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FOMC利上げでドル買い材料出尽くしへ!日米政局にも注意[雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2018年3月19日号

先週のドル円相場

先週のドル円相場は、米2月の消費者物価指数が落ち着いた数字となったことから一時107.29円まで上昇する場面もあったが、トランプ大統領がティラーソン国務長官を更迭したことや、森友文書問題による国内政局不透明感が強まったことから、ドル売り・円買いが優勢となり、105円台まで下落した。先週の当コラムでは、米国雇用統計の好結果にもかかわらずドルが買われなかったのは、潜在的な売り圧力の存在を示唆しており、弱気のシグナルであると述べたが、確かにドルの地合いは徐々に悪化しているように見える。

FOMC声明文の見所は、インフレ見通しと今後の利上げベース

今週最大の焦点は、火・水曜日に開催されるFOMCである。0.25%の利上げ(1.50-1.75%へ)はすでに9割以上織り込まれており、それ自体はもはやドル買い材料とはならない。問題は声明文がインフレ見通しと今後の利上げペースについてどのように説明するかだ。前回1月のFOMC声明では、「労働市場は引き締まり、経済活動は堅調な速度で拡大している」としながらも、「インフレ率は目標の2%近辺で安定する」と楽観しており、緩やかな利上げが正当化されるとの見解を維持した。

今回のFOMCはパウエル新体制の下での初めての会合でもあり、これまでのスタンスを大きく変更してくるとは考えにくい。一時浮上したインフレ懸念も、2月の雇用統計で平均時給の伸びが減速したことで下火となっている。前回12月のメンバーの金利予測(ドットプロット)によると、今年合計で3回の利上げが適切との意見が最多だったが、この3か月で米国の経済状況に大きな変化はなかった以上、ドットプロットも前回と似た分布になると見ていいだろう。

では、予想通り利上げが発表され、FOMC声明はおおむね前回を踏襲、ドットプロットも大きな変化なしとなった場合、市場はどう反応するだろうか。インフレでもリセッションでもないゴルディロックス経済の中で、これまで通りごく慎重に利上げが行われるとの見通しは、株式市場にとっては安堵材料となるだろう。パウエル新体制が従来路線を踏襲するとすれば、債券利回りも幾分低下するだろう。しかし為替市場は、12月会合後のドル円の動きが物語っている通り、材料出尽くしのドル売り反応となる公算が大きい。

ドルにとって最大の強気材料である「利上げ」がすでに先々まで織り込まれている一方、日米の政局を材料とした新たな不透明感が市場を覆い始めた。今週はFOMC利上げによる材料出尽くしによるドル売りと、リスク回避による円買いの同時進行で、105円割れも十分ありうると予想する。 

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