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日米会合を経て円高・ドル安が加速[雨夜恒一郎]

先週の米ドル/円相場

先週の米ドル/円相場は、日銀の追加緩和や政府の景気対策への期待が高まる中、一時106.72円まで上昇。しかしFOMCが予想通り金融政策を据え置き、9月利上げのヒントを示さなかったことから104円台へ反落。さらに日銀金融政策決定会合がETFの買い入れ増額を決定したことが物足りないと受け止められ102円台へ急落。さらに米第2四半期GDPが前期比年率+1.2%と予想の+2.5%を大きく下回ったことから、一時101.97円と7月11日以来の安値を示現した。

円高招く日銀会合

日銀の金融緩和に関しては、まったくの期待外れに終わった形だ。市場はすでに① 国債買い入れ増額(量)、② ETF買い入れ増額(質)、③ マイナス金利深掘り(金利)の三次元での追加緩和に加えて、一部では政府の景気対策に足並みを揃えてヘリコプターマネーの領域にまで踏み込むのではないかとの期待まで浮上していた。ETFの買い入れ増額は中でも一番無難な方策であり、いかにも残り少ないカードを小出しにした感は否めない。

これで日銀金融政策会合は今年に入って5回連続で円高を招いており、緩和を見送れば円高、緩和しても円高と、完全に手詰まりを露呈してしまっている。このままでは次回9月会合に向けて、ヘリコプターマネーを催促する形で円高が一段と進行するおそれもある。ヘリコプターマネーを完全否定している黒田日銀総裁の姿勢が、今後1ドル100円割れが見えてくる過程で変化してくるかが注目となる。

米利上げは12月以降に先送りか

FOMCの利上げ見送りは予想通りだったが、景気認識を引き上げつつも次回利上げに明確なガイダンスを示さなかったことはやや失望に値する。今回ジョージ委員(カンザスシティー地区連銀総裁)が利上げを唱えて金利の現状維持に反対したが、タカ派筆頭だったブラード委員(セントルイス地区連銀総裁)が慎重姿勢に転じたため、孤軍奮闘となっている。今後のデータ次第ではあるが、9月も利上げは見送りの公算が大きく、早くても大統領選後の12月となる可能性が高くなってきた。先週金曜日に発表されたGDPの下振れもその見方を補強することになる。

米国雇用統計次第では100円割れも

さて今週金曜日には、いよいよ7月の米国雇用統計が発表される。注目の非農業部門雇用者数(NFP)は、5月に+1.1万人とトレンドを大きく下回ったあと、前回6月には逆に+28.7万人と大きく上振れしており、今回も予想の+18.0万人からかい離する可能性がある。

6月の反動で下振れするようなら、9月利上げの期待が一段と後退し、米ドル/円の100円割れを再び試す口実となるだろう。逆にドルが浮上するためには、NFPだけでなく、平均時給や労働参加率など多面的なデータの改善が必要となり、ハードルはなかなか高いだろう。

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