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現役為替ディーラーが、話題のアノ人と語り尽くす Trader’s対談|ゲスト YEN蔵 前編[トレイダーズ証券みんなのFX 井口喜雄]

現役為替ディーラーが、話題のアノ人と語り尽くす Trader’s対談|ゲスト YEN蔵 前編[トレイダーズ証券みんなのFX 井口喜雄]

機関投資家の時代から個人投資家の時代へ

井口 外資系銀行で20年にわたって為替のディーラーとしてご活躍してきたYEN蔵さんですが、当時の為替相場はどうでした?

YEN蔵 1980年代から2000年代前半までは為替に限らず、市場全体が金融機関主流の時代だったので、その時代の相場に携わっていたことはラッキーでした。今は各証券会社がものすごく安いコストで通貨ペアを提供していますし、マーケット情報も無料で発信しているので、金融機関中心から個人投資家の時代になっています。個人投資家に「安いんだからもっと取引しろよ」くらいはいってもいいと思いますよ(笑)

井口 ドル円のスプレッドの主流がついに0.2銭になりました。それについてはどうお考えですか?

YEN蔵 為替レートはデフレになっていくと値動きが小さくなり、投資家も証券会社も利益を得ることができなくなります。ほどほどに動いて、フラッシュ・クラッシュがない穏やかな相場がお互いに一番メリットがありますよ。

井口 おっしゃる通りです。一日に100~200pipsくらいボラティリティがある相場に戻ってほしいと思っています。

YEN蔵 1990年代はドル円が東京市場では1円くらい、海外市場だと約2円動いていました。毎日1~2円の動きがあるのが普通で、最初にロングでエントリーして、反対に動いてもドテンしてショートすれば利益を取れたのですごく面白かったです。さすがに3~4円動くと「今日は動いたなぁ」という感じでした。

井口 相場が変化しましたよね。業者がスプレッドを小さくしたことが大きいと思います。

YEN蔵 それもありますが、IT化によって誰でもプライスが分かり、どこでも取引ができるようになり、流動性が高くなったことも要因ですね。

 昔はヘッジファンドや中央銀行が相場を動かしていたので、ある程度のトレンドが出ていました。それが1990年代のマーケット至上主義を作った要因です。私の在籍していた銀行は超一流の顧客が多かったので、その人たちについていけば簡単に利益を得られたときもありました。

井口 ある程度決まったトレンドに毎日ついていくという形ですね。

YEN蔵 必ず良い顧客が来ました。当時は銀行間でトレードするダイレクト・ディーリングが主流で、相手が買いと売りのどちらで注文するか分からない中でオファーを提示するんです。日本の銀行はドル円のフローをたくさん持っているので、東京銀行などはダイレクト・ディールが始まる朝9時になるといきなり「ドル円50本プライス」とやってきます。だから当時の東京銀行や第一勧銀、住友銀行は怖かったですね。そのようなタイマン勝負を一日に数十回から数百回やっていました。ボードディーラーは相場を動かす醍醐味がありますが、疲れますね。

 その裏には大規模の機関投資家や投機筋がいて、彼らが相場を動かしていました。今では投機筋が1000本打ち込んでも少し動いてすぐに戻ります。

井口 ヒゲをつけただけで終わりが多いですよね。ちなみに、シティバンクとスタンダード・チャータード銀行にいたときはどのくらいのポジションを持っていましたか?

YEN蔵 個人ではデイリーで50本、オーバーナイトは30本みたいな感じです。

井口 個人で50本はすごいですね。1本1億円なので50億円ですから。

YEN蔵 ただ、ボードディーラーとして顧客にプライスも出さなければならないので、厳密には瞬間的に500本のポジションを持つこともあります。

井口 一発で500本の注文が来るんですか? ちょっと想像できないです。

YEN蔵 一番大きかった注文は一発で1000本ですね。「一発で1000本買え」という注文があって、みんなのポジションを合わせて1500本くらい買ったらドル円のレートが3円くらい動きました。昔は500本、1000本単位の建玉がよく入っていましたね。だから顧客の力を利用してマーケットを動かせるという醍醐味がありました。

井口 今は業界がだいぶ様変わりしてきました。

YEN蔵 2000年代前半からITを使ったアルゴリズム系のトレードが行われていました。それが徐々に株式に移り、さらに新興市場の株式でも使えるようになってきたというのが現状だと思います。トレンドやファンダメンタルズの判断は人間が有利ですが、局地的な部分を人間がやるのは、ばからしいという感じになっていますね。

井口 今の為替市場で戦うための武器は何が必要だと思いますか?

YEN蔵 20~30pipsくらいのトレンドは日々出ていると思うので、そのときだけトレードすればいいと思います。私は4時間足のトレンドが出たときにしかやりません。20~30pipsくらい動く期待値がある相場状況のときに20pips取りに行くようなトレードでいいんじゃないでしょうか。

損失をコントロールし優位性のある手法を

井口 個人投資家は相場にどのように向き合えば良いと思いますか?

YEN蔵 個人の方はどのように悩んでいるんですかね? おそらく最初から儲かる人は100人中2、3人で、ほとんどは多かれ少なかれ負けると思います。野村克也さんの言葉に「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」とありますが、ものすごく儲かる方法をコントロールすることはできません。ただし、損失だけはコントロールできます。損失を上手にコントロールして生き残れるようにしてもらいたいですね。それには早くエッジのある取引手法を見つける必要があります。アルゴリズムトレードが全盛の時代でも人間の裁量で勝てる余地はまだあると思います。

井口 たまに反応がおかしいアルゴリズムもあります。まだ完璧ではないですね。

YEN蔵 トレードにおいては、まず時間軸を決めることが大切です。スキャルピングが上手な人、デイトレードが得意な人、スイングトレードでゆったり取りたい人とカテゴリを分け、自分はどれが向いているのかを把握します。その中で優位性のある手法を見つけ、それだけをやっていくのがいいんじゃないですか。

井口 おっしゃる通りです。個人投資家の方はいろいろなものを試した上で、最終的に優位性のある手法にたどりつくのではないでしょうか。時間はかかりますが、誰もが通る道だと思います。

YEN蔵 ただし、時間軸だけは合わせた方が良いと思います。スキャルピングをやっていて損失を抱えたので、次はスイングトレードに移って、さらにデイトレードに変えるというのはダメだと思います。あとはスキャルピングでポジションを持ったのに損切りできず、上位の時間軸に持ち越す人も多いと思いますが、それも止めた方がいいですね。あくまでも、一度決めた時間軸の中で戦うことが重要です。

基本はテクニカルで重要な材料を把握する

ゲスト YEN蔵さん

井口 テクニカルとファンダメンタルズはどちらが重要だと思いますか?

YEN蔵 材料が出てきたとき以外は基本的にテクニカルですね。インパクトがある材料がなくなると、頼りになるのはテクニカルしかないですよ。ファンダメンタルズが分からない人は考えない方がいいと思います。中途半端は一番ダメなので。

井口 YEN蔵さんのような昔からのディーラーの方だとテクニカル派は少ない印象です。

YEN蔵 そうですか? 株式は業績の影響が圧倒的なので、ファンダメンタルズで投資先を絞り込むことに優位性があると思います。一方で、為替は材料がなくなるとファンダメンタルズに有効性がないですよね。昨年のように各国が金融緩和をやっていたときには有効だと思いますが、そうでないときはテクニカルの方が有効ではないでしょうか。

井口 YEN蔵さんが「テクニカルが有効」といってくれると皆さんうれしいですよ。

YEN蔵 私自身のトレードはテクニカル中心です。4時間足を見て、トレンドが出たところで20~30pips抜きをしています。もちろん、材料があればファンダメンタルズでもトレードしますよ。株式のようにゼロサムではないものでファンダメンタルズを突き詰めるのはすごく優位性があると思いますが、コモディティ系はテクニカルが重要です。

井口 私もテクニカルでしかエントリーしませんが、皆さんには伝えやすいファンダメンタルズの話をしてしまいます。

YEN蔵 あとは「トレンドが変わるな」と思うニュースに対する理解は持った方がいいと思います。「これはマーケットのトレンドをしばらく変えそうだな」と思うファンダメンタルズを把握しつつ、日々のトレードはテクニカルでやっていくことですね。

 例えば、現在だと連邦準備制度(FED)が短期金融市場に600億ドルを注入していることに対して、実質的なQE4(量的緩和第4弾)ではないかと指摘する人もいますが、このような重要なニュースは押さえておいた方がいいですね。決定的なことを把握しつつ、取引をすることが大切です。

井口 ちなみに、メンタルについてはどうお考えですか?

YEN蔵 メンタルの前にエッジのある手法、相場での闘い方を見につけることが重要です。例えば、「この移動平均線を下抜けすれば必ずロスカットする」と決めたのであれば、それを淡々とやるだけです。

井口 私もメンタル面は経験を積むことで克服できると思います。

YEN蔵 メンタルが原因で「ロスカットできない」「利食いが下手」というのであれば、早く自分の手法を見つけて淡々とそれを続けていくことですね。そうすれば、平気でロスカットはできるようになります。ただ、利食いは一番難しいと思います。利食いは青天井なので、欲張るとできなくなります。なので、一部を利食いしていく方法もあります。そもそもマーケットはどう動くかが分からないので、慎重にやることがメンタルといえばメンタルです。

井口 利食いに関しては、少しずつ行っていくことに優位性があるわけですね。

YEN蔵 段階的に利食いを重ねていき、最後に残った部分をトレーリングストップにしておくみたいな感じですね。単純にマーケットの動きは分からないからこそ、いつでも逃げ出せるように出口を作っておけばいいというだけの話です。

井口 メンタルに関して、そのような切り口でくるとは思わなかったです。

対談は後編に続きます。

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※この記事は、FX攻略.com2020年4月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。

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