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ドル円はどこへ向かう?ロング攻めは苦戦しそうか[井口喜雄]

トレイダーズ証券の井口喜雄による【Dealer’sEYE】をお届けします。

NYダウは米企業の好決算を背景に20,000ドルをキープしているほか、日銀も指値オペを行い日本の金利が低下しています。ただし、米ドル/円は上昇していません。米ドル/円が上昇できない理由は今週末20日に控えている日米首脳会談です。トランプ大統領のドル高けん制に配慮する格好でドル買いに波及しておらず、難易度の高いマーケットが続いていますが、米ドル/円は一体どこに向かうのでしょうか。

日米首脳会談の行方は如何に

マーケットは日米首脳会談待ちとなっておりますが、米ドル/円にとっては逆風が吹いています。今週発表された米貿易収支では2016年の対日赤字が689億ドルとドイツを抜き、中国に次いで2位に浮上、自動車関連の赤字も増加するなど週末の日米首脳会談を前に厳しい数字となっています。

日銀の指値オペについてもトランプ大統領から見れば、指値オペが、円金利上昇抑制を通じた円安誘導と捉えられていることでしょう。この状況下でトランプ大統領が円安是正を求めてくる可能性は高いと考えておいた方が自然です。首脳会談後にはゴルフが予定されており、会談自体は和やかな雰囲気になるとは思いますが、非公式に円安是正を求めるなど何らかの約束は取らされるかもしれません。

また、将来の米経済成長を期待したドル買いには即効性がないため、現時点で2回目のトランプラリーに期待するにはリスクが高くなってきました。一貫した保護主義スタンスを鑑みると大方の予想に反して円高スタンスで臨むべきだと思います。

111円台では本邦投資家などの買いが強烈なだけに、売り崩すのもそう簡単ではありませんが、徐々に下値を切り下げていくマーケットをメインシナリオにしています。日米首脳会談後のリリーフラリーは、多少あるとは思いますが、吹きあがるところがあれば戻り売りで臨みます。米ドル/円をロングで攻めるのは、もう少し先になりそうです。

FRBはトランプ大統領の圧力に屈するのか

また、日米首脳会談以外で注目しているのはFOMCメンバーの動向です。直近ではウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁が「3月利上げの論拠もある」と発言しているほか、エバンズ・シカゴ連銀総裁も「年内3回の利上げを快適と感じる」と発言しています。このように最近はFOMCメンバーからのタカ派的な発言が目立っており、このタカ派の流れを継続していくかがポイントです。このタカ派的な動きはトランプ大統領に対抗しているようにも見えます。

トランプ大統領は「金利を上げてドルが強くなりすぎれば大問題だ」と発言しており、この発言に屈してしまうのかといった点に今後の注目が集まります。FRBが独立性を維持してトランプ大統領の介入を許さず、コンセンサスである年3回の利上げを実現できれば米ドル/円上昇のきっかけになるが、トーンダウンすれば円高に拍車がかかります。私は後者の可能性が高いと思いますが、今後もFOMCメンバーの発言等には細心の注意を払う必要がありそうです。

今週のテクニカル

テクニカル面では日足一目均衡の雲中央で動きにくい展開です。方向性を示す基準線(緑線)も明確な方向が出ておらず、今のところ米ドル/円相場がどちらかに崩れるシグナルは出ていません。

上値方向を目指すには先月からワークしている21日移動平均線(黄線)113.65円付近の上抜けが必須です。上抜ければ一目均衡表基準線の115円も見えてきますが、やや力不足でしょうか。

一方、下値は昨年11月29日安値111.60円や11月28日安値111.35円あたりがサポートになるでしょう。このレベルを明確に下抜ければトランプラリー上昇に対するフィボナッチ半値戻しの109.90円付近まで下値余地が拡大していきます。

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