FXレバレッジ10倍規制への動き、これまでの流れ

「FXの最大レバレッジが25倍から10倍に制限される?」

レバレッジを10倍に制限するというニュースが流れ、FX業界はただ今騒然としています。これまでに起きたことや、業界内外の反応をまとめていきます。

(2018年6月5日更新)

レバレッジ規制の時系列まとめ

2018年5月30日 第5回有識者検討会が開かれました

複数メディアがレバレッジ規制の見送りを伝えた翌日に、5回目の有識者検討会が開催されました。山中康司さんのブログにて詳しくまとめられていますが、「ストレステストを通じた自己資本の拡充」「取引データの報告制度の充実」「レバレッジ規制の前にストレステストを通じた自己資本の充実などを進める」が主に検討されたとのことです。

2018年5月29日 レバレッジ10倍規制、見送りの報道

レバレッジ10倍規制が見送られたとの報道がありました。日経によれば、明日30日の第5回有識者会議にて、「FX倍率のあり方」が議論されるとのことです。

日本経済新聞|FX証拠金倍率、健全性低い事業者は下げ

ブルームバーグ|金融庁のFX規制、証拠金倍率10倍への引き下げ見送りへ

ロイター|金融庁、FX証拠金倍率10倍への引き下げ見送り 現行最大25倍=関係筋

 2018年4月30日 産経新聞が金融庁のレバレッジ10倍検討を報じる

為替変動リスクが大きい外国為替証拠金取引(FX)について、金融庁が元手の何倍まで取引が可能かを示す「証拠金倍率」の上限を年内にも現在の25倍から10倍まで引き下げる検討に入ったことが29日、分かった。これまでは100万円の元手があれば2500万円の為替取引が可能だったが、規制強化が実現すれば上限が1千万円まで下がるため、投資家が流出する可能性もある。

引用:金融庁、FX規制強化へ 証拠金倍率10倍に引き下げ 年内にも(産経ニュース)

日経以外の新聞では、初めてレバレッジ規制に関する報道がありました。記事によれば、レバレッジ規制は、個人投資家が想定を超える損失を負うことを防ぐためであり、また店頭FX業者が破綻して為替相場、金融市場に影響を及ぼすことへの対策。ただ、安易なレバレッジ規制は、無登録の海外業者への顧客流出につながり、FXよりレバレッジが高い仮想通貨へのシフトをうながすだけという懸念もあるとされています。

2018年4月13日 金融庁、「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第4回)を開催

2018年4月13日(金曜)、金融庁は中央合同庁舎第7号館13階共用第1特別会議室にて、「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第4回)を開催しました。

ついに本性をあらわしました! やはりレバレッジ規制ありきで、この検討会は進められていると、認識せざるを得ません。今回は、参考人として出席した神田教授(学習院大学)の資料報告、各担当者による前回持ち帰り事項の報告、そして第4回にして初めて、メンバーが自分の意見を発表しました。以下に、本日のまとめを箇条書きで報告します。

・神田教授の資料2に「証拠金(倍率規制)の強化はファーストベストではないがやむをえない規制としてありうる」
・資料に倍率規制の文字が記されたのは、今回が初のケース
・坂メンバー:店頭FX業者の利益相反のビジネスモデルは問題だ。証拠金倍率規制を強める必要がある。CCP(中央清算機関)を通すべきだ
・永沢メンバー:店頭FX業者のバケットショップはいかがなものか。店頭FX業者だけの強化もあって良いのではないか。取引所のリスク対応は評価
・勝尾メンバー:システムリスクと公正性の話があり、議論の方向性が分からないので事務局に取りまとめてほしい。全体の話の中で、倍率規制は一つのテーマとして検討したい
・上柳メンバー:バケットショップ禁止を検討すべき。基本的に前の三者と同意見
・弥永メンバー:決済リスクと倍率規制を結びつけるのはあまりにも大ざっぱだ。ただし未収金リスクや不透明性との関係で倍率規制は検討すべき。CCP導入の検討を
・池尾座長:規制ありきで議論すべきではない。現状のシステミックリスクをきちんと評価しなければいけないのではないか

メンバー全員(松井メンバーは欠席。冒頭で到着がおくれているとのことだったが…)が、倍率規制に肯定的な立場を表明しました。「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」と銘打って、レバレッジ規制という言葉をひた隠しにしてきましたが、とうとうギアをチェンジし、「店頭FX業者へのレバレッジ規制」に向かおうとしている。そんな印象が残りました。

次回日程は、メンバーと調整して決めるとのことです。

2018年3月29日 金融庁、「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第3回)を開催

2018年3月29日(木曜)、金融庁は中央合同庁舎第7号館13階共用第1特別会議室にて、「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第3回)を開催しました。

第1回の事務局(金融庁)説明、第2回のオブザーバー(FX業者)説明という流れを受け、いよいよ具体的な討議の期待が持たれたところでしたが、今回も関係者からのヒアリングが主となる構成。前回質疑の際に後日報告とされた事柄の報告と、新たに検討会へ加わった2名(大学院教授、弁護士)による資料説明、そしてそれに対する質疑で終了しました。結論として、これといった討議はなされませんでした。

3回にわたって関係者説明と質疑が繰り返されましたが、メンバーからは「店頭FX業者の決済リスクへの対応」という議論の軸がずれてきているのではないかと指摘する声も。何を議論し、何を決めれば良いのか。改めて明確にすることが、事務局に求められます。

日経新聞報道により、一般投資家は「レバレッジ10倍規制」の話がされていると考えています。その一方で、事務局は「店頭FX業者の決済リスクへの対応」ということで検討会を運営。その溝が埋まるには、まだまだ時間がかかりそうです。

次回日程は、メンバーと調整して決めるとのことです。

「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第1回)の議事録

2018年2月13日(火曜)に金融庁が開催した「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第1回)の議事録が公開されています。

議事録の全文はこちらからご覧いただけます。

⇒ 金融庁|店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会(第1回)議事録

第1回目で使われた資料はこちらからご覧いただけます。

⇒ 金融庁|事務局説明資料(PDF:459KB)

2018年3月12日 金融庁、「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第2回)を開催

2018年3月12日(月曜)、金融庁は中央合同庁舎第7号館13階共用第1特別会議室にて、「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第2回)を開催しました。

前回は事務局の資料説明が中心になったのに対して、今回はオブザーバー(金融先物取引業協会、GMOクリック証券、SBI証券、セントラル短資FX、東京金融取引所)の資料説明、特にリスク管理の現状についての報告が中心となりました。

「議論にあたっての業界認識」として、GMOクリック証券、SBI証券、セントラル短資FXは、FMI原則やシステミックリスクとどこまで関連付けて店頭FX業者の決済リスクを評価するのが適切か、また他の業態、他の金融商品等に対する規制とのバランスも十分踏まえたご議論をお願いしたいと牽制する姿勢を示しました。

第1回、第2回では、レバレッジ10倍規制についての具体的な議論はなく、メンバーがFX業界や決済リスクの現状を整理する、いわば前哨戦でした。次回以降での議論の進展が期待されます。

なお、スケジュール等への質問に対して事務局は、当検討はこの夏までに取りまとめたい。その間にパブリックコメントを行う可能性もあると回答しました。次回日程は、メンバーと調整して決めるとのことです。

2018年2月13日 金融庁、「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第1回)を開催

2018年2月13日(火曜)、金融庁は中央合同庁舎第7号館13階共用第1特別会議室にて、「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第1回)を開催しました。

これは日経新聞が報じるところ(同12日付の日経新聞「FX規制強化へ 金融庁、証拠金倍率10倍に下げ」)の”レバレッジ10倍規制の検討”に該当するものと考えられますが、あくまでも”店頭FX業者の決済リスクへの対応”を主題とするというのが金融庁の姿勢であるようです。

以下に、今日の検討会の様子や、明らかになったポイントを箇条書きで整理します。

  • (1)有識者検討会、議事録、資料は、公開とする
  • (2)今回のメンバーは座長1名、メンバー7名、オブザーバー8名(傍聴席に50人強)
  • (3)座長およびメンバーは教授、弁護士などで構成。オブザーバーに店頭FX業者3名
  • (4)今日は資料に基づいた事務局説明と、それに対するメンバーの質疑が行われたのみ。具体的な議論は次回以降
  • (5)日経新聞が報じるところのレバ10倍規制案について、資料への記載も言及もなし
  • (6)次回日程は、メンバーと調整して決めるとのこと

金融庁公式サイトに資料がアップされています。

⇒「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第1回)議事次第

2018年2月12日 日経新聞にて、あらためてレバレッジが10倍に引き下げられることが報じられる

金融庁は2018年春にも外国為替証拠金取引(FX)の規制を強化する方針だ。個人投資家が預けたお金の何倍まで取引できるかを示す証拠金倍率(レバレッジ)を、現行の25倍から10倍に引き下げることを検討する。外国為替相場が急変動した際、個人投資家や業者が想定を超える損失を抱えるリスクを減らす。

引用:FX規制強化へ 金融庁、証拠金倍率10倍に下げ

目新しい情報はないものの、有識者検討会の開催にぶつける形で、レバレッジ引き下げの雰囲気作りをメディアを用いて行っている印象があります。

2017年12月19日 時事通信社がレバレッジを10倍引き下げを金融庁が検討していると報じる

金融庁は18日、店頭外国為替証拠金取引(店頭FX取引)の証拠金倍率(レバレッジ)の上限引き下げを検討すると発表した。現行の最大25倍から10倍程度に下げる方向だ。

引用:FX取引、証拠金倍率下げ=25倍から10倍に-金融庁

近日中に有識者会議を設置し、来年夏までに報告書をまとめ、関連法を改正するとも報じられています。

2017年12月18日 有識者会議の立ち上げを報じる

金融庁は18日、店頭FX(外国為替証拠金取引)の決済リスクの管理手法を議論するため、有識者会議を立ち上げると正式発表した。初会合を年明けに開き、証拠金倍率の引き下げなどについて2018年夏までに報告書を取りまとめる方針。

引用:金融庁、店頭FXの決済リスクで有識者会議 証拠金倍率など議論

金融庁が恐れているのは、取引量が年間5000兆円にもなる、店頭取引FX(OTC)から始まる、金融システム全体への不安とのことです。

2017年11月13日 レバレッジ10倍規制問題についてのWEB討論会

直伝チャンネルにて、レバレッジ10倍規制問題についてのWEB討論会が開催されました。討論会の参加者や、番組の視聴方法(録画映像を視聴できます)は以下の記事でご確認ください。

FXのレバレッジ10倍規制問題についてのWEB討論会

2017年10月24日 取材申込みをした金融庁からの回答

10月20日(金曜)に金融庁ホームページから問い合わせをしたところ、24日(火曜)に電話連絡をいただきました。

結論からいうと、業界各社と「意見交換」をしている段階であり、現時点で決定している事項はないとのこと。意見交換の内容や、今後のスケジュールをたずねたところ、それらを逐一オープンにすることはないそうですが、問い合わせに対しては今回のように対応してくれるそうです。

2017年10月20日 現状ではまだ確定していないとの情報

10月19日に開催された金融庁主導の説明会に参加された業界関係者の方によれば、まだ結論は出ておらず、もちろん時期も決まっていない。これから関係者みんなで話し合っていきましょう、とのことでした。

2017年10月19日 投資ライター高城泰さんのツイートより

金融庁より、店頭FXを提供しているFX会社への説明が行われたという情報がありました。

2017年10月4日 日本経済新聞 電子版

外国為替市場で緩やかな円安基調が継続している。日本の個人投資家が手掛ける外国為替証拠金(FX)取引では、円安時に「逆張り」で外貨への投資が増える傾向があり、取引高が膨らみやすい局面だ。ただ、FX業者の顔はさえない。金融庁がこのFX取引の規制強化を検討していることが伝わったためだ。金融庁が検討するのは、投資家が預けたお金(証拠金)で何倍の取引ができるかを定める証拠金倍率(レバレッジ)の上限の…

引用:FX取引、倍率規制強化に広がる波紋

日経に再度レバレッジ規制に関連する記事が掲載されました。より突っ込んだ形で、レバレッジの基本的な仕組みや、リスクに対する解説、主要FX会社担当者のインタビューなどが掲載されています。

2017年9月28日 マネーパートナーズ

証拠金倍率の引き下げを行う場合は、業者や業界に働き掛けて意見を聞き、手順を踏んで行うものであり、金融庁が一方的に行うということはない。

引用:本日の一部報道について

マネーパートナーズがすぐに金融庁に確認したところ、上記のような回答だったとのことです。

2017年9月27日 日本経済新聞 電子版

金融庁は外国為替証拠金取引(FX)の証拠金倍率(レバレッジ)を引き下げる検討に入った。現行の最大25倍から10倍程度に下げる案が有力だ。外国為替相場が急変動した際、個人投資家や金融機関が想定を超える損失を抱えるリスクが高まっていると判断した。国内の取引高は約5千兆円に上る一方、FX業者への規制は銀行などに比べ緩い面がある。規制見直しで日本発の市場混乱を防ぐ。

引用:FX証拠金倍率を引き下げ 10倍程度に、金融庁検討 リスク管理を懸念、最大25倍の規制見直し

こちらが騒動の発端となった、日経電子版の記事です。9月27日の夜に出たニュースで、翌9月28日には業界内が大騒ぎに。

ただし、国内FX会社の一つであるマネーパートナーズより、いちはやくこんな発表もされています(一つ上の見出し「2017年9月28日 マネーパートナーズ」参照)。

店頭FXレバレッジ規制案反対トークシリーズ

♯3「私たちはこんなメールを送った」店頭FXレバ規制案反対トーク 山中康司さん&スノーキーさん

 

♯2 高城泰さん×スノーキー(小手川征也)さん

店頭FXレバレッジ規制案反トークとして、業界の著名人、実力者が、リレー方式でトークを繰り広げるシリーズ第二弾は、投資ライターの高城泰さん。長く業界に関わる高城さんの意見とは?

♯1 スノーキー(小手川征也)さん×山中康司さん

 

店頭FXレバレッジ規制案反トークとして、業界の著名人、実力者が、リレー方式でトークを繰り広げるシリーズ第一弾は、スノーキーこと小手川征也さん。有識者会議の矛盾点を鋭く指摘しつつ、実際にレバレッジが10倍になった際の問題点も論じられました。

FX業界人の反応

山中康司さん

山中康司さんは、Twitterでレバレッジ規制への反対意見を送る運動を展開されています。

またご自身のブログにて、レバレッジ規制に関する投稿を複数回されています。

FX新レバレッジ規制(1)
FX新レバレッジ規制(2)
FX新レバレッジ規制(3)
FX新レバレッジ規制(4)
FX新レバレッジ規制(5)

だいまんさん

過去も引き下げた経緯があるが、これは全くの誤りであり、FX取引の実態を全く理解していない。個人投資家のFX取引は、「マージン・コール」として、預入証拠金の最低限を割り込むような動きが出た場合に、強制的にポジションを業者がカットするシステムを採用しており、最低でも預入金額以上の損失は、通常発生しない。確かに過去、南アランド円の銀行サイドのテクニカル的なミスやスイスフラン・ショックで、元本を割れる損失が発生したケースはあるが、これは実際レバレッジを引き下げれば解決される問題でもない。

(中略)

株が良くて、為替悪いというロジックはおかしいし、個人投資家を守るということが、逆に個人投資家を甘やかすことになり、こういった面が、日本の個人投資家を育てられない大きな要因であることを知るべきだ。

絶対反対

外銀出身のトレーダー、だいまんさんもレバレッジ制限に強く反対しています。

井口喜雄さん(トレイダーズ証券)

トレイダーズ証券の井口さんも、FXライター高城さんの意見に同意する形で、レバレッジ制限に言及しています。

これからも新しい動きがあり次第、こちらに追加していきます。

有識者検討会に意見を届けるのは5月18日(金曜)17時必着!

金融庁に意見を届けることができます! 着々と進行するレバレッジ規制に対して、一般投資家は受け身でしかいられませんでした。しかし、有識者検討会が、広く意見を募集することになりました。強引に進められるレバレッジ規制に対して、一般投資家がNOと訴えるには、これが最後の機会になるかもしれません。

「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」に係る意見募集について

第1、2、3回の議事録はこちらから(5/14時点で、第4回はまだ公開されていません)

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