FX攻略.com本誌で読者人気の高いスキャルピングについて、体系的に学べる教科書を作るべく、為替鬼さんを招いてスタートした当企画。これまで基礎知識をお伝えしてきましたが、今回からはいよいよ実践的なテクニックについて解説していきます。
※この記事は、FX攻略.com2016年11月号の記事を転載・再編集したものです
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為替鬼流スキャルの売買ルールを解説
過去3回にわたり、スキャルピングを始めてみようという方を対象に、その魅力や注意すべきポイント、典型的な売買ロジックの説明をしてきました。
その中で、スキャルピングの基本となる売買ロジックには、逆張り手法と順張り手法があることをお話しいたしました。ちなみに私のスキャルピングの8割は、プライスが行き過ぎた局面で、その戻りを狙う逆張り手法です。
言葉で表すとシンプルですが、実際に利益を出すとなると、そう簡単なことではありません。具体的には、値動きの行き過ぎをどのように見つけ出し、どのようなタイミングでエントリーしたら良いのか。そして利食いや損切りはどのようなポイントで行ったら良いのか。
今回の記事では、私が日々実践している売買ルールを、詳しくご紹介していきたいと思います。
エッジのある売買ロジックとは
エッジとは、他者と比べて統計的に優れている優位性、別の言葉でいうと、他者を出し抜く技能のことを指します。スキャルピングに限らず、FXがゼロサム・ゲーム(勝者と敗者の損益の総和がゼロ)である以上、何らかのエッジがなければ、長期的に生き残ることはできません。
FXは上がるか下がるかの二択を当てることに他ならないので、運が良ければ短期間で利益を出すことが十分可能です。しかし運に頼るだけでは、FX業者にスプレッドや手数料を支払いながら、長期間にわたって安定的に利益を出し続けるのは、至難の業だといわざるを得ません。
したがって、まず最初にエッジのある売買ロジックを構築することが、全てに優先して大切なことであり、実はこれこそが、超えなければならない最も高いハードルになります。
もちろんどんなに優れたトレーダーでも、全てのトレードで勝つことは不可能ですし、その必要もありません。むしろ目指すべきは、長期的な視点で利益が残る、言い換えると期待値がプラスの売買ロジックを、徹底的な検証で見つけ出すことです。
それができたら、期待値プラスのチャートパターンが現れるまで辛抱強く待ち、勝ちパターンが現れたときには、迷うことなく即座にエントリーできるか。つまり、FXで勝ち続けるためには、エッジのある売買ルールを見つけ出し、それをどこまで守り切れるかという、自己規律にかかっているのです。
為替鬼が最も得意とするスキャルピング手法
私は一日に100回前後のFX取引を繰り返していますが、数分で完結するスキャルピングが最も多く、その大半は逆張りでのエントリーです。
今回ご紹介するのは、私が最も得意としている手法で、急騰、急落後の戻りを狙ったエントリー。いわゆる値動きが行き過ぎた直後のリバウンドを狙った取引で、かなりの高勝率が狙える手法です。
この手法はまず、値動きの行き過ぎをどう察知するかが重要です。私はいつも1分足チャートを見てトレードしていますが、画像①(「米ドル/円」1分足)のように、真ん中の移動平均線(赤ライン)から一定割合の乖離を表す、「エンベロープ(青ライン)」というインジケーターを表示しています。
値動きが上下のエンベロープを勢いよく外側に抜けたときに、プライスが行き過ぎたと判断し、リバウンドを狙ったトレードを仕掛けることになります。その際のポイントは、ラインを抜け出るときの勢いで、ローソク足の実体部分が長いほど良い売買シグナルになります。
また、ローソク足のヒゲ部分のみが青ラインを外側に抜けるだけでは不十分で、ローソク足の終値が青ラインの外側に位置している場合にのみ、逆張り方向に仕掛けることになります。エントリーするタイミングは、売買シグナルが発生したローソク足の終値が良いでしょう。
決済ポイントを自分の都合で決めてはいけない
エントリー後に待っている大切な仕事は決済ですが、どのタイミングで決済するかは、エントリーと同等か、それ以上に重要だと実感しています。多くの投資家は、エントリータイミングには細心の注意を払う一方で、決済に関しては、意外に無頓着という印象があります。
例えばスキャルピングの場合、3pipsで利益を確定するとか、5pipsでロスカットするなどという話をよく耳にしますが、これらの値幅をどのように算出したのでしょうか。
自分がエントリーしたところから、いつも同じ値幅で決済するというのは、為替相場の状況とは無関係の、単なるトレーダーの都合で決めたポイントのように感じます。
もちろん、自分の今までの膨大な数のトレード履歴を分析し、統計的に優位性がある数値を算出したというのであれば、それは全く問題ありません。しかし検証もせずに、何となくフィーリングで決済ポイントを決めているとしたら、その決済方法にエッジがあるとは思えません。
さて、私のスキャルピングの場合ですが、利食いは移動平均線を一つの目安にしています。
画像②におけるトレードでは、Aのローソク足の終値で売りエントリーし、赤色の移動平均線を下抜けるまでは利食いを我慢します。そして移動平均線を下抜けて、ローソク足が陽線引けし、反転(ここでは上昇)の兆候が現れたBのあたりが利食いポイントになり、このケースでは5pipsほどの利食いとなります。
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スキャルピングは損切りが命
次に損切りについてですが、自分の都合ともいえる一定幅の逆行で切るよりも、自分のエントリーとは逆方向へ進む可能性の高い、逆行の兆候が値動きに見られたときに行います。
具体的には、エントリーしたローソク足の高値(または安値)を、終値ベースで2回連続して更新されたら、ロスカットするのが良いでしょう。1回更新された程度で損切りしていると、ロスカット直後に戻ってきて、損切り貧乏に陥る可能性が高いので、2回連続で高値や安値を更新されたときが、逃げ時と判断してください。
逆張りエントリーはトレンド方向に逆らって入るので、このポイントでロスカットしないと、トレンドの勢いが復活して、どんどん逆行されることがありますので注意が必要です。
画像③のトレードでは、Aのローソク足の終値で売りエントリーしましたが、その後も上昇が止まりません。Aのローソク足の高値を終値ベースで2回連続で更新された、Bのローソク足の終値でロスカットするのが良く、このケースでは6pipsほどの損切りとなります。
ちなみにトレードを再開するのは、トレンドの勢いが収まって、移動平均線を明確に下抜けたCのポイント以降になります。もちろん闇雲にエントリーを再開するわけではなく、エントリールールを満たしたDのローソク足の終値で、買いエントリーすることになります。
決済に関して付け加えると、逆張りエントリーには賞味期限があります。私の肌感覚では、エントリーしてからせいぜい15分程度しか、売買ロジックのエッジが機能しないと感じます。ですから、仮にエントリーしてから1時間後に勝てたとしても、それは売買ロジックの優位性ではなく、運で勝ったに過ぎないといえます。
そのような意味で、エントリーしてから10~15分経っても、利食いポイントにも損切りポイントにも到達しない場合、私は保有ポジションを決済することにしています。
単なる情報をFXで活用するためには
今回の記事では、私のスキャルピング手法の基本ロジックをご紹介しましたが、手法の優位性を保ち続けることは、極めて難しいといわざるを得ません。なぜなら為替相場は生き物であり、絶え間なく変化しているので、同じ相場が繰り返されることは決してないからです。
そのため、昨日までうまくいっていた売買ルールが、ある日突然、機能しなくなることもあり得ます。ですからFXで利益を出し続けるためには、常にトレード手法のエッジを検証し、相場の変化や優位性の変調を見逃さない不断の努力が必要なのです。
その意味で、為替相場は極めてシビアな世界です。これは私が長年FXをやってきて、日々、切実に感じていることです。他人から優位性のある手法のヒントを得るのは簡単かもしれません。しかし、厳しいことをいうようですが、学んだことをモノにできるかどうかは、結局のところ自分次第であり、自ら検証したり工夫したりする力がなければ、いずれは滅び去っていくでしょう。
この記事から学んだ情報はただの知識に過ぎませんが、その知識を基に試行錯誤しながら獲得した知恵は、今後のFX人生において大きな財産になっていくのではないでしょうか。
※この記事は、FX攻略.com2016年11月号の記事を転載・再編集したものです
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達人が教えてくれる簡単ではないけれど身に付けば一生モノのスキャルピング技術 第1回
第2回 スキャルの上手な始め方
第3回 スキャルの基本的な戦略
第4回 逆張りのスキャル手法
第5回 スキャルの実践的テクニック
最終回 スキャル上達の秘訣
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