目先調整局面入りも、過度の悲観は不要[雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向  2020年1月6日号

ドル円は約3か月ぶり安値

2020年の相場がスタートした。ドル円相場は、昨年末から続くポジション調整の流れを引き継ぎ108円台半ばでオープン。金曜日には、「トランプ大統領の指示でイラン革命防衛隊(コッズ部隊)のソレイマニ司令官が空爆により殺害された」と報じられたことを受けてリスク回避の動きが広がり、昨年10月以来の安値となる107.84円まで下落した。

イラン情勢は緊迫

イラン司令官の殺害について、トランプ大統領は「戦争を始めるためではない」と述べているが、イランの最高指導者ハメネイ師は「厳しい報復」を予告しており、中東情勢は一気に緊迫の局面を迎えることとなりそうだ。米国を中心に世界的に株式市場が上昇した直後だけに、反動による株安、そしてリスク回避の円高という流れが強まる可能性がある。

チャートは調整局面入りを示唆

一目均衡表では、日足が昨年9月以来約4か月ぶりに先行スパン(雲)を割り込んだ。昨年8月以来続いていた上値・下値を切り上げる上昇パターンも崩れ、中規模の調整局面に入った可能性がある。昨年1月3日のフラッシュクラッシュほどではないが、1月は円高に振れやすいというアノマリーもよく知られており、注意を要する。

日足一目均衡表 出所:NetDania

今週は雇用統計に注目

かかる不安感の中、今週は米国12月の重要景気指標の発表が相次ぐ。明日7日火曜日にはISM非製造業景気指数、8日水曜日にはADP雇用者数、そして10日金曜日には注目の雇用統計が発表される。現時点での予想は、失業率が3.5%(前回3.5%)、非農業部門雇用者数が+16.4万人(前回+26.6万人)、平均時給が前年同月比+3.1%(前回+3.1%)となっている。先週発表されたISM製造業景気指数は47.2と2009年6月以来の低水準となり、同雇用指数も45.1と2016年1月以来の弱さ。米国経済は製造業を中心にソフトパッチ(足踏み状態)に陥っている可能性がある。景気指標下振れ→米国債利回り低下→ドル売りという展開も想定しておいたほうがよさそうだ。

中長期では楽観

ただし、中長期的に見れば、今年も低インフレ・低金利と緩やかな成長というゴルディロックス(適温経済)が続く公算が大きい。また世界経済を覆っていた2つの不確実性、すなわち米中貿易摩擦とBrexitをめぐる懸念は消失し、景気に対する悲観論は影を潜めつつある。主要国におけるインフレ懸念は皆無で、今年も強力な金融緩和が継続され、株式市場は多少の調整を織り交ぜながらも上昇していく可能性が高い。この大局観が揺らがない限り、ドル円も過度の弱気は不要であり、地政学リスクや景気減速懸念で下げた局面は絶好の買い場ととらえたい。

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雨夜恒一郎(あまや・こういちろう)

20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報をFX会社やポータルサイトに提供中。

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