今年も確定申告の時期が近づいてきました。利益が出ている方はもちろん、損失が出ている方にとっても、しっかりと確定申告しておくことで、来年以降のFXが有利になります。FXにおける最大のコストは、スプレッドでも手数料でもなく実は「税金」です。今回は確定申告をするにあたり、正しい申告の方法や、そのポイントについて見ていきましょう。
※この記事は、FX攻略.com2019年3月号の記事を転載・再編集したものです
FXで勝って税金で負けないために!
弊社は日本で唯一のFX専門の会計会社ですので、この時期、全国の投資家さまからたくさんのご相談やご依頼をいただきます。皆さま方のお話を伺っていますと、ほとんどの方はFXの税金についてあまり知識がなく、またネット上にある情報も不確かなものが大半ですので、残念ながら適切な申告がなされていないことが多々あります(ネット上の情報を基に申告される場合は注意が必要です。その情報がいつのものか、信頼できる専門家が発信しているものかなどをご確認ください)。
例えば、年間を通して損失が出た場合、国内の証券会社を利用していれば3年間損失を繰り越すことができますが、損失を繰り越すためには、FX取引でマイナスが出てしまったときでもその申告が必要になります。損失繰り越しの申告書の記入方法が分からない場合は弊社のホームページにて詳しい解説動画をアップしておりますので、損失を出された際には、ぜひ損失繰り越しの制度を活用してください。
他にも国内業者を利用した場合と海外業者を利用した場合では、税制に違いがありますので注意が必要です。ここでは誌面の都合上、詳細は割愛させていただきますが、該当される方で税制の違いがいまいち分からないといった場合には、事前にFXに詳しい税理士などへお問い合わせください。
確定申告が必要な人とは?
1年間の所得(FX以外にも所得のある方は、それら全て)の合計額が、全ての所得控除の合計額を超える場合には、原則として確定申告が必要になります。
所得控除には、社会保険料控除や生命保険料控除、扶養控除などといったいろいろな種類がありますが、最低ラインは基礎控除の38万円です。給与所得者(サラリーマンなど)で、既に税金を徴収されている給与所得以外に所得が生じた人(一定の場合を除く)や、個人事業をしている人は確定申告が必要になります。
また、1年間に10万円以上の医療費を支払った、住宅ローンを利用してマイホームを購入した、株やFXで損失を出したといった場合にも、確定申告をすることによって税金が還付されたり、損失を翌年以降に繰り越せたりすることがあります。
利益20万円以下は申告不要?
よく「雑所得20万円以下は申告不要」といった内容の記載を見かけることがあります。しかし、この規定は全ての方に当てはまるわけではなく給与所得者の特例で、「給与所得者の方で、年末調整のみで納税が完了する方」に限られますので注意が必要です。
例えば、給与所得以外に所得があり、確定申告が必要な場合は、たとえ1円の雑所得であっても申告する義務があります。また、収入としては給与と20万円以下の雑所得であっても、医療費控除など、還付申告をするために確定申告をするといった場合には、同様に1円の雑所得であっても申告しなければなりません。
確定申告書の提出期限は?
確定申告書は2月16日から3月15日の間にお住まいの地域の管轄の税務署へ提出します。なお、e-Tax(インターネット)での申告や郵送で提出することも可能です。期限内に提出することができるよう、早めに準備を始めましょう。
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税金はいつどこで納めるの?
所得税の納付は、原則3月15日までに銀行や郵便局で納付書を使って納めることになります。口座振替の場合は、例年4月20日ごろが振替日になりますが、そのためには預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書を税務署に提出しておかなければなりません。
どの申告書を使えば良いの?
FX取引では、「利益が出た場合」と「損失が出た場合」で提出する申告書の種類が変わります。損失を繰り越す場合には、利益が出た場合に比べ必要な書類が増えるので注意が必要です。まとめると下記の表のようになりますので、提出する申告書を間違わないよう参考にしてください。
FX以外の投資もしている場合には?
複数の金融商品に投資している場合には、税法上同じグループの金融商品であれば、利益や損失を合算することができます。FXは申告分離課税の雑所得というグループに該当し、同グループには日経平均先物・日経225ミニ・商品先物(取引所で取引されるもの)などがあります。
必要経費を正しく計上して節税しよう
税法上、経費として認められるのはコレとコレ、といった具体的な規定はありません。要は、FXの利益を上げるのに直接かかった費用が経費となります。具体的には、FX取引を行うための通信費やFX関連の書籍代、FXのセミナーなどに参加されたのであれば、その参加費用や交通費が経費になると考えられます。
ポイントとしては、FX取引に直接的な関連性があること、経済的に合理性のある理由があることなどが重要です。迷われたときには、税法以前の一般常識で判断いただける範囲で結構ですので、これらのポイントについて冷静に判断してみてください。
なお、個人口座でのFX取引では、このように必要経費をしっかりと計上することが節税の重要なポイントになりますが、法人口座を利用することで、さらに効果的な節税ができる可能性も多々あります。
損失を出しても翌年以降のために必要経費の計上を
損失を出した場合でも必要経費を差し引くことができます。
一般的に使われる収入と税法上の所得という言葉は意味合いが異なり、FX取引による所得は、収入金額から必要経費を差し引いた金額のことを指します。翌年以降に繰り越す損失の金額は、あくまで所得金額ですので、損失(収入がマイナス)の場合でも、必要経費を差し引いて大丈夫ということになります。
ただし、税務署は皆さんのFX取引での利益や損失については、証券会社から提出された支払調書で把握していますが、必要経費の詳細な内容までは分かりませんので、後々おたずねや税務調査が行われる場合などに備えて、最低限、領収書などの証拠となるものはしっかりと保管し、いざというときにはきちんと説明できるようにしておくことをお勧めいたします。
個人事業として申告しようと思うのですが…
FXの利益を事業所得として申告し、青色申告特別控除を利用したり、他の所得と通算させたりといった話を耳にすることがあります。
通常FXの所得は雑所得という所得の区分に該当するのですが、もともと、雑所得と事業所得の区別は曖昧な部分も多く、どちらの所得と考えられるかについては裁判例を基に判断することになります。弊社ではFX専門の会計会社として、投資関連の税金に関する過去の裁判例をチェックしていますが、「専業で行われたFX取引に係る所得が雑所得とされた事例」として平成25年11月に判決が言い渡され、納税者の敗訴が確定したものがあります。
この事例では、FX取引の性格や専業で取引を行っていたことをしっかりと考慮された上で、FX取引に係る所得はあくまで雑所得であると判断されています。よってFX取引による所得を事業所得として申告することは、非常にリスクの高い行為であると言わざるを得ないでしょう。
海外の証券会社を利用した場合の税金はどうなるの?
国内の証券会社を利用した場合のFXの税金は、一律20%(復興特別所得税は除く)となりますが、金融庁に未登録の海外の証券会社を利用した場合のFXの税金は、一般的に総合課税(他の総合課税の所得と合算して超過累進税率により課税)の対象になると考えられています。
国税局の内部通達によると、金融商品取引法に規定する登録許可を受けていない海外業者を利用した取引は、総合課税の対象になるといった情報もありましたが、税制改正により、平成28年10月1日以後に行う取引については、金融庁に未登録の海外の証券会社を利用した場合のFXの所得に対して、一律20%の分離課税が適用されないことが明記されましたので注意が必要です(※明記されていない平成28年10月1日以前の取引について分離課税が適用されるということではありません)。
マイナンバーカードを取得しているか否かで必要書類が異なる!
マイナンバーが記載された申告書を提出する場合、本人確認ができる書類の提示、または写しを添付しなければなりません。本人確認ができる書類とは、身元確認書類と番号確認書類の二つを指します。既にマイナンバーカードが手元にある場合は、その1枚で身元確認と番号確認を同時に行うことができますので、マイナンバーカードの表裏両面のコピーを確定申告書に添付すれば良いことになります。
まだマイナンバーカードの交付を受けていない場合は、マイナンバーが確認できる書類(通知カードやマイナンバーの記載された住民票など)のコピーと、身元確認書類として運転免許証やパスポート、健康保険証などのコピーを添付する必要があります。マイナンバーカードを取得しているかどうかで添付書類が異なる点に注意が必要です。
確定申告書を書いてみよう!
国内証券会社を利用したFX取引で利益が出た場合の利益は、申告分離課税になり、使う申告書は、確定申告書Bになります。矢印の箇所は転記し、①~⑱の順番で申告書を書いてみましょう。(画像参照ください)
※この記事は、FX攻略.com2019年3月号の記事を転載・再編集したものです
「これからFXを始めよう」と思ったとき、意外と悩んでしまうのがFX会社、取引口座選びではないでしょうか? でも大丈夫。ご安心ください。先輩トレーダー達も最初は初心者。みんなが同じ悩みを通ってきているんです。
10年以上にわたってFX月刊誌を出版してきた老舗FXメディア「FX攻略.com」編集部が、FX用語を知らない人でもわかるようにFX会社、取引口座のポイントを解説しました!
取り上げているFX会社は、金融商品取引業の登録をしている国内FX業者です。口座開設は基本的に無料ですので、まずは気になったところで2〜3つ口座開設してみて、実際に比べてみてはいかがでしょうか。
\FX会社によって違うところをチェック/
スプレッド | FX取引における取引コスト。狭いほうが望ましい。 |
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約定力 | 狙った価格で注文が通りやすいかどうか。 |
スワップポイント | 高水準かどうか。高金利通貨の取り扱いの数。 |
取引単位 | 少額取引ができるかどうか。運用資金が少ないなら要チェック。 |
取引ツール | 提供されるPC・スマホ取引ツールの使いやすさ。MT4ができるかどうか。オリジナルの分析ツールの有無。 |
シストレ・自動売買 | 裁量取引とは別に自動売買のサービスがあるかどうか。 |
サポート体制 | サポート内容や対応可能時間の違いをチェック。 |
教育コンテンツ | 配信されるマーケット情報や投資家向けコンテンツの有無。 |
キャンペーン | 新規口座開設時や口座利用者向け各種キャンペーンの内容。 |