米国雇用統計受けて金利先高観が後退!投機筋の戦略転換も?![雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2018年4月9日号

先週のドル円相場

先週のドル円相場は、週初に一時105.66円と下値を探ったものの、米中貿易摩擦に交渉余地が残るとの見方から過度な警戒感が和らぎ、107.49円まで回復した。しかし金曜日には、トランプ政権が1000億ドルの対中追加関税を検討と報じられ、米中貿易戦争懸念が再燃したことや、米国雇用統計で非農業部門雇用者数が予想を大きく下回ったことを受けて、106.78円まで反落した。

市場の金利先高観が揺らぎ始める

米国3月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が+10.3万人と予想の+18.5万人を大きく下回り、過去2か月分も計5万人下方修正された。前月の上振れの反動と考えられるものの、市場の利上げ期待を後退させるには十分な下振れだ。失業率は6か月連続の4.1%で、予想の4.0%には届かなかった。インフレ先行指標として現在市場が最も注目している平均賃金は、前月比+0.3%、前年比+2.7%で予想通りだった。前回の+0.1%・+2.6%からは回復したが、3%目前での足踏みが1年半も続いており、完全雇用にもかかわらず賃金が伸び悩む状況に変化はないようだ。これならFRBは利上げを急ぐ必要はない。

CME FedWatchで年末のFF金利予想の変化を見てみよう。年内3回利上げ(225-250bps)の確率が前日までから大きく低下し、年内あと1回(175-200bps)の確率が大きく上昇したことがわかる。市場の金利先高観が揺らぎ始めたことを示しており、ドルにとっても逆風が強まる可能性が高い。


出所:CME FedWatch

米中貿易摩擦は引き続きドル円相場に対する最大のリスク要因だ。トランプ大統領の行動は不規則で予測不能であり、メンツを重んじる中国も報復を辞さないことから、追加関税の応酬で泥仕合となっていく可能性も小さくない。米中の交渉はこれからだが、暗礁に乗り上げたり物別れに終わる局面が何度も訪れることは確実であり、「どこかで落としどころを見つけるだろう」と楽観視するのは危険だ。

今後の投機筋の戦略は?

IMM通貨先物の取り組みを見ると、ここ数週間で投機筋の円ショートが急速に減少し、直近(4月3日)時点でついに小幅の円ロングに転じている。積み上がっていたドルロング・円ショートポジションが解消され、ドル売り・円買いの流れも一服とみる向きもあるが、投機筋が今後ドルショート・円ロング戦略に傾倒していく可能性も小さくない。実際2016年には、年初に投機筋が円ロングに転じ、そのポジションを拡大していくにしたがって大きくドル安・円高が進行した例がある。投機筋は常に収益機会を探しているものであり、めったにスクエア(中立)でいることはない。筆者には、投機筋のポジション巻き戻しはドル円の大幅下落の不吉な前兆に思えてならない。


出所:QuickMoneyWorld

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雨夜恒一郎(あまや・こういちろう)

20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報をFX会社やポータルサイトに提供中。

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