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欧州中銀(ECB)理事会に向けて[松崎美子]

この週末には、「スイス国立銀行(中央銀行、SNB) の金準備積み増しを義務付ける提案」に対する国民投票がスイスで実施され、否決されました。それを受け、月曜日のアジア時間は、金価格が急落しました。先週開催されたOPEC総会では、減産合意がならず、結果として原油価格が5年来の安値を更新。年末に向けて、いきなり≪商品市場の崩れ相場≫の到来です。

この商品価格の下落は、ドル高・株安(石油関連会社の株価下落)・長期金利安を招いただけでなく、資源通貨、とくに、ロシア・ルーブルに対して、’メルトダウン’という言葉がぴったりするような急落を引き起こしています。原油価格安は、見方を変えれば【減税】と同じ効果があるため、私達消費者にとっては、嬉しい現象ですが、国を司る方々や中央銀行にとっては、【デフレの根源】となるため、戦々恐々としている筈です。

来年は、米国と英国で利上げが実施される可能性が指摘されていますが、この商品価格安が低インフレを加速するようであれば、利上げ期待が後退し、通貨安に繋がる恐れがあるかもしれません。

さて、本日はデフレ懸念が一番高いユーロ圏の中銀:ECB理事会とドラギ総裁記者会見について、自分の考えを書いてみようと思います。

ECB理事会の注目点

12月の理事会では、3カ月に一度のマクロ経済見通しの発表がありますが、それ以上に市場の注目を集めるのは、「ECBは国債購入に踏み切るのか?」ではないでしょうか?先月の理事会でドラギ総裁は、「2012年3月頃のECBバランスシート規模に戻したい」と語り、それが声明文にも明記され、具体的なターゲットとして採用された経緯があります。

気になる≪2012年3月頃のバランスシート残高≫に戻すには、約1兆ユーロの流動性を確保しなければなりません。

のため、マーケットでは、「早ければ12月の理事会にも、バランスシート拡大に一番効果がある国債購入に関する発表があるのではないか?」と考えるエコノミストが出てきました。しかし私は、「12月は、国債購入の発表は、ない」と考えております。その理由は、

2回目のTLTRO(条件付き長期リファイナンス・オペ)の規模を確認したい

12月11日に予定されている2回目のTLTRO。バランスシートを大幅に拡大するためには、是が非でもTLTROの成功が望まれます。先週ロイターが行ったアンケートによると、2回目のTLTRO参加額予想は、1,500億ユーロ

カバードボンドと資産担保証券(ABS)の購入

ECBは1ヶ月以上前から、カバードボンドの購入に踏み切りました。先週だけでも、51億ユーロ規模の購入実績があり、11月28日時点の購入総額は、178億100万ユーロ。ABSは先週から購入が開始されましたが、初回は3億6800万ユーロと小さな規模となっています。両方を合計すると、約182億ユーロとなり、1兆ユーロ達成には時間がかかりそうです。

ECB理事達の意見の対立

以前のコラム記事でも書きましたが、ECBによる加盟国の国債の直接購入は、リスボン条約123条『政府債務の直接的な取得の禁止』という条項で禁止されています。ここでいう≪直接購入≫とは、新規入札が行われる発行市場の事を指しており、これは中央銀行による加盟国政府の財政ファイナンスと受け取れるからです。

この問題に関しては、とくに、ドイツ連銀 (中央銀行) だけでなく、ドイツの政治家達も、国債購入はもちろんのこと、現在実施されているカバードボンドや資産担保証券(ABS)の購入に対しても、強い反対の意を示しているため、ドイツ連銀をお手本にして作られたECBが、ドイツを敵に回しての政策運営が成功するのか、判断が難しいところかもしれません。

これは、ECB各理事が11月の間に行った≪国債購入に関する発言≫です。前向きに賛成と受け止められる発言を繰り返しているのが、他でもないドラギ総裁。

そして、その実施の具体的な時期にまで言及したコンスタンシオ副総裁。この発言を聞いたときには、同副総裁は賛成派だと私は見ていたのですが、いろいろな報道を読むと、「やらずに済むならやらないほうがよい、でも最終的には、やらざるを得ないだろう」という意見をお持ちのようです。

そして、真っ向から反対しているのが、ドイツをはじめとする北ヨーロッパ出身の理事達。

ECBはコンセンサスを重視し金融政策の方向性を決めますので、果たして国債購入実施に向けたコンセンサスを得られるのか判りませんが、1兆ユーロ規模のバランスシート増加というターゲットを採用してしまったからには、遅かれ早かれ国債購入に踏み切らざるを得ないと、私は考えています。ただし、12月11日のTLTROの結果を見て、来年早々にもあらためて協議に入ると思います。

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まとめ

先週発表されたユーロ圏・11月分インフレ率速報は、前年比+0.3%となりました。その中でも原油価格下落を受け、エネルギー関連が2.5%も低下していたのが響いています。来年もこの原油・商品価格の下落が継続するのであれば、ユーロ圏の低インフレ傾向が大きく方向転換し、上昇することは難しいかもしれません。

12月のECB理事会では、スタッフ予想の内容、とくに、インフレ見通しが大きく下方修正されるのであれば、それを受けてユーロ売りとなるでしょうが、よほど極端な数字でない限り、年末に向けてポジション整理が出てくる可能性を考えています。その場合は、12月のレンジとして、1.23〜1.2650を想定しています。

これは来年の話になってしまいますが、原油価格の下落が継続した場合、その影響は資源通貨の下落だけに留まらず、かなり広範囲に影響を及ばすことになる予感がしており、それがさらにユーロ安を促す相場展開が待っているのかもしれません。

来年の予想は、また別の機会に致しましょう。

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