【来週の米ドル/円予想レンジ】→ 110.50-114.00
「Fed scales back forecasts for rate rises(FRB、利上げ予想を後退)」-。これは3/17英経済紙一面だ。FRBは3/16のFOMCで追加利上げを見送った。FOMC参加者が予想する年内利上げ回数は、昨年12月時点の4回から2回に修正。次回利上げ予想時期は6月以降と読むのが無難となった。
イエレン議長とトランプ氏
イエレン議長の慎重な姿勢を踏まえると、米利上げ期待を背景とした一本調子のドル高円安期待はしづらくなってきた。警戒しているのは、政治スローガンに「Make America Great Again」を掲げる米大統領選候補トランプ氏の「米国利益≒ドル安≒雇用・製造業保護」という直線的で過激な排他主張とイエレン議長の慎重な判断が融和してドル低迷が長引く恐れである。
黒田総裁と安倍首相
3/16の衆院財務金融委で「金利をマイナス0.5%程度まで引き下げることはできるのか」、という質問に対し「その通りです」と日銀黒田総裁は答弁。追加緩和を辞さない考えを示した。
一方、「国際金融経済分析会合」での有識者見解を大義に、増税延期を視野とした安倍首相の動きが指摘され始めた。勿論、“財政規律派の説得”が課題となるが、株価へのプラス効能と個人消費の持ち直しを狙って“手持ちのカード”を切り始めた格好だ。
「金融緩和」「増税延期」「財政出動」、そして「衆参同日選」。あがりを「憲法改正」とするなら、それを阻害する円高進行は甘受できない、させられないという「円高絶対防衛圏」としたカードが浮かび上がってくる局面と読む。
3月末のドル円焦点
3/17の1ドル111円割れ後に日銀レートチェック報が伝わると、一気に112.01円に反転する場面があった。筆者の経験上(10年以上前に日銀担当)では、日銀はあくまでも実務であり、介入の意向は財務省国際局為替市場課の所管であると認識している。
そうなると麻生財務相・浅川財務官の行動報が重要なのだが、にもかかわらず、日銀レートチェック報で市場が動いたということは、それだけ市場が警戒を強めていることの証でもある。
輸出法人の期末決算円転需要が峠を越えた観測から、上値焦点は前出の112.01戻り高値、超えれば3/17高値112.965や90日線113.00、更には3/15-16高値の113.83、114.18まで期待値として推考している。下値焦点は111円台維持。割れると3/17安値110.65、そして2014/10/31の節目110.50-20が意識される。
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