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英中銀からの発表方法の変更[松崎美子]

米英欧それぞれの中銀は、金融政策に関する発表を独自のタイミングで行っています。まずそれをご紹介しましょう。

英中銀からの発表方法

※ ただし、第一週が月曜日から始まらない月は、第二木曜日となる
※※ ただし、第一週が月曜日から始まらない月は、第三木曜日となる

そして、2015年8月からBOEだけが、これら3つを全て同じ日に発表することになりました。つまり今週木曜日(8月6日)には、① 政策金利の発表 ② 議事録 ③ 四半期インフレーション・レポート ④ インフレ・レポートに関する記者会見全てが発表されるのです。この変更の根拠について、カーニー総裁は、「全て一緒に発表する方が中銀の決定内容に対し透明性が出るからだ。」と仰っていますが、マーケット参加者にしてみれば、迷惑な話です。

発表時間

気になる発表時間ですが、以下の通り決定されました。

発表時間

つまり、ロンドン時間昼12時に全て発表され、その45分後に記者会見という運びです。四半期インフレーション・レポートは通常50ページ以上に及ぶ長いレポートですので、果たして45分間で全内容が把握出来るのかは疑問ですが、少なくとも記者会見が12時にスタートしないのは、ありがたい話しです。

予想されるマーケットの反応

政策金利の変更はないでしょうから、その部分は省略します。これはあくまでも私個人の考えですが、12時の発表と同時に、まずマーケットが一番先に反応すると思われるのが、「議事録での政策金利決定に対する投票数」です。その理由は、議事録はインフレ・レポートと比較して、内容が短く反応しやすいからです。

この場合、今までずっと9対0で据え置き決定となっていた金融政策理事会(MPC)でしたが、先月の議事録によると、「利上げか据え置きか紙一重の違いで、据え置きに票を入れた。」という理事が何人かいたことが判っており、たぶん少なくとも2名の理事が今月は利上げに票を入れるんじゃないか?というのが、現在のコンセンサスとなっているようです。マーケットは事前にそれを織り込みにかかるでしょうが、やはり7対2という数字が確認されれば、ポンド買いに弾みがつくと私は考えています。

マーケットの反応

次は、インフレ・レポートですが、その中でも特に…

・利上げ時期の変化

最近のカーニー総裁の発言によれば、私たちが想定しているよりも早い時期の利上げとなりそうですので、当然レポート内での利上げ時期も前倒しされていると思われます。ちなみに、前回5月のインフレ・レポートでは、「2016年第2四半期」が最初の利上げ時期となっていました。

・インフレ見通し

これまた最近のカーニー総裁などの発言によると、英国のインフレ率は最近の原油安の影響で低空飛行をしているが、年末くらいにはその効果も薄れ、インフレ率の上昇に結びつくという見解を示しています。今回のインフレ予想が、5月よりもどの程度上方修正されているのか?がポイントでしょう。

・GDP見通し

5月のインフレ・レポートでは、GDP予想を大きく下方修正していました。その決定理由として、① 長期金利上昇と金利先高観、② ポンド高、③ 住宅建設の遅れと生産性の低下ーを挙げています。

最初の2つについては、今回も状況は全く同じです。③に関しては生産性の低下がだいぶ少なくなってきたとMPC理事達は説明しています。ですので、それを相殺すると、将来のGDP予想は、ほぼ横ばいかな?と考えています。ただし、5月より更にポンド高がすすんでいるため、そこを重視するのであれば、今回ももう一段の下方修正という可能性がないとも言い切れません。

まとめ

議事録とインフレ・レポートを総合すると、ややポンド買いに結びつく内容となるイメージが自分の中では強くなっているのですが、新しい発表方式は今回がはじめてですので、どのタイミングでポンドの売りと買いが出てくるのかなど、マーケットの動きが予想つきません。

5月のインフレ・レポート発表時には、GDP見通しが予想以上に悪かったことを受けて、発表と同時にポンド/ドルは100ポイントを越す下落となり、その後75ポイントほど戻して終わっています。

今回は議事録内で、政策金利決定に対する投票の割合が、8対1になれば、ポンドは下げ。逆に、6対3となれば、一気に100ポイントを越す急騰となりそうです。

45分後にはじまるカーニー総裁達の記者会見で、ポンドの動きに水を差すような発言が出れば話しは別ですが、現在ポンド/ドルはトライアングルとなっているため、1.5575付近がサポートされ、1.5660近辺まで上昇するというのが理想的な形です。

ただし、木曜日は発表される内容が多岐にわたっているため、ボラティリティーが高まる可能性を考慮して、最大の下落ポイントとして、チャート上の水色線が通る1.5520/30を、上昇ポイントとして黄色線が通る1.5680/90を予想しています。もし黄色線が上に抜けると、1.57ミドルくらいまでの上昇があるかもしれません。

ポンド/ドル
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