トレイダーズ証券の井口喜雄による【Dealer’sEYE】をお届けします。
約2週間足らずで10円近く上昇、トランプ相場で米ドル/円は完全にオーバーシュートしています。現状ではトランプ相場のいい面ばかりが目立っていますが、一つでも悪材料が出てしまうとオーバーシュートしているだけに一気に崩れる恐れもある局面でもあります。ただし、この大相場はまだまだロングでついて行かなくてはならないのだと思います。
短期的には調整局面も
明日24日は米感謝祭があります。昨年の米感謝祭を思い返してみると本当にリクイディティが枯渇していて取引をしている人はほとんどいないのではないかと思うくらいでした。週末も絡んでくるこの感謝祭前にポジションをスクエアにする投機筋は多いと考えることができ、利益確定の売りは相当入るのではないかと思います。この調整局面から仮に110円を割れて押し目を拾えるのであれば理想的な展開なのかもしれません。
押目待ちに押目なし
とはいえ、絶好の調整局面ではあるものの、押し目を待ってこの大きな相場で取りこぼしたくはないというのが正直なところです。このまま「財政支出拡大→金利上昇→ドル上昇」の流れに乗り112円を超えてくれば115円も視野に入ってきます。ここを取りこぼしたくはありません。下げ幅と上げ幅を比較した場合どうしても強気になってしまいます。
また、関係者からはドル高けん制発言もありそうですが、ここまで長期金利が上昇していくと当局が何を言おうと下げは限定的になるような気もしています。このモメンタムでればいくら割高とはいえ、押し目を待っている状況でもなさそうです。今の水準でも買いに行くべきと判断しています。
トランプリスクは残るものの、正式な大統領就任まではこのモメンタムが継続する
トランプ氏は大幅減税のほか、インフラ投資を前面に打ち出し、民間投資に10年間で1兆ドルのインフラ投資を予定しており、そのために財政支出拡大と言われております。仮に、減税規模やインフラ投資額が想定より低かった場合にはドルは相当下がりますが、実際にトランプ氏が大統領になるのは来年の1月とまだまだ先になります。トランプ政策のいい面ばかりがクローズアップされて納得できない部分もありますが、年内は負の一面には触れられずこのまま行きそうな気もしています。
今週のテクニカル分析
日足で見るとだ主だったポイントを全てブレイクしていたため、週足でレジスタンスを見てみます。目先では一目均衡表の雲下限がさしかかる111.50円付近、心理的な節目となる112円、昨年の高値125.80円から今年の安値98.50円の半値戻しとなる112.20円付近が短期的なレジスタンスとなります。ここを上抜けるようだと少し気は速いですが115円が視野に入ってきます。ただし、オシレーター系の指標を見るとほぼすべてのテクニカル指標で買われ過ぎ状態となっており、週末にかけてやや調整の動きが見られるかもしれません。
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