FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2021年3月15日号
先週のドル円相場は
米国債利回りの上昇を背景としたドル買いが優勢となり、109円台をトライ。同水準を突破するとストップロスの買いを巻き込み一時109.23円と昨年6月以来の高値をつけた。その後は一旦利益を確定する動きが出て108.34円まで反落したものの、この水準では押し目買い意欲が強く、米国債利回りが一時1.64%まで上昇する中、109.17円まで持ち直した。
前回の当コラムでは、「株高を背景としたリスクオンの円売りと、米国債利回り上昇を背景としたドル買いの2つの歯車が噛み合い、ドル円の上昇余地がこれまでの想定より広がる可能性が出てきた」と予想したが、おおむねそのような展開となった。
FOMCはドットプロットチャートに注目
今週の注目イベントは、日米の中銀会合だ。
まず16・17日にはFOMCが開催される。金融政策は現状維持がほぼ確実で、完全雇用と2%のインフレ目標が達成されるまで政策金利を0~0.25%に維持し、月1200億ドルの資産購入を継続するというフォワードガイダンスも維持される見通しだ。
四半期に一度公表されるFOMCメンバーの経済見通しは全般に上方修正される可能性が高い。また金利見通し(ドットプロットチャート)では、利上げ時期が早まる方向でドットが移動する可能性がある。
前回12月のドットプロットチャート 出所:FOMC付属資料
前回1月の会合時と比べて10年債利回りは60ベーシスあまり上昇しているが、パンデミック前の水準(1.75~2.0%)にまだ達していないことから、当面は金利上昇を牽制せず静観する構えを示すと見られる。10年債利回りは次の節目である1.75%を目指す展開となりそうだ。
一方、パウエルFRB議長は会見で、景気や労働市場の先行きに慎重なハト派姿勢を示し、バランスを取る可能性が高い。株式市場は金融面でのサポートが継続することを好感し、上昇基調が続きそうだ。
米国債利回りの秩序だった上昇はドル高をもたらし、米国株高はリスクオンの円売りを呼び込む。ドル買いと円売りの歯車が噛み合えば、今週にも110円を試す展開となる可能性は十分ある。
日銀会合はマイナス金利深堀りへ?
日銀は18・19日に金融政策決定会合を開催する。マイナス金利の深堀り余地を明確にするとの見方が多く、実現すれば一時的にせよ円売りにつながる可能性がある。また「年6兆円ペース」としているETFの購入原則を削除するとの観測があるが、現在の株価水準からすれば妥当であり、影響は限定的だろう。
投機筋は円売りへドテン返し?
IMM通貨先物の取り組みによると、投機筋の円買い越しは一段と減少し、3月9日時点で6,514枚と昨年3月以来の規模となった。急激な減少速度から見て、このまま行くと円売り越しに転じることも十分考えられる。
過去を振り返ると、2018年6月や2019年10月など、投機筋がポジションを円買い越しから円売り越しに転じドル円が急上昇した事例がある。ドル円が一段高となる予兆かもしれず、注目したい。
IMMポジションとドル円 出所:CME、QUICK
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