トレンドに乗るためスイングを引いてみる
これまでにこの連載やセミナーなどで解説してきた通り、私の基本的なトレードスタンスは、押し目買いや戻り売りを狙うものです。
押し目は上昇中の一時的な下落、戻りは下降中の一時的な上昇のことで、このタイミングを狙ってポジションをもちます。このスタイルは、短期視点では逆張り、長期視点では順張りになります。
この考え方に基づいてトレードをするためには、まず現在のトレンドを把握することが前提となります。どちらに相場が向かっているかで戦略を構築しなければいけませんし、トレンドがなければ押し目や戻りという考え方自体が成り立ちません。
トレンドを把握するアプローチはさまざまですが、私がよく用いる考え方のひとつに「スイングを引く」というものがあります。
チャート上の突出した高値と安値を結んでいくと、いろいろなことがわかっています。なお、スイングを引くときは、目立つ高値と安値のみを目印とし、山と谷をなるべく大きく解釈することが大切です。
推進と調整が必ず交互に現れる
さて、実際にチャートにスイングを引いてみると、上昇と下降が必ず交互に訪れていることが一目瞭然です。いついかなるときでも、相場は一方的に上がり続けることも、下がり続けることもないのです。
このことを理解するだけでも、頂点で買ったり、大底で売ったりするリスクは減少するでしょう。
そして、トレンドがある状況では、長いスイングと短いスイングが混在することになります。
トレンド方向へ動く長いスイングを「推進」、トレンドの逆方向へ動く短いスイングを「調整」と呼びます。
トレンドに乗って利益をあげるためには、今の動きが推進なのか調整なのかをしっかり見極める必要があります。トレンドに沿った推進は大きく値動きしますので、うまくつかまえることができれば大きな利益を出すことができます。
逆に、トレンドに逆らう動きである調整に乗ってしまうと、値動きする幅が小さいため利が乗りにくく、また再度推進が始まれば含み損となってしまうからです。
また、押し目買いや戻り売りという観点からも、推進と調整の見極めは必須です。
たとえば、押し目は上昇するなかの一時的な下降ですから、まさに上昇が推進、一時的下降が調整にあたります。
スイングの階層を意識してチャートを分析する
チャート上にスイングを引いて分析をしていくうえで、常に階層を意識することが大切です。
たとえば、日足では一直線のスイングであっても、1時間足を見れば、そのなかにいくつもの上下動が含まれているものです。
山と谷の集まりがひとつのスイングになり、それらがさらに集まることで、それより長い時間足でひとつのスイングになるのです。
自分が表示しているチャート上では一方的にトレンドが現れているように見えても、長い時間足でその部分を見ると、推進と推進の間に挟まれる調整のタイミングにあたる可能性もあります。
こういったケースで、短い時間足の分析のみでトレンドに乗ったつもりでも、もっと長い時間足を基準に見れば、調整のタイミングで仕掛けてしまっていることになり、長い時間足で推進が始まり損切りにかかってしまうことにつながります。
よって、時間足のことなるチャート分析をする際には、長いものから短いものという流れが望ましいでしょう。
調整時特有のパターンを覚える
推進と調整を見極めるにあたり、ここからは調整によく見られる特徴に着目するアプローチを紹介します。
まずわかりやすい特徴として、調整時は上昇や下降の角度が浅くなりがちです。大きな流れに対しての一時的な反発が調整ですから、値動き自体のパワーがないことが原因です。
また、調整時には、押し目や戻りが深くなる傾向があります。これも角度同様に一方向に向かっていくパワーが少ないことが原因です。
調整の動きをトレンドとしてとらえることも可能ですが、あまり狙うべきでないことはすでに述べた通りです。値動きの角度が浅い、押し目や戻りが深いという調整の特徴が、まさにその理由になります。
角度がゆるければ利が乗りにくく、押し目や戻りが深ければ含み損になりやすく、また損切りのラインもそれだけ深くなるからです。
押し目や戻りの深さとも密接に関係しますが、調整時にはスイングが重なるという特徴も覚えておきましょう。
スイングが重なると言葉でいうと難しいですが、図を見れば一目瞭然です。
同じ方向のスイングについて、となり同士のスイングの縦ラインが重複するのは当然ですが、調整時には値動きの角度がゆるく、押し目や戻りが深いため、ふたつとなりのスイングとも縦のラインが重複することが一般的です。これがスイングの重なりです。
逆に、推進時には、ふたつとなりのスイングと重複することは基本的にありません。
スイングの重なりをチェックするだけで、今が調整なのかどうかを高い確率で判断することができるのです。
また、チャートパターンにも、調整時によく現れるパターンがあります。
すでにご存知の方も多いかもしれませんが、私がよく記事やブログのなかで書く「フラッグ」「ペナント」といったパターンは、推進と推進に挟まれた調整でよく見かけるかたちです。
また、トレンドと逆方向にジリジリ下げたり上げたりするかたちや、横向きに揉み合うパターンも調整のときに多いかたちです。調整は明確な方向性やパワーにとぼしいからこそ、こういったハッキリしない動きが現れます。
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トレンド転換時に頻出するパターン
相場を分析していくうえで、推進と調整が交互に現れることは意識すべきですが、すべての推進のあとに必ず調整が現れるわけではありません。
推進のあとに調整がくるのは、トレンドが継続している場合のみ。トレンドが転換すれば、これまで調整だった動きが、今度は推進に変化します。
よって、私のトレンドを追うトレードスタイルでは、最後に必ず一回負けることになります。
トレンドはいつか必ず終わりますので、そのタイミングで損失が出るのは避けられないのです。だからこそ、損切りが必須となります。
トレンドが続伸しなかった場合の損失を限定することが、トレンドフォロー型手法の必須条件です。
なお、トレンド転換点に現れやすいかたちはいくつかありますが、ぜひ覚えておいてもらいたいかたちとして「2バーリバーサル」があります。
長く伸びた陽線と陰線、あるいは陰線と陽線がとなりあうかたちです。このかたちが出ると、トレンド入れ替わりが発生しやすくなります。
実際のチャートから調整と推進を確認
それでは、実際のチャートで推進と調整の関係を見てみましょう。
図5、は今年1月下旬の、「米ドル/円」4時間足です。皆さんもご存知の通り、昨年秋から始まった円安の強い流れが継続中でした。図5を見れば一目瞭然で、上昇のスイングは長く急角度なのに対し、下降のスイングは短く、角度も緩やかです。
つまり、上昇が推進、下降が調整なのですが、ピンク色の丸で囲んだ調整のひとつを拡大したのが図6(60分足)です。
チャネルライン(緑)を引いてみればわかる通り、たしかに流れは下降で、高いところから売りたくなってしまうかもしれません。
しかし、下落の角度が緩やかで、戻りも深く、またスイング同士の重なりも確認できます。
また、この部分自体が4時間足上では、明らかにフラッグのようなかたちをしていることもあり、ショートをすべきではない調整タイミングであることが判断できます。
結果論ではありますが、実際のこの場面でも直後に上昇が始まっており、売りで仕掛けても、満足に利益を得る前に含み損を抱えてしまう展開でした。
常に意識して分析することから始めよう
ただし、このような判断は、過去のチャートを振り返るなら簡単ですが、リアルタイムの場合、そう簡単にはいきません。
推進と推進に挟まれていれば容易に調整と判断できますが、推進から続く値動きのその先にまた推進がくるかどうかは、なかなか予測しにくいものがあります。だからこそ、常に「今は調整なのか?」と疑いながらチャート分析をすることが大切です。
すでに紹介した調整時に出やすいパターンを意識しながらチャート分析をすることで、調整の形をいち早く察知し、推進の動きを丸ごと利益にできる可能性が広がります。
また、自分が好きな調整パターンを見つけ、その形を常に探し続けるトレーニングも効果があります。いつも意識して探すことで、素早く調整のかたちに気づけるようになります。
今の値動きが、推進なのか、調整なのか、まずは、これを意識してチャートを見ることから始めてみてください。そして、チャートの動きをその前後の時間足で確認しながら、各階層のスイングをしっかり観察するようにしてください。
最初のうちは、訳がわからないこともあると思いますが、見ているうちに、大縄跳びに飛び込むときにタイミングを計りながら入っていくように、相場でのエントリーするタイミングが計れるようになるはずです。
チャートは何となく見ていても成長しません。注意すべきポイントをしっかり意識するようにしてください。きっと成長が早くなるはずです。(月刊FX攻略.com 2013年5月号掲載)
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