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「これ以上悪くならないなら買い」という考え方[雨夜恒一郎]

「これ以上悪くならないなら買い」という考え方[雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2020年8月10日号

先週のドル円相場は

週初には日米株式市場の高騰を背景に上値を試す動きとなり、一時106.47円まで上昇。夏休み前の実需のドル売りにぶつかり105円台へ押し戻されたものの、7月のISM製造業・非製造業景気指数が予想を上回ったことから、105円台半ばでは底堅い動きとなった。

金曜日に発表された米国7月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が+176.3万人(前回+479.1万人、予想+160万人)、失業率10.2%(前回11.1%、予想10.5%)と、予想より強い結果となった。ドル円はこれを好感し、106.05円まで反発し、105.90円付近で週の取引を終えた。

米国経済の回復ペースは減速

7月の雇用統計は予想ほど弱くなかったものの、労働市場の回復ペースが鈍化したことを示している。コロナ禍で3月と4月に2216万人が失業した後、5月から7月にかけて計927.9万人が職場に復帰したが、それでも1288.1万人分の雇用はまだ失われたままだ。

景気の回復も、当初期待されていたようなV字型ではなく、回復に時間がかかるU字型や低迷が長引くL字型、あるいは二番底があるW字型となる可能性もある。

これらの状況を素直に解釈すれば、ドルは確かに買いづらい。

絶対水準ではなく方向性が重要

ただし、相場にとって重要なのは、経済の「絶対水準」ではなく、「方向性」である。

労働市場はコロナ前の水準に戻っていないが、それでも2000万人以上の職が失われた4月からみれば回復しているし、今後もペースはともあれ回復していくことに疑いの余地はない。

同様に、4~6月のGDPは前期比年率でマイナス32.9%と過去最大の落ち込みとなったが、今後はペースはともかく、回復していくことは間違いない。アトランタ連銀GDPナウによると、7-9月GDPの最新予想は前期比年率で+20.5%となっている。

米国経済は依然厳しい状況にあるが、最悪期はすでに過ぎており、これ以上悪くならない。方向性としては「アップ」なのである。

米国株が2月から3月にかけて暴落した後、今日に至るまでほぼ右肩上がりで上昇しているのも、市場が方向性を重視しているからにほかならない。

結論:ドル円も底入れへ

米国経済は、紆余曲折はあるが方向性としては回復に向かっている。また先週の当コラムで述べた通り、米国全土のコロナ感染者数はピークを付けた可能性が高く、感染第二波は終息に向かいつつある。株式市場はすでにアフターコロナを見据えてハイテクやコロナテックセクターを中心に高騰中だ。

為替市場ではこれまでドルの全面安だったが、そろそろ反転してもおかしくないのではないか。ドルインデックスやユーロドルのチャートを見ると、短期的なドルのWボトムが形成されつつあることがわかる。

ドルインデックスチャート

ドルインデックスは92.50でWボトム形成 出所:NetDania

ユーロドルチャート

ユーロドルは1.19ドル台でWトップ形成 出所:NetDania

特にドル円は、円にこれといって買い材料が見当たらず、しかも日本は現在もコロナ第二波の爆発的感染拡大が懸念されていることから、反発の余地は小さくないと思われる。

週足のチャートを見ると、先々週が下ヒゲの長い短陰線、いわゆる「たくり線」が出現し、当面の底入れを暗示。先週が十字線となり、攻防の分岐点であることがうかがえる。今週の週足が陽線となれば、上へ放れていく可能性が高くなるだろう。

7月31日の安値104.19円が当面のボトムとなった可能性が高く、今週は打診買いのスタンスで臨みたい。

ドル円週足チャート

ドル円週足 出所:NetDania

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