こんにちは 井口喜雄です。
今週は、中央銀行の金融政策発表ウィークです。シナリオを予測しておくことが重要な1週間になりそうです。
先週の相場振り返り
それでは、先週の相場から振り返ってみましょう。
先週はECB理事会や中国金融緩和の影響で、投資家心理が回復しマーケットの雰囲気はリスクオンの展開となりました。ドル円をテクニカル面でみても日足は三角持ち合いを上抜けた格好となっています。ただ、今週に入りビックイベントを控えて流石に調整が続いており、ドル円は1円以上戻っています。
さて、今週は中央銀行の金融政策発表ウィークとなる週末の展開ですが、FOMC(本日27時)や日銀金融政策決定会合(30日)を睨んで荒れた展開に警戒が必要となります。
まず、今夜のFOMCについては、政策変更は考えられませんが、次の12月における政策変更を強く示唆するかが焦点となります。ロイターがエコノミストに行った10月の調査によると約50%が利上げ予想とし、先月9月の60%から低下しており、年内利上げ確率は拮抗しています。
そこで今回のFOMCですが、年内に利上げが行われるかは、もう少しデータを見てから考えたいのですが、重要なのは声明文に「年内利上げ」のメッセージを強く発信するかどうかです。「利上げできる、できない」は別として来年には大統領選を控えていることや、利下げのカードを持っておきたいとの思惑からFRBはできればこのタイミングで利上げしたいはずです。
直近の米経済指標が良くない結果となっているため、米経済は若干の下方修正が入るものの、世界的なリスクオンの地合い(前回のFOMCでは世界経済の不透明感に配慮)やボラティリティ低下を背景にFOMCは、今まで発言してきたように年内利上げを否定しないでしょう。このような理由で今回はややタカ派的な内容になると考えており、マーケットは米利上げを半分程度しか織り込んでおらず、上昇余地もまだ残されているため、ドル円の基本スタンスは強気です。
また、FOMCがハト派的なの内容となった場合ドル円は下落すると予想されますが、30日に日銀金融政策決定会合を控えており、追加緩和観測がちらつき売り方も深追いはできないはずです。下値はある程度限定的と考えることができ、下押し局面でも慎重に押し目を拾うことを検討しています。
そして注目の日銀政策決定会合は、2%の物価安定目標の達成時期が後ずれするとの見方から日銀が追加緩和を決定するとの期待が高まっています。仮に追加緩和を行った場合のインパクトは大きく、ドル円は125円を目指す展開となるでしょう。
ただし、政府も景気対策として補正予算を考慮しているなか、官邸からの圧力も考えられ、黒田総裁は原油価格を理由に、2%の物価安定目標達成時期が後ずれすることを容認し、今回は追加緩和を見送る可能性が高いと見ています。しかしながら、去年もサプライズとなったことを思い出すと可能性はゼロではないです。念のためポジションは軽くしておきます。
その他では29日までは中国5中全会における第13次5カ年計画の内容等も注視しつつ、対応と忙しい週末となりそうです。
チャートを見ると上値は75日移動平均線が122円付近、下値は10月15日安値118円付近が意識されそうですが、今週に限っては強いファンダメンタルの影響でテクニカル分析が全く機能しない可能性がありますので注意です。
出典: みんなのFX 日足チャート(USD/JPY)
売買比率
世界的なリスクオンの地合いや、日銀の追加緩和期待から参加者のドル円のポジションは強気となっています。長期ポジションであれば、バイアンドホールドで問題ありませんが、短期トレードの場合、ビックイベント前のポジション整理は忘れないようにしましょう。
また、ユーロ円は70%がロングポジションとなっておりますが、ECBは年末に追加緩和を行うとの思惑からシカゴIMM通貨先物ポジション(投機筋ポジション)は売り越されております。必ずしもそうではりませんが「機関投資家VS個人投資家」とこのような構図になった場合、資金量に優る機関投資家のポジションが優勢となるケースがあり、警戒は必要です。
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