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FX力を鍛える有名人コラム

ドル円上昇余地を見極める![井口喜雄]

トレイダーズ証券の井口喜雄による【Dealer’sEYE】をお届けします。

米ドル/円、今後の展開は?

米ドル/円は週明けのオープンで一時107.83円まで売り込まれたものの、その後は原油価格が40ドル台で安定し、株高を背景にリスクオンの地合いとなったほか、ハト派で知られるNY連銀のダドリー総裁が、タカ派発言をするなど米利上げ観測も再燃し、米ドル/円は109円台まで回復しております。

米ドル/円は今年に入り、約14円下落しており、下落のスピードを考えると、この下げ渋りに関してはテクニカル的な調整と捉えることができます。引続き調整が入る可能性もあり、上値警戒姿勢を幾分強めておく必要はありますが、実際のファンダメンタルをみる限り、弱気スタンスは継続するべきと考えます。

原油価格は根本的な供給過剰状態が解消されていないため、今の水準40ドル台をさらに上抜けるにはやや材料不足です。逆にいつ原油の反落が起きてもおかしくない状況なだけにダウンサイドリスクに警戒する必要があります。また、米当局者から円高容認発言が散見しているなか、日銀の介入実施のハードルはかなり高くなっていることも引き続き重石となるため、米ドル/円は徐々に戻り売りが優勢になりそうです。

110.80円が売り方の損切りポイントに

チャートを見ると米ドル/円は107円ミドルではしっかり反発しており、底固さが確認できる一方、上値も短期的なレジスタンスとして109.50円付近が今週に入り機能しており、当面のレンジ水準と見ています。また、米ドル/円の反発レベルですが、今年の高値121.68から今年の安値107.62のフィボナッチ23.6%戻しの110.80円まで反発があると見ます。同水準は2-3月のレンジで強固なサポートラインだったこともあり、ここを上抜けるのは相当難しいと思われます。それだけに上抜けた場合は売り方の損切りポイントになります。

米ドル/円は約70%以上がロングポジション

米ドル/円の売買比率は約70%以上がロングポジションで、今週の上昇によりコストの良いポジションを取っている参加者も多いです。ただ、上昇はテクニカル的な調整の範囲内にとどまる可能性が高く、ドル高への本格的な回帰はまだ先の話です。また、海外勢は引き続き円買いに自信をもっているようでIMMの投機筋円買いポジションは年初来を更新しております。

<長期展望>

米ドル/円は、中国を始めとした世界的な先行きの不透明感からリスクオフ地合いが簡単に払拭されるとは考え難く、円高に振れやすい地合いが続くと見ています。また、米利上げペースの鈍化、日銀金融緩和への限界などネガティブな材料は多く、長期的なターゲットとして100円付近までの下値を想定しています。

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