大切なのは環境の変化を認識すること
こんにちは、いいだっち先生です。前回は大衆心理について説明しました。そもそも未来なんて誰にも絶対に分からないし、人間は予知能力なんて身につきません。そして、相手の心理を読み解くことなど不可能ですし、相場の世界ではそのような能力の必要性もないのです。
大事なのは「心理の変化」です。例えば、今までリスクオンの流れに沿ったポジショニングをしていて、急にリスクオフへ転換した場合、大衆心理が分かっていても、いち早く対処しないと利益を逸失してしまいます。ゆえに、相場は現状の環境認識よりも「環境の変化」を認識する方が重要なのです。
相場の大衆心理を知るならば、これから示す以下のことだけを知っていれば十分です。相場の世界だけでなく、私たち全てに共通した意識があります。それは「損したくない、得したい」という意識です。これを言い換えると、「安く買いたい、高く売りたい」となります。
ダブルトップ／ボトムを形成する理由
相場参加者の大半が、安く買いたい、高く売りたいという心理を持っており、特に「直近の最安値／最高値」は意識されることが多いです。買うならばできるだけ安く買いたいからこそ直近の最安値で買う、つまりチャートではダブルボトムが形成されます。反対に、売るならばできるだけ高く売りたいので直近の最高値が意識され、ダブルトップが形成されるのです。したがって、直近の最安値／最高値で売り買いすれば反転ポイントをうまく捉えたトレードが可能になるでしょう（図①）。
もちろん、直近の最高値／最安値で反転せずに、最高値／最安値を更新するパターンもあります（図②）。そこで、事前に「反転するパターン」と「更新していくパターン」の手仕舞いまでのシナリオを自身で構築し、その通りに実行することが大切です。
三尊天井や逆三尊が形成される理由
また、安く買いたい、高く売りたいという心理により、三尊天井や逆三尊を形成する理由も説明できます。皆さんが安く買いたい、高く売りたいという願望を常に抱いているのは前述の通りですが、いつも最安値で買うことは可能なのでしょうか？ できれば最安値で買いたいですが、必ずしも毎回最安値で買えることはないのが現実です。
そこで、最安値とまではいかなくても「安値圏である2番目の安値でもいいや」「最安値まで待てないので2番目の安値で買おう」という心理が働くときがあります。売るときも同様です。できるだけ有利な状況で売りたい、できれば最高値で売りたいのですが、最高値まで待っていられない状況では、「2番目の高値でもいいや」という心理から「投げ」が発生するときがあります。この最高値ではなく、2番目の高値で売りを呼び下落が発生すると、三尊天井が形成されるのです（図③）。
三尊天井の形成を想定したトレード法
相場は「売りたい、買いたい」という状況下よりも「売らざるを得ない、買わざるを得ない」という状況下で大きく動きます。その状況下というのが「最高値まで待てず2番目の高値で売らざるを得ない」状況であり、2番目の高値も重要なテクニカルポイントになり得ます。
この2番目の最高値／最安値で反転することを想定したトレードでは、最高値／最安値でトレードするよりも意外と大きな利幅を得られることもあります。
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最高値／最安値のポイントとは？
最後に、この最高値／最安値というキーワードについてお伝えします。これは一体何の最高値／最安値になるのでしょうか？ もちろん相場の世界に正解というのは存在しませんが、いいだっち先生が注目しているのは「年初来の最高値／最安値」「今月の最高値／最安値」「今週の最高値／最安値」、そして「本日の最高値／最安値」です。これらを重要なテクニカルポイントとしてトレードのシナリオを構築しています。ぜひ皆さんもチャートを分析する上で取り入れてみてください。
※この記事は、FX攻略.com2020年10月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
