トレイダーズ証券の井口喜雄による【Dealer’sEYE】をお届けします。
FRBは金融緩和に舵取り
マーケットはFRBが金融緩和に舵を取ったと判断したようです。一昨日ブラード・セントルイス連銀総裁が「近く利下げが適切になる可能性がある」と発言したほか、昨日はパウエルFRB議長も「貿易戦争が及ぼす影響を注視している」「景気拡大の維持のため適切に行動する」と発言するなど利下げ期待が一気に高まりました。パウエル議長は明言こそしていないものの、年内の利下げ確率は約97%まで拡大しており、FRBがマーケットに利下げを織り込ませにきたのは間違いなさそうです。
週末にかけて神経質な展開
FRBの金融緩和もインパクトがありますが、米国を中心とした貿易問題も引き続き予断を許しません。本日はメキシコのエブラルド外相とポンペオ米国務長官が協議する予定です。昨日メキシコのオブラドール大統領が「明日の協議は重要だが、私は楽観視している」「10日の関税発動前に米国と合意するだろう」と発言しており、メキシコへの関税発動前に米国との合意に持ち込めるかが焦点になります。関連ニュースのヘッドラインには振らされることになるでしょう。また、その他のイベントも本日は米ADP雇用統計や米ISM非製造業景況指数が控えるほか、明日6日はECB政策金利発表、明後日7日には米雇用統計とビックイベントも多く、週末にかけて神経質な展開が続きそうです。
下値警戒も突っ込みすぎに注意
FRBの米利下げスタンスや、米国を中心とした不透明な貿易問題を考えるとドル円は下値警戒姿勢を強めておくのが賢明です。ヘッジファンドなどの短期勢もネガティブな材料が増えていることでダウンサイドを荒らしにきそうな雰囲気があります。
ただし、FRBの米利下げスタンスは株価にとっては好材料なのでマーケットはリスクオンとなり、円買いにはブレーキがかかるかもしれません。また、貿易問題もトランプ相場ではツイート1つで大きく流れが変わるので低いレベルでのショートは少し考えなくてはなりません。チャート的にも一時的な反発があってもおかしくはなく、昨日の安値107.84円をクラッシュして突っ込んでくれる展開があるならついていきますが、それ以外は戻りを待ちたいと思います。
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