FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2018年3月5日号
先週のドル円相場
先週のドル円相場は、株式市場が再び大幅安となったことを受けてリスク回避の動きが広がり、105円台へ下落した。NYダウ平均は再び2万5千ドルを割り込み、日経平均も2万1千円台前半と2月の安値に迫った。先週の当コラムでは、「米国金利上昇=ドル買い」というゲームのルールが崩れ、「米国金利上昇⇒株安⇒リスク回避」という流れができつつあることを指摘したが、どうやらそのような展開になりつつある。
株安によるリスク回避以外にも、トランプ政権の保護主義による貿易摩擦懸念という、新たなドル売り材料も浮上してきた。トランプ米大統領は1日、鉄鋼とアルミニウムの輸入増が安全保障上の脅威になっているとして、輸入制限を発動する方針を表明した。鉄鋼は25%、アルミニウムは10%の追加関税を課す。米中で摩擦が強まれば株式市場にも不安材料となる。
心配な日本株市場
米国経済は好調で、米国株式市場には自律的に回復する力が備わっているが、心配なのは日本株市場だ。米国株が下落すると日本株も当然のように下落するが、米国株が反発しても日本株は十分追随できないことが多い。また日本株は円高に弱いため、円高時には独歩安になりやすい。金曜日の日経平均は21181円で終了し、シカゴ日経平均先物の終値は21110円だ。今週は日経平均が年初来安値の20950円を下回り、株安・円高の悪循環が加速する事態も想定しておくべきだろう。
リスク回避の局面では、安全通貨の筆頭である円が最強通貨となるが、同じく安全通貨ブロックに属するドルもそれなりに買われることが多い。円高とドル高が同時進行すると、相対的に弱いのは欧州通貨と資源国通貨ブロックだ。つまりユーロ円や豪ドル円といったクロス円が強い下落圧力にさらされることになる。ドル円だけでなく、クロス円での円高加速にも要注意だ。
今週金曜日の米雇用統計見通し
さて今週金曜日には米国2月の雇用統計が発表される。前回1月の雇用統計では、市場がインフレの先行指標として注目する平均時給が前年比+2.9%と予想を大きく上回ったことから、インフレ懸念⇒ドル売りという流れの起爆剤となった。現時点での予想コンセンサスによると、失業率は4.0%と前回から0.1%低下し、非農業部門雇用者数は+19万人と前回(+20万人)並み、注目の平均時給も前年比+2.9%と前回に続いて強い数字となる見通しだ。現在の市場のセンチメントであれば、強い数字が出てもドル買いにつながらず、むしろ急激な金利上昇を通じて株安・円高の負の連鎖を引き起こす可能性が高い。あわててドル買いで飛びつくことのないようにすべきだろう。
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