トレードの行動を引き起こす「感情欲求」を探る[村居孝美]

「トレードで同じ失敗を繰り返してしまう」。この行動の奥には、実は自分でも気がつかない「欲求」が隠されている。今回はこの根源となる欲求について解説してみよう。

本当に手に入れたいものは何?

「トレードで成功した先のあなたの夢はなんですか? 何が欲しいから成功したいのでしょうか?」この問いに、あなたはどう答えるでしょうか。「仕事を辞めたいから」「世界旅行がしたい」「マイホームが欲しい」「趣味に没頭したいから」……など、さまざまな答えが出てくると思います。

しかし、これらの「手に入れたいもの(こと)」についてもっと深く突き詰めてみるとどうでしょう? なぜ、それらが欲しいのか……を深く考えてみると、「手に入れたい感情」に辿り着きます。「手に入れたいもの(こと)」というのは、実は感情的な欲求を満たすための手段なのです。

感情欲求とは

たとえば、「お金を得て仕事をやめたい」という願望に対して、「なぜ、お金を得て仕事をやめたいのか?」「お金を得て仕事をやめることで、何を得られるのか?」といったように、突き詰めていくと「お金を得ることで、生活のために仕事をすることから開放されたい」という本音が浮き彫りになってきます。つまり、「開放されたい=自由になりたい感情」を求めているのです。

これらの感情的な欲求を「感情欲求」といいます。では、これらの感情欲求とは具体的にどんなものなのでしょうか。世界NO.1コーチのアンソニー・ロビンスは「人の行動のほとんどは、6つの欲求が核となっている」と分類し、これを「シックス・ヒューマン・ニーズ」と呼んでいます。そして、このなかでも、多くの人が強くもっている欲求は「安定」「自由」「愛」「重要感」の4つだといわれています。

「ルールを守れない」行動の裏に隠された欲求

たとえば、「ルールを守れずに、毎回早めにロスカットしてしまう」という行動の裏には、「大きな損失を避けたい」という願望があります。そして、その願望の奥には、大きな損を被ることで「精神的なダメージを避けたい=安定したい感情」という欲求が根源にあります。従って、安定感を求める傾向がある人にとっては、リターンも大きいがリスクも大きいといったボラティリティ(変動幅)の大きい市場での売買は不向きだということになります。

一方、「ルール通りの売買を続けられない」という場合、「小さい利益の積み重ねよりも、一か八かの勝負で勝ちたい」という願望があることがあります。この場合、ギャンブル的なトレードによって「ワクワク感を満たしたい」という自由の欲求が根源にあるのです。こういったタイプの人にとっては、薄利で回数の多いような売買ルールを決めても、途中で断念してしまう結果になるでしょう。

このように、トレードでルールを守れない行動の裏には、4つの欲求に基づき「痛みを避けて快楽を得たい」という感情的な欲求が隠されているのです。

行動を変える=欲求を変える

トレードの勝者たちは、いとも簡単に成功を遂げているようにみえます。ところが、実際に勝者の行動を真似ようとしても、このようになかなか簡単には実現できません。行動を変えるには、自分の選択を変えなければなりません。選択を変えるには、自分の基準を変える必要があります。そして、基準を変えるには、自分の欲求を変えなければならないのです。

欲求にこそ、自分を駆り立てる本当の力が存在しています。人は常に何かしらの行動をすることで、何かしらの結果を得ています。その行動を決めたのは、何かしらの選択をしたからです。その選択には「基準」が求められます。そして、その基準に隠れているのが、真の動機であり、本音であり、その核となる欲求なのです。

自分の欲求を探り、勝者と同じ行動をとる

みなさんは、自分の欲求に気づいているでしょうか。自分の欲求に基づいた行動を積み重ねていくことで、自分のなかには信念ができ上がっていきます。そのマイルールがトレードにネガティブなもので、自分の成長を阻むものであれば、どれだけトレードの技術面を磨いていても、無駄な努力を続けているだけです。自分が無意識にその信念に振り回されて行動している間は、何年たっても結果は変わりません。

しかし、逆に自分の欲求を探り、勝者と同じような行動をとることができれば、トレードはその日から変わっていくはずです。トレードで成功を収め、望む人生を手にするため、まずは自分自身のトレードでの欲求を明らかにしましょう。そうすれば、自分の行動を変えるための道筋がみえてくるはずです。次回は、自分の欲求を明らかにするために、これらの「6つの欲求」について、さらに深く掘り下げて解説していきたいと思います。(月刊FX攻略.com 2013年11月号掲載) 

村居孝美の写真

村居孝美(むらい・たかよし)

一般社団法人日本トレーダーコーチング協会理事長、エクセレントホース代表取締役、スーパートレーディングスクールREED校長。NLP心理学に基づく国内外のトップトレーダーのモデリング法を伝授する「NLPトレーディング」の第一人者及び現役システムトレーダー。トレーダーを専門とするコーチおよび投資法の指南役として全国的に活躍。現在は、日本の個人投資家に高水準のスキルを提供 するコーチを育成し、執筆、講演、セミナー等の活動を行う。 NPO法人日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA)、米国NLP協会認定マスタープラクティショナー。

公式サイト:REED

Twitter:https://twitter.com/takayoshi_murai

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