米ドル/円予想レンジ 117.00-121.50
「Fed sees three rate rises in 2017(FRBは2017年に3度の利上げを見込んでいる)」-。これは12/15の英経済紙一面だ。12/14の米連邦公開市場委員会(FOMC)は昨年12月以来、1年ぶりに利上げを決定。政策金利(FF金利)を0.5%から0.75%の範囲にした。声明では利上げ理由として、米雇用の伸びと緩やかなペースで景気が拡大していることを挙げている。
イエレン議長、覚悟を示す
FOMC後のイエレンFRB議長会見で印象的だったのが2点ある。ひとつは、トランプ次期大統領が打ち出す“インフラへの巨額投資や大型減税策”構想が金融政策に及ぼす影響を認めつつ、同策の不透明性から見通しの不確実性も強調したことだ。従来通りの慎重な姿勢を崩さない一方で、FOMC委員によるFF金利見通しの中央値(誘導目標)は、2017年末1.375%(≒想定利上げ3回)となった。これはトランプ施策に対するFRBの和戦両構えの表れともいえよう。
二つめは、前号で指摘した議長自身の去就を問う質問には「4年間の任期を全うするつもり」とした点だ。これまでの金融政策に対する自信や矜持とも推考するが、新政権チームとの擦り合わせもあったのではないか。2018年1月末までイエレン体制が続くことになる。
黒田総裁も覚悟を示すか
筆者は11月上旬以降のドル高・円安の短期持続性は、12/20の日銀会合における黒田総裁の姿勢に委ねられると読んでいる。9/21に日銀は「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」政策を示し、11/17には指定価格での国債無制限購入(指し値オペ)、12/14は国債購入額を増額、12/16に国債買い取り実施との異例の「オペ予告」にも踏み切った。米金利の上昇見通しに対し「ゼロ%程度」を目標にしている本邦長期金利への上昇抑制姿勢を強い覚悟で再表明すれば、円買いインセンティブの低下を促すことに繋がりそうだ。
師走時期としては足元、1ヶ月物のドル調達コストをLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)で見ると0.7%超まで上昇している点も注視している。12/19週は調達側である本邦勢のなかにはコスト上昇に躊躇を覚えながらも、年末越えのドル調達を余儀なくされてスポット直物市場でのドル買い手当をする向きも現れるのではないか。
米ドル/円上値焦点は12/15高値118.68、119.00。超えれば2/3高値120.06、2/2高値121.05、1/29-2/1高値圏121.50-70が視野入り。下値焦点は12/15安値117.09や12/14イエレン議長会見時の安値115.95を推考。下割れると12/13-14安値圏114.76-77からの上昇帯回帰を警戒している。
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