私たちは、本やインターネットなどから、多様なファンダメンタルズ情報を手に入れることができます。ですが、FXで利益を出すために、それらをどう活用すべきか分からない方も多いのではないでしょうか。この企画では、「マーケットの語り部」雨夜恒一郎さんから、ファンダメンタルズ情報を勝ちトレードにつなげる技術や考え方を教えてもらいます。今回は、優先的にチェックすべき情報源について学んでいきます。
※この記事は、FX攻略.com2018年5月号の記事を転載・再編集したものです
市況記事をチェックするだけでもOK
「ブルームバーグ」https://www.bloomberg.co.jp/
編集部 ファンダメンタルズが苦手なFX初心者の方は、どういったニュースサイトを読むのが良いのでしょうか。
雨夜 ロイターやブルームバーグの定番の市況記事が日本語で朝必ず更新されるので、まずはそれらを見るべきでしょうね。特にブルームバーグのサマリー、いわゆるまとめ記事は為替だけではなく、株・債権・ゴールド・原油なども全て網羅していて、前日にニューヨークで関心があった出来事を短時間で確認できます。
編集部 時間がなくて、あれもこれも読むのが大変という方でも、それならチェックできそうですね。
雨夜 はい。逆にいうと日経新聞など日本の新聞は読まない方が良いです。読むと変なバイアスを受けてしまいますから。
編集部 それは意外です。日経を読んでいれば間違いないと思っている投資家は多そうですが…。あまり役に立たないということですか?
雨夜 日経を毎日読んでいると分かるのですが、記事内容は日銀の緩和に批判的で財政の方に重きを置いているトーンなんですよ。ほとんどの情報源が財務省ということで、それに寄った記事しか書かない印象が強いですね。中には相場観としておかしい記事もありますし。もちろん客観的な記事なら問題ないのですが、記者の主観が入った記事は間違っていることも多いので、あえて読まないようにしています。
編集部 なるほど、参考になります。では時間がある人はどのような情報源を確認すべきですか。
雨夜 時間があるのなら、「経済レポートドットコム」を読むと良いですよ。ここにはいろんなシンクタンクや証券会社、銀行の看板アナリストのレポートが投稿されていて、無料で読むことができます。例えば、野村総研や三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査部とかが定期的に出しているレポートが大量にあります。無料で役立つのに、不思議とみんな読んでいないんですよ。自分で調べるのが大変なことをまとめてくれて、しかもそれを無償提供してくれるのだから、ユーザーとしてこんな楽なことはありません。ボリュームもかなりありますし。
「経済レポートドットコム」http://www3.keizaireport.com/
編集部 無料で利用できるのはありがたいですね。その中でもお勧めの記事があれば教えてください。
雨夜 大和総研が出しているものはかなりお勧めです。あらゆる分野の調査をしていて、内容も確かです。
編集部 なるほど。経済レポートドットコムには日経みたいな偏りはないんですか?
雨夜 アナリストの個性は出ますが、当局とズブズブというわけでもないので、客観的で質の高い記事を提供しています。彼らはそれが仕事ですし、相場予想を当てないと有名になれませんからね(笑) 大和総研以外でクオリティがすごく高いと思うのは、やはり野村総研と三菱UFJリサーチ&コンサルティングです。
信頼できる情報をいかに得られるか
編集部 経済レポートドットコム以外で雨夜さんがチェックしているものはありますか?
雨夜 そうですね、『東洋経済』や『ダイヤモンド』、『エコノミスト』といった経済誌も参考にしています。この3誌に出てくるアナリストは結構きちんとしたことを書いていますよ。それとNewsweek(ニューズウィーク)は米国からの発信で、日本とは違う視点に基づいて書かれているので、海外の情勢を知るには重宝します。
編集部 どれか一つに絞るのではなく、いろんなものに目を通すことが大事なんですね。
雨夜 はい。特定の記事を妄信するのではなく、数を読むことが大切だと思います。
編集部 初心者のうちはどの記事が正しくて、どの記事が間違っているかの選別が難しいと思うのですが。
雨夜 中には役に立たない記事ももちろんありますが、読んでいくうちに見極められるようになってきます。時間があるなら、まずはたくさん読むこと。必ず何かしら得られるものがありますよ。
編集部 ちなみにニュースを確認するのに適した時間帯はあるのでしょうか。
雨夜 一刻を争うという短期の取引においては、ニュースは遅れて入ってくるので邪魔になることの方が多いです。長期のトレードをするのであれば、一日の終わりでも朝でも良いと思いますよ。
編集部 そんなにこだわる必要はないということですね。FX会社が配信するニュースはご覧になっていますか?
雨夜 一応読んではいますけど、あくまで三次情報なので本当にそれを信じて良いのか分からないんですよ。例えば要人発言があった場合、まずロイターとかブルームバーグが記事にします。それをさらに「GI24」や「FX WAVE」といった情報ベンダーが加工したりコピーしたりして配信するわけです。ということは当然、要人発言の一部を切り取って使っている場合もあるわけで、その前後に何をいっているのか分かりません。三次情報・四次情報はニュース性として欠けるので、あまり信じないようにしています。
第1回のまとめ
■ ブルームバーグやロイターの市況記事を毎朝チェックするのが手っ取り早い
■ 日経など日本の新聞は情報が偏っていることが多いので全てを鵜吞みにしない
■ 時間に余裕がある場合は、「経済レポートドットコム」で各種レポートを読む
■ 情報源を一つに絞るのではなく、いろいろなものに目を通すことが大事
■ FX会社が提供しているニュースは三次・四次の情報なのであまり重視しない
※この記事は、FX攻略.com2018年5月号の記事を転載・再編集したものです
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