第7回では、FXで最も重要だといわれる「メンタル」について、トレードに影響する意味や自分自身の問題点をピックアップし改善する方法などつづってまいりました。今回も引き続きメンタルについて別の視点から考えていきたいと思います。
毎年プラスが続く第3段階
この段階までたどり着くことができれば問題はなさそうにも思えますが「収益を増やす」という最も大きな壁に臨むことになります。「安定的に勝てるトレーダーなら簡単なのでは?」とも思えるこの行程ですが、実に多くの方が再び第2段階まで引きずり落とされるほど困難な過程であり、まさに己との戦いとなります。
一定期間、安定的に勝てるようになった方が収益の目標としてまず考えるのは、現在の仕事で稼いでいる年収です。これは最も身近な収入であるので比較しやすかったり、仕事を辞めて専業トレーダーになる基準にされることが多かったりするためですが、頭の中で具体的な数字が現れると必然的に1日あたりの収益目標を考えてしまうのが人間です。
仮に年収500万円の人なら営業日ベースの日当は約2万円ですが、この具体化された金額が一つの壁になってしまう場合があります。例えばトレードルール通りの正しい負けであったとしても1日の負けが2万円を超えると「仕事で稼いだ以上に負けてしまった」という事実が罪悪感や自己嫌悪となりメンタルが崩れてしまうケースがあります。また、「今日は1万円しか取れなかった」と翌日にリスク許容度を超えたトレード(ルール上の最大ロット数を引き上げるなど)で強引に補おうとするなど、目標金額そのものが精神的な影響を与えてしまうケースも少なくありません(専業主婦の方では毎月のお小遣いや目標額が当てはまります)。
「年収の壁」を数年間攻略できれば専業トレーダーになることも可能ですが、注意しないといけないのは、準備や心構えがしっかりしていないと再び兼業トレーダーに押し戻されたり、最悪は退場に追い込まれたりしてしまうことです。これも精神的側面が強く、一言でいえば「専業故のプレッシャー」です! 専業トレーダーになるのは会社を辞めて自営業になるのと何ら変わりなく、ドローダウンなど不調時の精神的負担は兼業時と比べものになりません。
その他、この段階までくると必然的に他の専業トレーダーとの交流が深まり、他人の成績ばかり気になる時期がありますが、これが原因でペースが狂い、最終的に失敗に終わるという方もたくさんいます。
改善のためのヒント
①年収の壁
①年収の壁。年収から導いた1日あたりの目標額を、現状の資金やトレードスキルが追いついた状況下で「1日の目安」程度に考えるなら問題ありませんが、資金やスキルが追いついていないにもかかわらず「ノルマ」にしてしまうと必然的に強いプレッシャーとなります。
そもそも相場は日々状況が移り変わるものです。得意な相場があれば逆に苦手な相場もあるでしょうし、事故的な損失(エントリー直後の急変など)を被る可能性もあるので「収益ありき」のトレーディングは不可能なのです。そのため、FXでの目標額は最終的に年単位のように長期で考えなければ成立せず、長期的な目標や計画の中で日々の目標(目安)を設けることが理想的です。
また、年や月、1日あたりの目標を設定するときは「300~500万円」「20~40万円」「1~2万円」というようにある程度大きな幅を持たせることも重要です。固定された金額にしないことで達成前のストレスを軽減でき、同時に相場で重要な「引き際」にも幅を持たせることができます。
②専業トレーダーのプレッシャー
②「専業トレーダー」で成功するためには準備と心構えが大切です。少なからずリスクが伴う専業トレーダーになるには、精神的な負担を抑えるために最低1年分の年収相当額を相場資金とは分離して確保することをお勧めします。これがあるかないかで専業になった後のプレッシャーは全く異なります。くれぐれもわずか1~2年勝ち続けたからと安易に仕事を辞めて専業になったりしないでください!
専業になるのは先ほども申し上げた通り、会社を辞めて起業するのと同じで、兼業で収入を得ていた状況とは心理的な意味でも全く違う世界ですから、計画的にしっかりとした準備と心構えが重要となります。
③他人の収益
③他人の収益はトレードのノイズにしかなりません。うらやんだり憧れたりする必要もなく、トレーダーとして大切なのは今の自分にできることを全力かつマイペースに頑張っていくだけです!
トレードとメンタルは切っても切れない関係
本能でもある「喜びや悲しみの感情」というのは人間だけが生まれ持った「人として大切な心」です。切り離して考えることができないFXでは本能に逆らうのではなく「感情を抑制・回避」することが重要となります。メンタルは簡単に鍛えられるようなものではありません。まずは自分自身の精神状態を安定させ、冷静な判断ができる状態でのみトレードすることを心がけ、トレード中は「精神が不安定になる要因や状況を避ける」ことを常に意識しましょう。
次回は「スキャルピング手法①(仮)」と題しまして、スキャルピング手法の構築、具体的なタイミングや考え方など、私のトレードスタイル(手法)を交えながらご紹介させていただきます。
※この記事は、FX攻略.com2019年5月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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取引単位 | 少額取引ができるかどうか。運用資金が少ないなら要チェック。 |
取引ツール | 提供されるPC・スマホ取引ツールの使いやすさ。MT4ができるかどうか。オリジナルの分析ツールの有無。 |
シストレ・自動売買 | 裁量取引とは別に自動売買のサービスがあるかどうか。 |
サポート体制 | サポート内容や対応可能時間の違いをチェック。 |
教育コンテンツ | 配信されるマーケット情報や投資家向けコンテンツの有無。 |
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