前回のおさらい
こんにちは、いいだっち先生です。前回は「損小利大の方法論」について書きました。損小利大は複数回のトレードで成立させるのか？ それとも1回のトレードで実現するのか？ どちらも利益を追求するための方法論で、一長一短があり正解はないのですが、利益を出し続ける方法論として、いいだっち先生はリスクリワードに沿った一度のトレードで損小利大を成立させる方法を確立させた方が良いと述べました。上がるか下がるかの予想よりも、こういった方法論の方が実はものすごく重要なのです。
順張りは果たしてFX初心者向きなのか
昨今、FXを教える方がとても増えてきたように感じます。それぞれユニークな方法論をさまざまなメディアで発信されていますが、一つ看過できない発信が目にとまりました。それは「逆張りは難しいので、初心者はまず順張りをした方が良い」という意見です。これは一見まともに見えるので、初心者ならば多くの方が納得するであろう内容です。順張りとは投資手法の一種で、上昇・下降のトレンドに乗ってポジションを取る投資スタンスのことです。これとは逆に、トレンドの流れに逆らって買いや売りポジションを取っていくスタンスを逆張りといいます。
ここで問題となるのは、「順張りは初心者向きで簡単なのか？」「初心者は順張りを選択すれば勝てるようになるのか？」ということですが、初心者が順張りをしたところで残念ながら簡単に勝てるようにはなりません。
順張りの多くがトレンドフォローや追っかけでエントリーするやり方です。もしくは、ブレイクアウトというやり方もあるでしょう。スキャルピングとデイトレードで多少の考え方の違いはありますが、基本的に順張りではトレンドの初期段階を見極め、その流れに乗ることが大きな利益を得るために重要です。ただ、現実問題として「いつがトレンドの初期段階なのか？」「そのトレンドはいつまで続くのか？」を正確に予測することはどんなトレーダーにも非常に困難です。
FX初心者にとって逆張りは難しい？
次に、もう一方の投資手法である逆張りについてです。逆張りで代表的なのが、「打診買い」とか「試し売り」というやり方です。逆張りはトレンドや流れに逆らってポジションを取るので、「危険」とか「ギャンブル的」といったイメージが定着しているように見えます。確かに初心者の方が理解の浅いうちにやるには抵抗があるでしょうし、簡単ではありません。つまり、順張りも逆張りもどちらも難しく、初心者向けではないということです。
通貨ペアの特性に合わせる
初心者だから、上級者だから、とレベルに応じてやり方を選択するのではなく、通貨ペアの特性に合わせた方法を選択すべきです。例えば、ポンド円はご承知の通りダイナミックに動く通貨ペアの代表格で、多くのプロトレーダーの方に好まれています。いいだっち先生もポンド円を専門に扱っているくらいです。
ポンド円はダイナミックに上下するからこそ、反転するポイントを捉える逆張りが有効です。ただし、反転ポイントをうまく捉えることができない場合は早めに見切りをつけなければならず、その判断基準を設ける必要があります。多くの方が見切りをつける判断基準を蔑ろにするので、逆張りは難しいと感じているのではないでしょうか？
なお、順張りと相性が良いと思われるのはドルストレート系の通貨ペアです。ポンドドルやユーロドルはトレンドが半年～2年単位で続くケースが目立つので、いったんトレンドの流れに乗れれば大きな利益を得ることが可能になります（チャート①）。ただし、トレンドが長くなればなるほどトレンドの終息、転換をつかむのが困難な状況となる点には注意が必要です。
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重要なのはエントリー後
結局大事なのは、どちらもエントリーをした後になります。順張りも逆張りもどうやってエントリーするかという入り口の方法論であり、うまくいく場合もあればいかない場合もあります。トレードは決済して初めて完了するため、「うまくいっていないといつ判断するのか？」「うまくいったときにどこで利益を確定させるのか？」の方が大切です。エントリー後の決済理論を蔑ろにしてしまうと勝ち続けるのが難しいのは、初心者でも上級者でも同じなのです。
※この記事は、FX攻略.com2020年4月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
