裁量トレーダーの方は日々忙しく取引していると思いますが、なかなかついていけないという方には自動売買(シストレ)という選択もあります。今回は連続発注機能を利用した投資の基本的な考え方や戦略についてまとめていますので、ぜひお役立ていただければと思います。
※この記事は、FX攻略.com2017年3月号の記事を再編集したものです
ゆきママ プロフィール
ゆきママ。普通の主婦で1児の母。2008年からFXをはじめ、失敗を繰り返しながらも着実に利益を上げて、合計1500万円以上稼いでいます。裁量トレード信奉でしたが、最近は子育ての忙しさからシストレ(自動売買)も積極的に取り組み始めました。ブログでは日々の相場状況や経済イベントなどについて解説している他、収支についてもまとめています。
連続発注の基本はレンジ!広く薄く、すぐに結果を求めない
最近はレートの変動に合わせてトレンドを追いかけていくような機能が搭載されたり、トレール注文を利用して指値(利食い)や逆指値(損切り)をスライドさせたりして利益を最大化するといった新たな試みが行われています。
しかし、連続発注機能を利用した運用における基本は、一定のレンジで動く相場を攻略することです。まずはこれを念頭に置いて戦略を考えたいところです。
また、当然ですが注文を仕掛けた範囲からレートが外れてしまうと機能しなくなるため、なるべく広く薄く注文を仕掛けることも重要です。ただし、広く仕掛けることで1回あたりの利益は薄くなりますし、同時に含み損を抱えやすくなっていますから、すぐに結果を求めないということも心に留めながら運用を続けていきましょう。
運用に向いている通貨ペアを見極める3つのポイント
ここでは、運用に向いている通貨ペアを見極めるためのポイントについて解説していきます。実は通貨ペア選びが運用の成否の半分を決めるといっても過言ではありませんので、最低でも以下の三つの観点を意識して選ぶようにしましょう。
ポイント① 高低差 長期的推移の高低差(高値と安値)の確認
最初に見るべきは『高低差』です。できれば、過去数年間の最安値と最高値を確認するようにしましょう。裁量においてはトレンドのある通貨ペアが人気ですが、連続発注機能を利用するのであれば狭めのレンジで上下しているものが有力となります。
図1、2は過去2年間の「米ドル/円」と「ユーロ/米ドル」のチャートとなりますが、一目瞭然で狭めの一定レンジで上下を繰り返した「ユーロ/米ドル」の方が向いていたといえるでしょう。実際、ゆきママも2016年は「ユーロ/米ドル」で連続発注型のシストレ運用を行っていました。
この他、過去最安値というのも一つの目安になります。将来にわたって必ずしも過去最安値を更新しないというわけではありませんが、下値のめどとして参考にすることは十分可能です。
逆にこのことから、現状で過去最高値近辺にある通貨ペアはあまり適さないともいえます。調整下落も含めて、高値近辺から急落することも考えられますから、中間のミドルレンジ帯で上下を繰り返しているものが理想でしょう。
ポイント② 総推移(上下を合わせた延べの値動き)
『総推移』とは、連続発注機能を国内でいち早く開発したマネースクウェア・ジャパン(M2J)が提唱した概念で、一定時間の高低差を合算した延べの値動きを表しています。
例えば、あるクロス円通貨の1日(24時間)における高低差が2円だとしても、1時間足で常に1円幅の上下があるとすれば、1時間足で見たときの総推移というのは1(円)×24(時間)=24円とすることができます。ちなみに、M2Jでは期間内(1年間)における4時間足の高低差を合計したものを総推移とし、ウェブサイト上に掲載しています。
M2Jの開発したトラリピ(トラップリピートイフダン注文:図3)に代表されるように、連続発注機能は一定のレンジ内で細かい上下を繰り返せば繰り返すほど新規&決済注文が約定して利益として積み上がっていきますから、この総推移が非常に重要というわけです。
ポイント③ 証拠金 運用に投じる証拠金の多寡
投資資金が潤沢にあるという方であれば問題ないかもしれませんが、多くの方は30万円だとか、せいぜい100万円程度での運用を検討しているのではないでしょうか? そんなときには、通貨ペアにおける『証拠金』の多寡にも注目しておきましょう。
日本円に換算したときの価格の高低によって、必要な証拠金額も上下することになります。例を挙げると、「ポンド/円」(1ポンド=150円)では約6000円、「トルコリラ/円」(1トルコリラ=30円)であれば約1200円と5分の1で済みます(※1000通貨あたりの必要証拠金額。レートやFX会社によって若干の違いがあります)。
幅広い範囲にたくさん仕掛ける(発注する)ため、拘束される資金量は相当なものです。裁量トレード以上に運用資金が必要になることは間違いありませんので、運用資金に合わせて通貨ペアを選ぶということも考えておきたいですね。
許容リスクを考慮した注文の作り方とは?
繰り返しになりますが、自動発注機能を利用した運用は含み損を抱えるのが前提となっています。したがって、自身のリスク許容度に合わせて注文を作っていくことが必須なわけですが、一体どれくらいなら自分が耐えられるのか分からないという方もいらっしゃることでしょう。
このリスク許容度には個人差があるので一概に示せませんが、最低でも発注した全ての注文が成立した レートで、「まだまだイケる」あるいは「これから利益がどんどん積み上がっていく」など、ポジティブに捉えられるということが、一つの目安となると考えています。大まかな数字については、以下の式で導くことができます。
(注文レンジの上限ー注文レンジの下限)÷2×合計ポジション量
例)
1ドル=100円~110円まで1円幅で11本の買い注文(1本あたり1000通貨)をした場合、全ての注文が成立した瞬間に(110円ー100円)÷2×1万1000通貨=5万5000円の含み損となる。
もちろん、注文レンジを抜けて一段と相場が逆行していくと、ますますリスクは増えることになりますから、この程度の含み損を見てネガティブな印象を持った場合は、注文数や1回あたりのポジション量を減らすといったことが必要です。
実践の前には、各社のシミュレーターなどを利用して細かく分析したいところですが、ふと注文を思いついた際に前段階としてざっくり計算し、自身のリスク許容度と照らし合わせていただければと思います。
連続発注機能を利用した運用は含み損を抱えるのが前提となっています。したがって、自身のリスク許容度に合わせて注文を作っていくことが必須となります
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性格に合わせて戦略を練りましょう
完全に売買プログラムの判断によって運用する選択型の自動売買と異なり、連続発注機能を利用した自動売買は運用方針を決定する余地がかなり残されていますから、性格に合わせた戦略を練っていきたいところです。
具体的には、せっかちな性格であれば利食い幅を少し狭めて毎日利益が得られるように設定する。あるいはリスク許容度が低く含み損を抱えるのが苦手という方は高低差の小さい通貨ペアを優先して選ぶ、といった感じでしょうか。
メディアでは自動売買を「ほったらかし」とか「果報は寝て待て」というフレーズで表現していますが、裏を返せば気長に運用をすること、じっくり待つことが求められているということでもありますからね。
決して難しく考える必要はありませんが、特性を理解し自分自身に合わせて戦略を作ることも継続運用のポイントです。投資したことがある方はこれまでの経験から、投資したことがない方は人生における傾向を踏まえて取り組んでいただけますと幸いです。
※この記事は、FX攻略.com2017年3月号の記事を再編集したものです
シミュレーションができて連続発注機能が使えるFX会社はこちら!
マネースクウェア・ジャパン(M2J)
M2JFXのパソコン用・iPad用の取引ツールでシミュレーション機能が使えます。2017年4月にバージョンアップし、シミュレーションの幅が広がりました。
アイネット証券/ループイフダン
連続発注系の自動売買ループイフダンの無料デモ口座があります。こちらを開設すれば本番とほとんど変わらない環境下でフォワードテストを行うことが可能です。
外為オンライン/iサイクル注文・サイクル注文
iサイクル注文とサイクル注文のシミュレーションができる無料のデモ口座があります。デモ口座の開設は外為オンラインの公式サイトから行えます(下のバナーからだと本番口座を開設できます)。
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\FX会社によって違うところをチェック/
スプレッド | FX取引における取引コスト。狭いほうが望ましい。 |
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約定力 | 狙った価格で注文が通りやすいかどうか。 |
スワップポイント | 高水準かどうか。高金利通貨の取り扱いの数。 |
取引単位 | 少額取引ができるかどうか。運用資金が少ないなら要チェック。 |
取引ツール | 提供されるPC・スマホ取引ツールの使いやすさ。MT4ができるかどうか。オリジナルの分析ツールの有無。 |
シストレ・自動売買 | 裁量取引とは別に自動売買のサービスがあるかどうか。 |
サポート体制 | サポート内容や対応可能時間の違いをチェック。 |
教育コンテンツ | 配信されるマーケット情報や投資家向けコンテンツの有無。 |
キャンペーン | 新規口座開設時や口座利用者向け各種キャンペーンの内容。 |