前門の中国、後門のメキシコ!株安・円高と米国債利回り低下・ドル安が同時進行か[雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2019年6月3日号

先週のドル円相場

先週のドル円相場は、木曜日までは109円台で底堅く推移していたが、金曜日にトランプ大統領が突然メキシコに対する関税を最高25%まで引き上げていく方針を打ち出したことを受けて、109円台を割り込む展開。中国政府がレアアース輸出規制導入を示唆していることも警戒感を高め、株安・円高の負の連鎖が加速。終盤には108.28円と1月15日以来の水準まで下落し、安値引けとなった。

メキシコに対する関税引き上げ措置は、表向き米国への不法移民や違法薬物流入に対抗するもので、中国との貿易戦争とは性格がやや異なるが、アメリカ・ファーストを掲げるトランプ大統領にとって、大統領選に向けた得点稼ぎという点で共通だ。メキシコの対米輸出は中国と肩を並べる規模であり、欧州や日本の自動車生産拠点も多い。対米輸出のツートップである中国とメキシコを同時に叩き、トランプ支持率アップにつなげるという戦略なのだろう。

日経平均2万円割れも覚悟

ただでさえ米中貿易摩擦の長期化による悪影響が懸念されている中で、世界経済は北米のサプライチェーン崩壊という新たな不透明要因を抱えたことになる。今週は世界的なリスク回避ムードを背景に、株式市場の一段の下落に備える必要がありそうだ。先週金曜日、NYダウは4か月ぶりに25000ドルの大台を割り込み、シカゴ日経平均先物は20400円台まで売り込まれた。世界経済や貿易に敏感な日本株は特に売り圧力を受けやすく、日経平均2万円割れも覚悟しておく必要がある。株安・円高の負の連鎖に対する厳重警戒が必要だ。

市場の金利観が急激に変化

また先週はリスク回避ムードを背景に安全資産の国債が買われ、米国2年債利回りは2%台割れ、10年債利回りも2017年9月以来の水準となる2.13%まで低下した。米国の景気減速懸念やディスインフレ傾向を背景に利下げ期待も高まっており、FF金利先物は年内の利下げを9割以上、年内2回以上の利上げを7割織り込んでいる。1か月前はそれぞれ6割、2割程度、一週間前はそれぞれ7割、3割程度だったことを考えると、市場の金利観が急激に変化している最中であることがわかる。このような局面でのドル売りの動きは信頼性が高い。

今週もドル売りスタンス

株安を受けた円高と、米国債利回り低下を受けたドル安の流れは一過性のものではなく、大きなトレンドの始まりである可能性がある。とりあえずは1月のクラッシュ時の実質的な安値である107円付近をターゲットに、今週もドル売りスタンスで臨みたい。

FF金利先物市場は日増しに利下げ期待を強めている 出所:CME Group

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雨夜恒一郎(あまや・こういちろう)

20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報をFX会社やポータルサイトに提供中。

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