FX力を鍛える有名人コラム

相場の入り方、出かたの達人を目指そう!~データにも注意[持田有紀子]

今回は、相場において提供されるデータを過信してはいけないことについて述べます。今回、ここでいうデータとは経済指標などのことではなくて、いわゆる「手口」、すなわち誰が買っているか、売っているかに関することです。

見たところ、日本人はどうしても手口というものが好きでたまらないようです。村社会的なメンタリティが強いといわれる日本人にとっては、他人がどうしているのかというのがとても気になるかもしれません。

それゆえか、金融マーケットの取引においても、売買の主体が誰であるかを知りたがり、それに基づいて自分の投資スタンスも決定するという状態になってしまいがちです。

結論からいうと、相場で取引する分には、それが短期であればあるほど、あまり「誰が買った」とか、「誰々が売って相場が下がった」などという情報に振り回されるのは得策ではないということなのです。

取引の手口

日経新聞などには相場欄のところに、かならずブローカー、すなわち、仲介業者の取り扱いのボリュームが掲載されています。

これを見ると、そのほとんどは外国の業者です。しかも、欧州系ばかりが目につきます。

以前は本邦の証券会社の大手も載っていました。さすがに手数料の値下げ競争などで勝てなくなってしまったのでしょうか、もしくは電子取引に力を入れていないのか、すでにその過去の姿の片鱗もありません。

また、米系のブローカーが少ないのは、アメリカはヨーロッパと違い、いまだにグラススティーガル法に縛られているからです。それは証券業と銀行業務の分離を指します。

よって、米系証券は株式と為替やコモディティが入り混じったようなプラットフォームを顧客に提供することができないようです。

ここで注意しないといけないのは、新聞に並んでいる欧州系の業者は単なる仲介業者であるわけで、彼ら自身の判断で売買しているわけではないということです。

よく相場解説で、「欧州系が大量の買いを出して日経先物が上がった」などといっているのは、欧州ネームの業者が買っていることを指しているのではなくて、そこに取引口座をもっている個人、もしくは法人のエンドユーザーが売買を行ったというだけなのです。

外国人の投資家

また、日本株の場合はとくにそうですが、実際に外国人の投資家が取引しているわけではなく、大部分が日本人の手によるものと思われます。

手数料の面でも、使い勝手の良さの面でも、日本の業者が優れたものを提供できるようになれば、新聞に出てくる手口には、日本の会社が並ぶのはいうまでもありません。

したがって、このような手口情報で自分のポジションの張り方を決定するのはおかしいということになります。

「外国人が買っているから」という理由で、なんとなく慰めを得たい気持ちはわかりますが、自身のお金を賭けて取引している以上は、相場の前に外人も日本人も関係ありません。

90年代前半のある大手証券会社のトレーディングフロアでの話しですが、やり手といわれるある部長が顧客に電話をして、「外国人投資家も買っています!」といったところ、その顧客からどこの国かと聞かれて言葉に詰まり、「世界中からです!」と答えていたエビソードがあります。

そもそも「外国人が日本市場の半分以上を占めている」といわれていますが、円債市場では5%にも至っていないことを考え合わせると、外国人の株式売買シェアが1割を越えることは考えにくいことです。

シカゴのポジション

為替の評論でよく出てくるシカゴの先物ポジションというものも、実に怪しいものです。

先物取引なのだから、買いポジションも売りポジションも1枚もたがわず、分量は同じはずです。そこに出てくる買い越しとか、売り越しというのは何を指すのでしょうか。

それをもとに解説している本人はどう理解しているのかわかりませんが、それはある特定の業者別の建玉残高を合計したものに過ぎないだけかもしれません。

CNBCなど、海外のメディアであまり報道されていないところを見ると、そうした手口の情報をほしがる日本人向けにだけ流しているとしかいいようがありません。

その証拠に為替先物の隣のフロアで取引されているS&P先物は世界一の取引量を誇りますが、そこで買い越しだとか売り越しだのと聞いたことがありません。米国債先物も同様です。

よって、こうした手口情報もありがたいようには見えますが、実用性にはかなり欠けるものがあるということを念頭に置いておかねばなりません。

逆にいうと、そのような有益なはずの情報が無料で出ているならば、なにか隠れた意図があるのではないかと、疑ってかかることすら必要でしょう。

パワープレイは可能か

実際に大きな玉が出ることもあるでしょう。それで相場が何ポイントかでも動くこともあるでしょう。

しかし、それは本当にその大きなフローのせいだったのかは謎のままです。大量に買っても、1ポイントしか上がらなかったら、マーケットのウワサにものぼらないでしょう。

相場には買っていく人が存在できるためには、その反対に売っている人も確実にいるのです。売るほうも、何の考えもなしにやっているわけではないのですから、価格が上がってきているのに、何で売っているのかを考えなくてはいけません。

相場というものは、売り手にも買い手にも同じ立場を与えるものなのです。仮に、本当に隣で大量の買い出動しているのを見たからといって、自分も買いでついていっても、必ずしも儲かるとは限りません。

したがって、あまり「誰が買っていたか」などに気を使い過ぎるのもよくないということになります。

確かに相場が上昇したならば、その原因を突きとめるのは大切なことです。また、それを知りたくなるのも人間の本性です。

しかし、その上がったという事実をちゃんと認めて、眼前にあるマーケットレートに向かっていくほうが素直な態度だと思われます。

パワープレーを過信して、それに時間を費やすと、せっかくのチャンスを見逃すということにもなりかねません。調べごとに費やすのは、トレードにおいては時間の浪費になるだけです。

実際の相場に向かうときには、しっかりと値段の動きをウォッチし続けることのほうが大切です。上がってしまって、その理由がわからないと、次の手が打てないようではいけません。誰かが買ったから相場が上がったのかもしれませんが、誰も買わなくても相場は上がることはあるのです。(月刊FX攻略.com 2012年12月号掲載)。

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