皆さんは、FXにおけるバイブル的な本をお持ちですか? バイブルとは、特定の分野における座右の書や愛読書のことです。為替相場のプロたちは、一体どのような本をバイブルとしているのでしょうか。長年ディーラーとして活躍してきた水上紀行さんに教えてもらいます。
※この記事は、FX攻略.com2018年2月号の記事を転載・再編集したものです
250年以上たっても色褪せない酒田五法
私のバイブルは、日本証券新聞社編著の『酒田五法は風林火山』です。実は、ほとんど相場関係の書籍を読んだことがありませんが、たまたま邦銀にいたころ巡り合ったこの本を、今でも辞書代わりのように読み返していることが結構あります。
普遍性という点において、酒田五法の右に出るものはないと思っています。私が、酒田五法が好きな一番の理由は、まさにシンプルだからです。 酒田五法が本間宗久翁によって編み出されてから250年以上にもなりますが、この長い時の流れに押し流されることなく、現在の相場にも十分に通用していることは驚嘆に値します。
250年といえば、大変な歳月です。その間にはいろいろなことが起きたことでしょう。それでも陳腐化せず、普遍的であり続けていたのは、間断なく余分なものを削ぎ落とし、無駄のない分析法であり続けたためだと思います。その結果、酒田五法を本物にさせているのだと考えています。
本書では、いわゆるローソク足・チャート分析の解説に止まらず、あらゆる局面における心構えが述べられており、それが読んでいて本当にためになります。いわばトレーダーの心の拠り所といっても過言ではありません。その名言とチャートパターンをいくつかご紹介しましょう。
「投機をなす者、楽悲を戒む」
この言葉を書いた紙ペラが、昔から私のディーリングデスクの上にちょこんと置かれています。相場をやる以上は、勝った負けたとはしゃいだりしょげたりせず、常にポーカーフェイスであるべきだという戒めと捉え、相場に向かう時々にチラッとこの言葉を書いた紙ペラを見るようにしています。
勝てば気が大きくなってもっと儲けようという欲望が膨らんで利食わず、折角の儲けを飛ばしたり、負ければ悔しさのあまりにまた突撃して物もいえないほどやられ、しょげ返ったりする。これを繰り返していては成長しません。勝てば勝つほど浮き立つ気持ちを自制し、負ければ悔しさで熱くなる気持ちをグッと抑え、この負けを決して忘れまいと思うことが、次へのステップアップにつながるのではないかと個人的には思います。
FXを投資として考えているのであれば、自分の大切なお金を使う以上、リターンがあってこそです。言うは易く行うは難しではありますが、トレードの際はこの「投機をなす者、楽悲を戒む」という言葉をぜひ思い出してください。
「相場の型、人の顔同じものなし」
あのときのチャートパターンと今のチャートパターンが似ているから、今回も同じ動きをするのではと見て相場を張ったら、思わぬ逆襲で痛い目に遭ったことがあります。よくよく考えてみれば、同じように考えて同じようにポジションを張る人間が増えれば増えるほど、ポジションが一方にどんどん傾くわけですから、逆方向に行きやすくなることも道理です。本間宗久翁が語っているように、「相場の型、人の顔同じものなし」です。あくまでも、そのときと今とでは、置かれている環境が違うわけですから、まれに同じ動きをすることがあるにしても、基本的には全く異なるものと見るべきです。
また、本間宗久翁はこのようにも語っています。「罫線(チャート)カブレ、堅く戒む」。チャートだけでなく、相場は政治・経済情勢、資本のフローなど複合的な要素を含めて見ていくべきものだと思います。
「三兵(さんぺい)」
私自身の経験からして、相場が底値を打って上げ始めるチャートパターンの中で、確率高くその可能性を示すものだと実感しているのは、酒田五法の「三兵」です。『酒田五法は風林火山』では次のように解説しています。
「上伸開始の象徴とされる。ある程度の底もみを経た市況から、意外にも短線ながら陽線三本連続した線型をいう。(抜粋)」
私なりに、もう少し長めで見たこのチャートパターンの基本形を申し上げますと、以下のようになります。形状は、女性のハイヒールを真横から見たイメージです。つまり、かかと部分でグンと下げた後、いったんはかかとの高さまで戻すものの、そこからダラダラと下がりだし、足の裏にあたる部分が長めの底値圏となります。そして、そこからつま先に向けて緩やかながら上がり出すと上げのサインとなり、陽線三本を連続的に出してかかと部分あたりの高さまで上げ、いったん大き目の下げへの戻しがありますが、それでも下げきれないとさらに上伸を続けるというものです。
下げから上げへの切り返しはVの字を描く場合もありますがそれはまれで、上述のような下値をしつこく試すものの下げこじれて上げ始めてくると、本当の上げになることが多いといえます。ですから買い下がりで頑張るよりも、下値は試すけれども下げこじれてきていると見てから買い始めても全く遅くなく、むしろリスクは低いと見て良いと思います。
このように私は酒田五法にかなり傾倒し、迷ったときには『酒田五法は風林火山』を繰り返し読んでいます。シンプルで読みやすく、私のバイブルだといえます。
※この記事は、FX攻略.com2018年2月号の記事を転載・再編集したものです
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