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欧州ファンダメンタルズ入門|第11回 コロナ禍後の景気回復をチェックする重要経済指標[松崎美子]

欧州ファンダメンタルズ入門|第11回 コロナ禍後の景気回復をチェックする重要経済指標[松崎美子]

四つの指標に注目!

 5月に入り、欧州や英国では新型コロナウイルスによるロックダウンの一部解除が始まりました。ロックダウン中の各国経済は予想を超える低迷ぶりであり、発表される経済指標はことごとく予想を裏切る悪さが続いています。

 今後の景気回復を占う上で、どの経済指標を特に注意すべきか、私なりの考えを書いてみたいと思います。

①国内総生産(GDP)

 マクロ経済指標の王様であるGDPは、最も注目すべき指標といえます。欧州のほとんどの国が3月中旬から5月1週目まで自国経済を完全に閉鎖していたため、第2四半期の数字は前期比でマイナス2桁が予想されています。つまり、言い方は悪いですが「第2四半期は悪くて当然」ということです。

 問題はV字回復を期待する政府にとって、第3四半期以降の数字に改善が見られないときです。どのタイミングで、どのような対策を導入するのか? 欧州の一部の国では債務が膨らみ過ぎており、もし第3四半期以降に追加財政支出が難しくなれば、マーケットの絶好の餌食となります。その場合は長期金利が上昇し、ユーロ売りというシナリオが出てきます。

 GDP発表時の為替取引で気をつけたいのは、予想値を必ずチェックすることです。どんなに悪い数字が出たとしても、予想より良ければ「Buy the fact」でショートカバーによる買い戻しが出てくるからです。

ユーロ圏・ドイツ・英国それぞれの第2、第3四半期GDP速報値と改定値の発表日

 表①は、ユーロ圏・ドイツ・英国それぞれの第2、第3四半期GDP速報値と改定値の発表日をまとめたものです。英国はこれ以外に、毎月GDPが発表されます。ちなみに、イングランド銀行(BOE)は5月7日の四半期金融政策報告書で、第2四半期GDPは前期比-25%という見解を示しています。

②購買担当者景気指数(PMI)

 GDPの先行指標として重宝するのが、民間調査会社IHSマークイットが発表するPMIです。5月からロックダウンの一部解除が始まっているので、5月以降の数字は必ずチェックしましょう。その際には「経済全般で改善の兆しはあるのか?」「どのセクターの改善が弱いか?」などに注目。見所は尽きません。

 PMIの数字を基に為替取引をする場合、改定値は速報値とあまり変わらないことが多いため、速報値発表時を狙う方がポジションは取りやすいです。ただし、PMIは中長期的な景気拡大の有無を占うものなので、ボラティリティが高まり、通貨の乱高下を引き起こさないこともあります。そのときに既存のポジションがあれば、早々と利確してしまう方が安全です。

③景況感指数

 先進国経済の約8割が、個人消費を含むサービスセクターです。そのため、企業や消費者の景況感はとても重要になります。欧州で発表される関連指標はIFO企業景況感指数、ZEW景況感指数、GFK消費者信頼感指数の三つで、私は必ずチェックしています。

 景況感指数発表時の為替は、他の指標と比較すると動きは少ないですが、中長期的な景気のトレンドを予想する上で、この指標は今後特に欠かせないと私は考えています。

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④雇用関連指標

 5月1週目の米雇用統計はショッキングな数字となりました。しかし、あれは米国だけの出来事ではなく、欧州や英国でも失業者が多数出ていることに変わりありません。パンデミック以前からユーロ圏の雇用市場は米英と比較すると完全雇用からは程遠いレベルであり、今後はより悪化することが懸念されます。

 雇用市場が完全雇用から離れれば離れるほど、経済の緩みが大きくなり中央銀行のインフレ目標達成に時間がかかります。最悪の場合、ユーロ圏では低金利政策が長期化することもあり得るでしょう。今、金利の正常化を話すのはタイミング的に早過ぎますが、長期に及ぶマイナス金利の適用は銀行収益の逼迫など、弊害も心配されます。

BOE四半期金融政策報告書に載っていた第2四半期マクロ経済指標の予想

出典:BOE四半期金融報告書(2020年5月7日)

 図①は、BOE四半期金融政策報告書に載っていた第2四半期マクロ経済指標の予想です。BOEは今年から来年にかけ、英国経済はV字回復するという予想をしています。私自身はその予想に同意していませんが、もしBOEの予想通りになれば、第3四半期以降、GDPもインフレ率も大幅に回復しなければ達成不可能です。果たしてBOEの予想通りとなるのか、お手並み拝見といきたいところです。

※この記事は、FX攻略.com2020年8月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。

 

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ABOUT ME
松崎美子
松崎美子
まつざき・よしこ。スイス銀行東京支店でトレーダー人生をスタート。1988年渡英、1989年よりバークレイズ銀行ロンドン本店Dealing Roomに就職。1991年に出産。1997年に同じくロンドン・シティにある米メリルリンチ投資銀行に転職。その後2000年に退職。現在はFX取引に加え、日本の個人投資家向けにブログやセミナー、YouTubeを通じて欧州直送の情報を発信。著書に『松崎美子のロンドンFX』『ずっと稼げるロンドンFX』(共に自由国民社)。2018年より「ファンダメンタルズ・カレッジ」を運営。DMMで「FXの流儀」のオンラインサロンも始めた。 スクール:ファンダメンタルズ・カレッジ オンラインサロン:FXの流儀 ~ファンダ・テクニカルを語ろう~
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