2017年8月26日

FXがカジュアルすぎる件[鹿内武蔵]

カジュアルだからここまで普及した

それにしても、FXってとてもカジュアルな資産運用ですよね。FXという英語2文字からして堅苦しさは全くありませんし、大手のIT系企業がFX会社として多数参入しているため、インターフェイスが今風でとても使いやすいことが多いです。

そして極めつけはスマホによる取引のハードルの低さ。いつも持ち歩いているスマホで、すぐにポジションを持ったり、決済したりできます。

本来資産運用というものは、もうちょっと重厚で堅苦しいイメージだったはずです。文字と数字がタッグを組んで襲いかかってくる難しい経済誌を読み込み、政治や経済など各方面に精通していることが、最低限の参加条件だった気がします。

光が当たる場所があれば、必ずどこかに影があるように、物事には良い面と悪い面がどちらもあるものです。今回はFXのカジュアルさについて、光と影の両面を考えていきましょう。

ユーザーが多いから企業が本気になる

FXがカジュアルになったメリットは、やはりこの資産運用自体の認知度が大きく上昇したことでしょう。正式名称の、外国為替証拠金取引という名前だったら、まあ誰もやらないでしょうね。縮めて外国為替でも、堅苦しく感じて敬遠するユーザーはたくさんいると思います。

一定のユーザーがいなければ業界は発展しません。そして業界が発展するからこそ、FX会社間での競争によりサービスが向上しますし、情報量も多くなります。

また、投資家にとって選択肢が増えることは良いことです。本質的に有利な投資、不利な投資というものはなく、投資家の資産状況やライフスタイルにより、最適と思われる商品が決まってきます。だから、資産運用できる商品の選択肢が多いこと自体が、私たちにとってはメリットです。

あっけないくらいデビューは簡単

デメリットは、誰でも、いつでも、簡単に投資できてしまうことそのものです。

本来投資は、十分な期間の学習、トレーニングを経て、ようやく資金をリスクにさらせるようになるものです。聞きかじった知識や、付け焼き刃の技術で、長期間勝ち続けられるほど簡単なものではありません(初心者でも、瞬間的に利益を出すことはあります)。

にもかかわらず、今のFX業界は、インターネットを経由すれば数分で取引口座が作れて、クイック入金を使えば数分で資金を用意でき、スマートフォンのアプリで、いきなり相場に参加することができます。そしてインターネット上には、玉石混淆の取引情報が無尽蔵に漂っています。

つまり、全くトレーニングをしていなくても、いきなりトレードを開始できてしまうのです。これでは、右も左も分からないまま損失を負い、あっさりFXの世界から退場してしまう人が続出しても無理はありません。

よくいわれることですが、昔と比べてFXの世界はとてつもなく便利になったけど、個人投資家の成績は向上していないというのは、こういった理由があるわけです。環境が良くなっても、それで投資の世界で生き残れることにはつながらないですよね。

せめて小さな資金でささやかに始める

じゃあ僕らはどうすれば良いのか。もちろん、すさまじいトレーニングを積んでから本格的にトレードを始めるべきなんですが、それは誰もができることではありません。だからせめて、本当に勝ち始めるまでは、小さな資金でトレードをしてください。技術が伴わないうちは勝てませんが、資産のごく一部を失う程度なら、FXをやめずに済みます。小さな資金で何年もお金を増やし続けられてから、本気運用を始めましょう。

(FX攻略.com WEB編集長 鹿内武蔵)

※この記事は、富士山マガジンサービス読者限定FX攻略.com編集部便りに掲載されたものを加筆・編集したものです。

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鹿内武蔵(しかうちむさし)

株式会社tcl代表取締役。2008年のFX攻略.com創刊時から編集部に在籍、本誌と公式サイトの運営に携わる。取材や記事執筆の他、トレーダーとしてFXの運用も日々行っている。好きなテクニカルは平均足、好きな手法はブレイクアウト。

公式サイト:株式会社tcl