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日銀に引き締めの意図なし!金融政策決定会合はドル円の買い場提供か[雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2018年7月30日号

先週のドル円相場

先週のドル円相場は軟調となり一時110.59円まで下落した。「日銀が長期金利の誘導目標の柔軟化を検討する」、「金融政策の正常化に動き始める」といった観測が浮上し、国債利回りが上昇したことが影響した。日銀がゼロ%程度に誘導してきた10年債利回りは、1年ぶりに0.1%台に上昇した。

日銀金融政策決定会合がヤマ場

今週のヤマ場は、今日・明日開催される日銀金融政策決定会合である。報道によると、日銀は市場機能の低下や金融機関の経営に及ぼす悪影響など、超金融緩和の長期化で累積する副作用を軽減する方策を模索しているという。日銀が今回の会合で金融政策を微調整する可能性は本当にあるのだろうか。

筆者はその可能性は極めて低いと考えている。緩和政策の副作用について点検することは大いに結構だが、民間金融機関の収益に配慮して金利の上昇を容認するというのはまったくの本末転倒だからだ。日銀が目指すべきは物価目標の達成であって、銀行や債券ディーラーへの収益機会の提供ではない。

しかも、その物価目標2%は達成のめどが立っていないどころか、会合後に発表される展望リポートで物価上昇率の見通しを下方修正する方向だ。今年度は4月時点の1.3%から1%前後に、来年度は1.8%から1%台半ばに下げるとみられる。本来であればむしろ金融緩和のさらなる強化を検討すべき局面なのである。したがって、日銀が金融緩和の出口戦略や金融政策の正常化を考えるのは時期尚早であり、今回の「国債の乱」はカラ騒ぎに終わる公算が大きい。日銀会合を無風で通過すれば、3月以来のドル高トレンドが再開する可能性が高くなる。

日銀が何らかのアクションを起こすなら

とはいえ、火のないところに煙は立たないもので、日銀がイールドカーブコントロール政策に「柔軟性」といった尚書きを挿入してくる可能性はないとは言えない。ただその場合でも、日銀に金融引き締めの意図がないことが明白である以上、材料出尽くし、セル・ザ・ファクトの反応となるのではないか。たとえば、日銀が10年債利回りの上昇を0.2%まで容認したとすれば、債券ムラでは蜂の巣をつついたような騒ぎになるだろうが、市場全体から見ればたかが0.1~0.2%の金利変動に過ぎず、どうということはない「コップの中の嵐」だからだ。短期的にはともかく、中長期的に円が買われる材料になるとは考えにくい。日銀が何らかのアクションを起こし、ドル円が下落するならば、そこは絶好の買い場ととらえたい。

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