私の初ショックはドバイG7ショック
ちょうど今ごろの時期になると、自分のFXデビューを思い出します。私のFXデビューは2013年の5月。最初はドル円とユーロドルの二つの通貨ペアで利益を出していたのですが、7月末にドル円をその年の最高値120円で10万ドル買ったところから雲行きが怪しくなってきました。
まあ、持っていればそのうち上がるよね、なんて、ご丁寧にナンピン買いまでして外貨預金気分で構えていましたら、同年9月に「ドバイG7ショック」が発生しました。これが私のFXにおける初めての「ショック」です。
ドバイG7ショックとは、アラブ首長国連邦のドバイで開催されたG7で「為替相場の更なる柔軟性を求める」という共同声明が採択され、それをきっかけに円高・ドル安が進んだことを指します(注:2009年11月には、ドバイ自体の信用不安で世界の株式が下落するという“ドバイショック”が発生している)。
ドル円はそれから100円を割れそうなところまで下げました。私は、損切りをすることもできずに追証を入れて耐え、1年半後にドル円が120円台に戻ったときに決済しました。今だったらこんな恐ろしい真似は到底できません。もちろんロスカットします!
ショックを吸収するストップロスは必須
ですから、自分自身の「歴史的ショック」の経験から、アゲインストのポジションを持っていたら、早く手仕舞いすることをお勧めします。というか、相場はいつショックが起こってもおかしくないので、常日頃からトレードをする際は、ストップロスは入れておきましょう。そうすれば、損失は最小限で済みます。
ドバイG7ショックが9月に起こったように、9月はショックが多いんです。1985年のプラザ合意、2000年のプラハ合意、2001年の米国同時多発テロ、そして、あの2008年のリーマンショックなど。
テクニカル的に7・8月はレンジ相場(夏枯れ相場)ですから、秋口になるとこういうショックが発生して、それに起因してボラティリティが上がるのかもしれません。でないとトレーダーは儲けるチャンスがないですからね。
VIX指数とは?
ボラティリティが高まる方が利益を創出するチャンスになりますが、その分リスクも大きくなります。ボラティリティを知るには、シカゴオプション取引所がS&Pを対象とするオプション取引の値動きを基に算出しているVIX指数が最もポピュラーです。
この指数は株式のボラティリティですが、株式市場のボラティリティが高まると為替市場では円高が進行しますので、参考になるのです。
VIX指数は、通常は10〜20の範囲で動くことが多く、30を超えたら投資家は悲観的となり、40を超えるとパニック状態に陥っているとされます。VIX指数の史上最高値は、リーマンショックのあった2008年10月につけた89.53です。VIX指数は株価の下落が止まり、投資家心理が落ち着けば、徐々に低下します。
ポジションを構築するのは、数値が低下してマーケットが落ち着いてからが賢明です。相場はダラダラ下げてきた後に、セリングクライマックスに向けて再度下値を模索しに下落(2番底をつけに行く)して戻るというパターンがよくあります。マーケットは基本的に思いっきり突っ込まないと下落は終了しません。
リーマンショック後の金投資で大きな利益に
史上最大のボラティリティのリーマンショックが発生した年は、FXのトレードを休んでいました。それまではドル円・クロス円は上昇していましたので、自分も買いポジションを持っていてもおかしくなかったのですが、ドライアイがひどくてトレードができなかったのです。私の周囲では、ドル円やクロス円のロングポジションを持っていて大変な状況に陥っている人、逆にショートでガンガン攻めていく人と明暗が分かれていました。
私は、FXの資金はキャッシュ化してあったので、世界が不安になったときに強いといわれている金を生まれて初めて買うことにしました。FXをやっていて金市場をウォッチしていたから投資ができたのです。
100年に一度の危機ですから、ほとんど全てが、金ですらも売られましたが、下落したのは2か月程度で、真っ先に回復したのは貴金属市場でした。金は、2011年9月に史上最高値の1923ドル台をつけるまで快進撃しました。3年間で約2.5倍の上昇。こんなパフォーマンスの良い投資は、近年における自分のインベストメントの中で他にはありません。
さまざまな危機がある中で、自分が常に心掛けているのは「慌ててトレードするよりも、状況の把握」。相場が大きく変動したときは、その流れに乗り遅れると儲けるチャンスを逸してしまうと考えがちですが、まずは状況の把握が先決です。第一波に乗れなくても、落ち着いてからその後の波に乗って利益を取っていくことは十分可能なのですから。
※この記事は、FX攻略.com2017年7月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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