市場は明らかに、近く交渉がまとまることを予期している
ギリシャ支援をめぐる交渉が大詰めを迎えており、本日行われるユーロ圏財務相会合が最大のヤマ場となりそうだ。ギリシャのチプラス政権は、緊縮策を伴う現行の金融支援の継続を拒否しており、今後の方針について2月末までにEUと合意できなければ資金を受け取れなくなる。短期国債は発行上限に達しているうえ、税収などの歳入も大幅に減少しており、3月中にも資金が枯渇する恐れがある。
ギリシャの提案内容は明らかになっていないが、報道を総合すると、EUに対して今後6か月の資金繰り支援を求めたうえで、既存の債務を名目経済成長率に連動させるなどの負担軽減を求めている模様。EU側は現行の枠組みの継続を求めており、両者の隔たりは大きい。
しかし株価を見る限り、市場は事態の行方に楽観的だ。ギリシャの株価指数（アテネ総合指数）は、総選挙直後の安値から約2割上昇。ドイツのDAX指数は終値ベースで史上最高値を更新し、欧州全体の指標（ストックス欧州600指数）も約7年ぶりの高値をつけている。相場のことは相場に訊けといわれるが、ギリシャが本当に「ヤバい」状態であるなら、これほど株価が上昇するはずはない。市場は明らかに、水面下で譲歩が行われ近く交渉がまとまることを予期している。
チプラス政権はユーロ圏にとどまる意向を示しているし、EUはギリシャの債務不履行で金融市場が動揺することを望んでいない。両者とも建前上強硬姿勢を崩していないが、歩み寄りが必要であることは理解しているはずだ。ギリシャ問題は今週何らかの形でけりがつく可能性が高いと見ていいのではないか。
振り返れば、先月ECBが予想より早く量的緩和を決定したことで、金融政策面では一つの区切りがつき、ユーロは徐々にだが持ち直してきている。ユーロの足を引っ張ってきたウクライナ危機も、4か国が停戦で合意したことで新たな局面に入りそうだ。ここでギリシャ問題が一段落となれば、ユーロの悪材料が一気に剥落し当面の底入れ・中間反騰局面入りとなってもおかしくない。ユーロドルはレンジの上限である1.15ドル台を再び試す展開を予想する。
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