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北朝鮮リスクVS日米金融政策[井口喜雄]

トレイダーズ証券の井口喜雄による【Dealer’sEYE】をお届けします。

北朝鮮が「アメリカから宣戦布告を受けた」との発言や「米爆撃機の飛行を受け、東岸の警備の強化」などの発言から局地的なリスクオフへの対応を迫られています。一方、良好な米ファンダメンタルを背景とした断続的なドル買いのほか、昨夜はイエレンFRB議長が公演を行いサプライズはなかったものの、利上げに対して前向きな姿勢を再確認できたことでドルは上昇しました。このようにドル円は北朝鮮によるリスクオフの下落と日米金融政策による上昇という構図が鮮明になってきました。

米12月利上げが既定路線に

昨夜、イエレン議長は講演で、懸念材料となっている物価の伸びの鈍化は一時的なものだという認識を示したうえで、雇用の改善などを踏まえ、緩やかな利上げを続けていく考えを強調しました。前回FOMCの発言から大きな変化はなかったものの、マーケットは利上げに対して自信を深めたようで12月の利上げ確率は80%付近まできました。9月の初めが30%台だったことを考えるとここにきて一気にモメンタムが変わってきたことがわかります。

この利上げ確率ですが、イエレン議長が利上げに踏み切った局面はこれまで80%以上を織り込んでいた経緯があり、この80%以上というのは一つの物差しとなる数字だと思います。

ここにきてイエレン議長が利上げを織り込みにきた一方、日銀黒田総裁からは一向に出口が見えておらず、日米金融政策が真逆となるこの状況では基本的には強気スタンスになります。また、来週から雇用統計をはじめ米重要指標が続きますが、ハリケーンの影響から低調な結果がある程度織り込まれているだけに、良好な結果にはドル買いで反応しやすくなるとみています。

北朝鮮リスクは軽視できず

日米金融政策からドル円は買っていきたいところですが、正直北朝鮮がどの様な行動に出るのか、まったく予測できません。

マーケットでは実際の軍事衝突はないと考えているため、リスクオフ局面では押し目買いととらえていますが、いつまでもこのロジックが通用するとは思いません。参加者の多くがこの心理になったとき大けがをするように思います。ドル円の強気スタンスは変わらないものの、北朝鮮リスクは軽視できず、ロングポジションは長く持たずに、短期でポジションを回転させていく方針です。

200日移動平均線をめぐる攻防が要となるか

ポイントとなる200日移動平均線付近でもみ合いがつづいていましたが、現在は上抜けており、このまま下値を固めていくようであれば7月の高値114円台も見えてきます。一方、下抜けた場合は上値への仕掛けは失敗となるため、200日移動平均線をめぐる攻防が要となりそうです。

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