ファンダメンタルズ分析に欠かせない要素の一つとして、経済指標が挙げられます。しかし、一口に経済指標といってもさまざまな種類があり、どれに重きを置くかで迷っている方も多いことでしょう。それではどのような経済指標を参考にするべきなのか? 田向宏行さんにアドバイスしてもらいます。
注目される事柄は何かを意識すべき
私はテクニカルを中心にマーケットを見ていますが、ファンダメンタルズも無視できません。テクニカル分析を職人の技術に例えるなら、ファンダメンタルズ分析は経済の連想ゲームです。経済指標の変化や、経済政策の変化が今後のマーケットにどう影響するかを考えていきます。
経済指標は、指標自体の影響力の大小と、トレーダーが取引する時間軸により、マーケットでの値動きに違いが出てきます。どんな指標を見るべきかは、自分がどの時間軸でトレードしているかで決まります。
つまり影響力の小さな指標でも、短い時間軸で取引する人にとっては大きく影響し、同じ指標でも長い時間軸の方には誤差の範囲程度の動きかもしれません。これは時間軸の大小で値動きの幅が違うからです。
よって影響力の大きな指標は、短い時間軸で取引する方には暴力的な動きになるかもしれませんし、長い時間軸の人でも十分に相場を動かす場合があります。
読者の方の中には、「この指標で必ず動く」というものを探している方もいるかもしれませんが、それは無理です。そのときの経済状況でマーケットの注目が集まれば、小さなものにも反応しますし、注目されていなければ大きな指標でもあまり動きません。金融市場は生き物なので、今、何に市場の注目が集まっているかを意識しておくことが、指標を見る上でも重要になってきます。
最も影響力のある中銀の金融政策
経済指標の中で、市場に大きく影響するのは国の政策の変更です。直近の市場の動きを振り返れば、米国の大統領選挙や英国のブレグジット、日本の安倍政権誕生によるアベノミクスも大きな国の政策変更でした。こうした政権交代や大きな政策変更は、マーケットの動きを根本的に変える可能性がありますし、時間的にも長く影響を及ぼし続けます。
しかし政権交代のような大きな国の政策変更は頻繁には起こりません。そこで、通常のマーケットの中で重要視されるのは、金融政策に関するものです。
国の金融政策は、中央銀行が担当しており、政権の政策に沿う形で金融面から経済をコントロールしようとします。日本であれば日銀の金融政策決定会合、米国であれば米連邦公開市場委員会(FOMC)、欧州なら欧州中央銀行(ECB)理事会や、英国の金融政策委員会(MPC)が注目されます。また金融政策決定に関わる要人の発言が注目されるのも、そこから金融政策の方向性を予想するからです。
ということは、金融政策の発表日時は必ず事前にチェックしておく必要がありますし、直前でポジションを持つのは控えた方が良いといえます。なぜなら、そこで相場が大きく動く可能性があるからです。
相場が動くということはチャンスかもしれませんが、大きな損失が発生する可能性もあり、出たとこ勝負の丁半博打になりかねません。直前ではなく、もっと前からスケジュールを考慮して、事前にポジションを持って仕込んでおくべきなのです。
経済指標として注目すべきものを一つだけ選べといわれれば、間違いなく中銀の金融政策だといえます。
多くの経済指標は金融政策を決めるための材料
では、金融政策以外の指標はどうでしょう。失業率や国内総生産(GDP)、貿易統計など日々さまざまな指標が発表されますが、これらは中銀が金融政策を決定する材料です。つまり各種指標データから、目には見えない経済の動きを中央銀行が分析して金融政策を決定するので、この指標で金融政策への思惑が生まれて動くわけです。まさに連想ゲームです。
ただ、そのときの経済状況により、中央銀行が注目していると推測される指標は違ってきます。よって数多くの指標の中でマーケットが注目して、金融政策に影響する可能性の高い指標であれば、相場が大きく動く場合があります。
このあたりが指標を見る際のポイントだと思いますが、直近では少し例外的な動きがあります。それは、米国のトランプ大統領のツイッターです。
通常、政府の責任者が直接意見表明するのは、会見や議会などの場であるため、私たちはこうした発言機会をチェックして事前に備えておきますが、「トランプ砲」ともいわれるトランプ大統領のツイートは、突如発信するため、何の準備もないときに思わぬ動きになる場合があります。今後トランプ大統領の任期中は十分注意する必要がありそうです。
しかし、トランプ大統領の発信が予期できないからといって、経済指標を無視するのは無謀ですし、かといって警戒しすぎていたらトレードができません。ここは資金管理を厳密にして、取引ロットを抑えるとか、損切りを慎重にするとか、大統領がツイッターで発信しがちな米国時間の早朝は気を付けるなどをした方が良いのかもしれません。
※この記事は、FX攻略.com2017年5月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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