ミノリ 前回、FXのレート生成の仕組みから、スプレッドがどのように設定されるのかを解説してもらったけど、時々すごくスプレッドが開くのはなんで?
間瀬 結論からいうと「市場の流動性がなくなるから」なんだよ。前回のおさらいをすると、投資家が日々目にするレートは、銀行が配信するレートを基に生成されるんだったよね。
ミノリ そうだった! 市場の流動性というのも、レートを配信する銀行が関わってくるの?
間瀬 その通り! 銀行の配信レートには「ドル円=●円なら受け付けるよ」という情報の他に「●万通貨までは取引できるよ」という条件がついているんだよ。銀行からの配信レートを見やすくするとこんな感じだね(図①)。
真ん中のRateは、FX会社目線でいう「カバー取引を行うことのできるレート」を指しているんだ。赤枠で囲ったA銀行を例にすると、「500万通貨までならドル円=99.998円で売りカバー取引を行うことができる」ということを指しているよ。
銀行ごとに配信してくるレートや取引数量が異なるので、この中からどこの銀行とカバー取引を行うかはFX会社の裁量に任されているんだね。
ミノリ なるほど。この中から良いレートで、かつ数量をある程度提示してくれている配信レートを選んでFX会社はカバー取引をするんだね!
間瀬 ここで、スプレッドが広がるときの銀行配信レートの例を見てみよう(図②)。
ミノリ あれ…? 中央の100.000円付近に全然レートが配信されていない。配信されている取引数量もだいぶ少ないみたい。
間瀬 そうなんだよ。これがどういうときに起こるかというと、大きく相場が変動しているときだね。銀行も「数秒後にどんなレートになるか分からない」から、「リスクを取らないようなレートと取引数量」を提示するんだよ。つまり、FX会社に対して「通常時より低いレートでの売値・より高いレートでの買値」かつ「少ない取引数量」を提示してくるようになるんだ。その結果、FX会社はカバー取引をする際の売値と買値のスプレッドが開いてしまい、顧客向けレートのスプレッドも大きく開いてしまう…ってことだね。
また、流動性が少ない、つまり取引可能数量が少ない局面では、一瞬でその配信レートが消化され、「レートが飛ぶ」場合があるよ。消化されたレートの次に条件の良いレートまでレート差がある場合、レートが大きく飛ぶことで売り買いのスプレッドが大きく開き、お客さまからしても取引を行いづらい状況になってしまうんだ。
ディーラーはこんな状況のことを「流動性がスカスカで、レートが飛ぶ」と表現したりするよ(図③)。
ミノリ インターバンク市場に流動性がなくなるのって具体的にどんなときなの?
間瀬 経済指標発表時や要人発言時、または今回のコロナショックのように、相場全体が大きく動揺しているときだね。あとは平日の朝も流動性は薄くなるよ。
ミノリ 朝…? みんな寝てるから?
間瀬 あながち間違いじゃないよ。外国為替取引は平日ほぼ24時間行われるけど、日本時間朝6時~8時の間は極端に市場参加者が減ってしまうんだよね。一応、ニュージーランドのウェリントン市場がオープンしているから、取引自体は行われているのだけど、東京・ロンドン・ニューヨークの市場時間と比べると取引量が劣後するので、流動性が大きく低下してしまうんだ。その結果、銀行の配信レートの流動性も薄くなってレートが飛び、スプレッドも開いてしまうんだね。
ミノリ じゃあ、いつ取引したらいいんだろう…。
間瀬 少なくとも、スプレッドが開いているときは相場に流動性がないと考えて、下手に手を出さない方が良いと個人的には思うかな。銀行ですら相場の先行きが分からず保守的になっているときに、個人投資家が参入するのは気をつけた方が良いね。
ただ同時に、うまくいけば「お宝ポジション」を建てることができる局面でもあるから悩ましいね。取引をする場合は、普段よりもリスクが伴うと認識しておいてほしいかな。
ミノリ そうなんだね、スプレッドのことがよく分かったよ。いつもありがとう、サンドウィッチ間瀬くん!
※この記事は、FX攻略.com2020年6月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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