的な指標に過剰反応しない」と述べ、過度な利下げ見通しをけん制しました。両者の発言を受けて米主要3指数はそろって下落しており、利下げを背景にしたドル売りは一旦停止しています。また、本日は受け渡しベースでいうと四半期末で月末となるため、ドル需要や、リバランスなどのフローから一時的なドル高には警戒が必要です。
米中合意に疑心暗鬼!どうなるG20
マーケットの関心は今週末に予定されている大阪G20サミットでの米中首脳会談です。各社の報道では今回の米中首脳会談での合意は難しいとの論調が多いようです。会談に向けた準備時間が短かったこともあり、私も多くの参加者が考えるように大きな進展は期待できず、取り急ぎ協議を継続することで対中制裁関税第4弾を先送りするのが限界だと思っています。そうであればリスクオンの鮮度は低く、欧米豪をはじめ各国が利下げに舵を切るなか、日銀は次の一手が見えていない現状ではどうしても円が買われやすい地合いです。イベント前ということもあってドル円が瞬間的に買われることはありそうですが、米中会談で電撃合意でもない限り、上がり続ける相場ではありません。チャートを見ると21日移動平均線の差し掛かる108円付近まで引き付けて売れるのであればきれいですが、戻りを待つ展開がなければ107円ミドルでも戦えそうな気はしています。
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