※この記事は、FX攻略.com2021年2月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
バイデン政権誕生でプラチナが注目
今年最大のイベント、米大統領選は、バイデン民主党候補の勝利に終わりました。バイデン氏は米国の温室効果ガスの排出を、2050年までに実質ゼロにすることを公約に掲げています。
また、日本の菅首相も所信表明演説で「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」と述べました。欧州連合(EU)諸国も脱炭素社会を2050年までに実現するという目標を掲げており、中国も同様の目標を2060年に達成することを目指しています。
脱炭素化の流れは、世界の潮流となったようです。今回は、脱炭素化社会で、重要な役割を担うとみられるプラチナに注目したいと思います。
直近のプラチナの値動きを見ると、米大統領選前日の11月2日は、835.5ドルまで軟化する場面がありましたが、その後は買い優勢となり、11月25日には969ドル台まで上昇し、この約3週間で130ドル以上も上昇しました(チャート①)。
一方、この間ゴールドは、1878ドル台から米大統領選の行方の不透明感から、9日には一時1950ドル台まで上昇しものの、次期米大統領がバイデン氏でほぼ決まりとなると、リスク回避の動きが弱まり、25日には1801ドル台まで水準を引き下げました。この間、ダウ平均株価が史上初の3万ドル台に乗せたところをみると、バイデン次期大統領に対する信任が市場に安心感を与えたと考えられます。
そして、この間にプラチナが130ドル超も水準を引き上げたのは、バイデン氏が次期米大統領になることで、いよいよプラチナが世界的に注目される可能性が高まったためです。
水素社会とプラチナ
そもそも、なぜ脱炭素化社会でプラチナが重要になるかですが、例えば欧州は、欧州グリーンディール(EGD)というエネルギー政策目標を掲げています。これは、全エネルギーの中の再生可能エネルギーの割合を、2030年には2018年の約2倍の32%にするというものです。この再生可能エネルギーの中心となるのが、水素です。しかも、グリーン水素と呼ばれる、水を再生可能エネルギーで電解して取り出した水素、つまり化石燃料を一切使わずに作られた水素です。
この水素社会において、プラチナは重要な役割を果たすことが予想されます。最も身近な例でいえば、水素を燃料とした燃料電池自動車(FCV)の触媒として使われます。しかも、ディーゼル車に使われるプラチナの量の10倍がFCVに使われます。今後、使用量を減らす研究がされるでしょうが、1台あたりに使われる量が、現行のディーゼル車に使われる量を下回るのは、かなり先のことになるでしょう。
そしてプラチナは、水の電解からグリーン水素を生産する際に、イリジウムと共に触媒として燃料電池に使われます。現在の試算ではEUと中国の2030年までの目標で必要な水電解触媒としてのプラチナの量は約18.7トンになるとされています。現在、プラチナの年間鉱山生産量は約180万トンです。また、新たな鉱山への投資も比較的限られており、今後、需給がタイトになる可能性は十分にありそうです。
プラチナは3年連続の供給不足見通し
実際、現在のプラチナ供給をみると、ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)の四半期報告「プラチナ・クォータリー2020年第3四半期」によると、第3四半期の供給と需要は第2四半期と比べて大幅に改善しましたが、供給は引き続き弱く、その一方で投資需要は強く、大幅な供給不足となりました。第3四半期は22.1トンの供給不足、2020年通年では37.4トンの供給不足が見込まれています。
また、来年の予想を見ても供給不足となっており、このままいけば、2019年から2021年まで3年連続の供給不足となります。
割安に放置されるプラチナ
市場の一部では、将来的にプラチナ価格が上昇する可能性が高いとみる向きもあり、北米のプラチナETFの残高は3月の安値以来、約16.8トンの伸びとなっています。また、世界のETF残高も5月に底を打ち、増加傾向にあります。
プラチナは、2015年のフォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正問題を契機に、脱ディーゼルの動きから、下値追いの展開となっていました。その間に、ゴールドに対し1000ドル以上、下ザヤになる場面もありました。
しかし、ゴールドに対して割安に放置されていることや、水素社会におけるプラチナ需要の高まりが、徐々にプラチナの価格を上昇させています。まだ、かなり先のことになるかもしれませんが、以前のようにプラチナがゴールドに対して、上ザヤになる日が到来する可能性は十分にありそうです。
※この記事は、FX攻略.com2021年2月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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