トレイダーズ証券の井口喜雄による【Dealer’sEYE】をお届けします。
FOMCはドル高イベントとなるか
今回のFOMCでは政策金利、金融緩和策ともに現状維持の見込みですが、新型コロナワクチンの普及や、バイデン政権による追加経済対策の成立を受けて、米経済見通しは上方修正される可能性が高いです。
また、今回は四半期に一度公表されるFOMCメンバーの金利見通しを示すドットチャートが更新されます。前回のドットチャートでは2023年末までゼロ金利維持の見通しでしたが、あしもとの米経済回復を見ると、FOMCメンバーの中には利上げ時期に前倒の考えを示す人もいると思われます。おそらくドットチャートは2023年に1回の利上げは織り込みに行くのではないでしょうか。パウエルFRB議長が米長期金利上昇を容認しているということもあり、今回のFOMCはドル高に振れやすいイベントと考えています。
日銀はマイナス金利深堀へ
明後日の日銀金融政策決定会合はマイナス金利の深掘りが噂されています。2月からのドル円の105円から109円台までの上昇は米長期金利の上昇の影響もありますが、日銀がマイナス金利深掘りの影響分析を行い必要なら実施という報道も上昇要因でした。仮にマイナス金利の深掘りが実施された場合、短期的に円安に振れることが予想されますが、事前の織り込みで大量の円が売られているため発表後に円高に振れる可能性も考慮しておきたいです。
また、長期金利の変動幅拡大を巡って黒田総裁と雨宮副総裁の発言に不一致が見られるほか、ETFの買い入れ方針(下限撤廃や買い入れ対象の見直しなど)についても、現時点でマーケットとのコンセンサスが取れていません。今回の日銀金融政策決定会合はボラティリティの急拡大に注意が必要になります。
ドル円の行方は
ドル円はFOMCや日銀次第にはなりますが、昨年6月の高値109.84円や、節目となる110円を短期的なターゲットとして狙っています。瞬間的に売り込まれることはありそうですが、現在の日米金融スタンスを見る限り、ドル円が沈み続けることはないように思います。現在の109円付近は高値で膠着状態が続いており、ここからのロングに抵抗があるならば、108円ミドルから下の押し目を待ってもいいでしょう。
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