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達人が教えてくれる簡単ではないけれど身に付けば一生モノのスキャルピング技術|第3回 スキャルの基本的な戦略[為替鬼]

スキャルピングの代表的FXトレーダーである為替鬼さんに、その極意を体系的にまとめてもらおうという当企画。第1回、第2回と、スキャルの基礎的情報を整理してきましたが、いよいよ第3回からはより実践的な内容に踏み込んでいきます。今回は、為替鬼さんが愛用するテクニカル「エンベロープ」も登場します!

※この記事は、FX攻略.com2016年10月号の記事を転載・再編集したものです

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スキャルピングの売買ロジックは2種類だけ!

過去2回の記事では、FXでスキャルピングを始めてみようという方を対象に、その魅力や注意すべきポイントを解説しました。今月の記事からは、いよいよスキャルピングの売買ロジックや手法について、具体的にお話を進めていきたいと思います。

スキャルピングの手法と呼ばれるものはたくさんありますが、それらの基礎となる売買ロジックは、実は2種類しかありません。すなわち、近未来の為替相場がレンジ相場になると想定すれば「逆張り手法」、トレンドが発生し継続すると想定した場合は「順張り手法」で取引するのです。

一見たくさんあるように思われるスキャルピング手法も、レンジ相場やトレンド相場の判定基準がたくさんあるだけで、基本的なFXトレード戦略はほとんど同じといっても過言ではありません。実際、近未来の相場がレンジとトレンドのどちらになるのかを的確に判断できれば、スキャルピングで危なげなく勝つことが可能になるのです。

そこで今回の記事では、レンジ相場とトレンド相場の見分け方や、逆張り手法と順張り手法の考え方についてご説明していきます。

<ロジックは2種類>

【レンジ相場予想なら…】逆張り手法
【トレンド相場予想なら…】順張り手法

トレンドの有無と基本的なスキャルピング戦略 

読者の皆さんは、今の相場の状況がレンジ相場なのかトレンド相場なのか、どのように判断していますか? 中にはそんなことは気にしていないという方もいるでしょうし、チャートにさまざまなインジケーターを表示させて、判断している方もいるかもしれませんね。

ところでレンジ相場というのは、値動きに明確な方向性が見られず、一方向への継続的な値動きがない状態のことを指します。

もし今の相場がレンジ相場と判断できれば逆張り手法が有効な戦略になりますが、相場が閑散としている時間帯で、チャートの値動きがほとんど見られないような場合には、利益を出すことは至難の業です。ですからレンジ相場の場合には、スキャルピングで利益が望めるだけの最低限の値動きが必要です。

私の経験では、直近の30分間でスプレッドの20倍以上の値動きがなければ、エントリーを見合わせた方が良いと思います。

例えば「米ドル/円」のスプレッドが1pipのFX会社で取引する場合、直近30分間の高値と安値の値幅で最低でも20pips以上の変動がないと、スキャルピングでは勝ちにくいという印象です。

一方、トレンド相場というのは、直近の高値と安値を切り上げながら上昇していく上昇トレンドと、直近の高値と安値を切り下げながら下落していく下降トレンドがあります。

現在の相場状況がトレンド相場であると判断できれば、そのトレンドが終わるような事象が生じない限り、しばらくの間はトレンド相場が継続する可能性が高いと考えられます。したがって、その際にはトレンド方向に沿ったエントリー、つまり順張り手法が有効です。

実際には、上昇トレンド中のちょっと下落したところを買う「押し目買い」や、下降トレンド中のちょっと上昇したところを売る「戻り売り」が基本戦略になるでしょう。

 <レンジとトレンドの違い>

【レンジ相場】
・値動きに明確な方向性がない
・値動きがないと利益を出しにくい
(直近の30分間でスプレッドの20倍以上の値動きが目安)

【トレンド相場】
・一方向へ値動きをする
・トレンドは継続しやすい
・トレンドの方向性に沿った押し目買い、戻り売りが基本戦略 

レンジ相場での逆張りエントリーと決済ポイント

相場にトレンドがあるかどうかを判断するインジケーターはいろいろありますが、どれも一長一短といった印象で、これがベストというものはないと感じます。ただ選択基準の目安として、トレンドの有無を明確に判定できるのはもちろんですが、見た目が分かりやすいものが良いと思います。

ちなみに私はエンベロープというインジケーターを長年使用していますが、このインジケーターの特徴は、トレンドの有無を判断できるだけでなく、相場のボラティリティ(値動きの変動率)も同時に表してくれることです。

トレンドの有無を判断することで、逆張り手法と順張り手法の区別ができるだけでなく、ボラティリティの大きさを考慮して、エントリーしない方が良いケースや、絶好のチャンスの到来を教えてくれる優れものです。

加えて、エンベロープのラインの傾きは、移動平均線と同じなので、視覚的にトレンドの有無や強弱を判断できる点も秀逸です。

画像①は「米ドル/円」の1分足チャートですが、真ん中の赤いラインは移動平均線で、その上下の緑色のラインがエンベロープになります。上下のエンベロープが移動平均線から10pips離れたところに表示される設定になっており、上下2本のエンベロープの間隔は20pipsになります。

画像①の場合がまさにレンジ相場の典型的な値動きパターンです。エンベロープのうねりが規則的で、プライスがあるレベルまで下がると上昇し、あるレベルまで上がると下落しています。

前述したように、「米ドル/円」では直近30分間で20pips以上の変動がないと苦戦するのですが、値動きが上下のエンベロープを外側に抜け出た直後が、絶好の逆張りポイントになります。具体的には紫色の丸印あたりで買いエントリーし、青色の丸印あたりで売りエントリーするのが良いでしょう。

利食いするポイントは移動平均線を抜けたあたりが一つの目安で、その場合の利食い幅は10pips前後になります。損切りポイントについては、利食いと同程度の10pips前後の逆行でロスカットすると良いでしょう。

相場にトレンドがあるかどうかを判断するインジケーターはいろいろありますが、選択基準の目安として、トレンドの有無を明確に判定できるのはもちろんですが、見た目が分かりやすいものが良いと思います。

トレンド発生時の値動きの特徴とトレード戦略

為替相場にトレンドが発生した可能性を知らせる兆候は、それまでと比べて、値動きがエンベロープの外側に抜ける勢いが格段に強くなることです。

レンジ相場の場合には、値動きがエンベロープのラインを数分間、小幅に外側にはみ出る程度ですが、トレンド相場では値動きが突然エンベロープを大きく外側に飛び出し、しばらく内側に戻ってこないことが多くなります。トレンド相場は、明確な転換シグナルが発生するまでは、そのトレンドが継続する可能性が高く、ジワジワと、時にはどんどん一方向に進むのが特徴です。

例えば上昇トレンドの場合、直近の高値と安値を切り上げながら上昇していくので、真ん中の移動平均線まで下げてタッチすることはあっても、明確に下抜けることはまれです。逆にいうと、移動平均線を明確に下に割り込んでくるというのは、上昇トレンドが弱まっていることに他ならず、近い将来、上昇トレンドが終焉する可能性が高いと判断するべきでしょう。

画像②も「米ドル/円」の1分足チャートですが、まさに上昇トレンドの際の典型的な値動きになります。

画像ではピンク色の丸印で値動きがエンベロープを勢いよく外側に抜け出ていますが、レンジ相場の場合との一番の違いは、移動平均線付近まで下がると、再び上昇している点です。このようなケースでは、移動平均線あたりまでいったん下げた「押し目」(水色印)のポイントで、順張りで買いエントリーするのが良いでしょう。

もちろん事前にトレンド相場に発展するか、レンジ相場になるかは分かりませんから、もし移動平均線を明確に下抜けたら、そのローソク足の終値でロスカットします。この場合は、いわゆるダマシに引っかかったことになります。

ちなみに画像②では移動平均線を明確に下抜けることなくジワジワと上昇しており、トレンドが長く続いた結果、大きな利益を得ることになります。

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直感だけに頼ったスキャルピングの限界とは? 

ここまでご説明してきたトレンド判定の方法や逆張り手法、順張り手法の売買ルールは、私が日々実践しているスキャルピングの土台となる考え方です。

私は今までに十万回以上もスキャルピングを繰り返してきたので、どこでエントリーし、どこで利食いや損切りするのが良さそうなのか、相場の値動きを見て何となく感じることがよくあります。実際、売買ルールを破って、直感に頼って取引することも少なくありません。

ただし、スキャルピングの初心者が、いきなり直感だけに頼って闇雲にスキャルピングを繰り返しても、上手になる前に資金が尽きて破産してしまうのではないでしょうか。どんな分野でも、お金を稼げるレベルにまで上達するには、相当の時間が必要だからです。

その意味で、スキャルピングの初心者がその技能を効率よくマスターするためには、エントリーや決済に関する最低限の売買ルールを決めることが不可欠です。売買ルールを決めた上でトレードをたくさん繰り返せば、勝っても負けても必ずいろいろな気づきがあり、そこから多くのことが学べるに違いありません。

そこで次回の記事では、為替鬼が日々実践している売買ルールを、いろいろな視点から深く掘り下げてご紹介していきたいと思います。

※この記事は、FX攻略.com2016年10月号の記事を転載・再編集したものです

【関連記事】
達人が教えてくれる簡単ではないけれど身に付けば一生モノのスキャルピング技術 第1回
第2回 スキャルの上手な始め方
第3回 スキャルの基本的な戦略
第4回 逆張りのスキャル手法
第5回 スキャルの実践的テクニック
最終回 スキャル上達の秘訣

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