FXにおいて時間的要素を重要視している川崎ドルえもんさんの当連載。今回から「為替天気予報」として、統計的アプローチからの具体的なトレード戦略を教えていただきます。
10月は円安になりやすい?
今回は過去のローソク足から統計を取った為替天気予報の10月統計データを紹介していきます。
まずは月足の統計データを見ていきましょう。表①は10月の月足を過去20年間、数えたものになります。見てみるとドル円の陽線回数が14回、ポンド円が13回、豪ドル円が14回、NZドル円が13回とクロス円の陽線回数が多くなっています。このことから10月は円安になりやすいアノマリーがあることが分かります。ただし、陰線になった回数もそれなりにあるので注意が必要です。
また、10月は新興国通貨にも注目です。表②は2006年10月からメキシコペソ円とトルコリラ円の月足を数えたものですが、10月のメキシコペソ円の陽線回数が10回、トルコリラ円が9回と陰線回数よりも多くなっています。このことから10月は新興国通貨が買われやすい季節性があるといえそうです。
週足のアノマリーはどうなっているか?
いくら10月は円安になりやすいといっても1か月は約5週間あります。それではいつごろに円安の傾向が出るのでしょうか、週足の統計データから探っていきましょう。
表③はクロス円の週足統計データから陽線確率を算出し、今年の週に当てはめたものになります。横一列で見てみると、10月12日からの週と26日からの週は陽線確率が高くなっていることが分かります。特にポンド円がどちらの週も73%、NZドル円は73%・77%と高くなっています。このことから、10月の円安アノマリーは3週目と5週目に起こりやすいといえます。
さらに、今回はポンドに関する通貨ペアの週足統計も見ていきましょう。表④のポンドに関する統計データを見てみると、10月26日からの週の陽線確率がポンド円は73%、ポンドドルは60%、ユーロポンドは17%、ポンド豪ドルは60%、ポンドスイスフランは83%となっています。特にユーロポンドとポンドスイスフランは共に83%の確率でポンド買いの方向に動いています(過去20回中16回ポンド高の方向に動いている)。このことから、26日からの週はポンド買いのアノマリーがあることが分かります。
クロス円の日足の動き
次はクロス円の日足統計データを見ていきましょう。表⑤はクロス円の日足統計データになります。ドル円を見てみると、10月6日から8日にかけて陽線確率が21%・30%・29%と低くなっています。陽線確率が低いということは、陰線になった回数が多いということです。このことから、この3日間は陰線になりやすい傾向があるということになります。
この3日間は最初の日にアノマリーが外れても翌日か翌々日にアノマリーが出れば利益になる可能性もあります。このように日足統計は単日で見るだけでなく、連日で考えてトレードを構築することも可能です。もちろんアノマリー通りに行かないこともあるので、損切りは必ず設定してトレードに生かしましょう。
続いてユーロ円で偏った傾向がある日を探すと、16日と20日の陽線確率が高くなっています。特に20日は95%と高く、詳細データを見ても過去20年で陰線がついたのは1回だけと、かなりの確率で陽線がついています。こういった日にユーロ円をショートするのはリスクが高いということが分かりますよね。20日は1時間足のテクニカルなどを見ながらロングすることを考え、もしテクニカルとアノマリーがかみ合わない場合はトレードしない方が良いでしょう。
さらにポンド円の傾向がある日を探すと、12日の陽線確率が71%、16日が88%、20日が95%と高くなっています。過去に16日は3回、20日は1回しか陰線がついておらず、かなり強い傾向になります。前述の通り、ポンド円は週足統計で12日からの週の陽線確率が高くなっていますので、10月12日からの週は12日から20日までポンド円をロングすることを考えてもいいかもしれません。
今度は日足統計データを横一列で見てみると、16日と20日はほとんどのクロス円で陽線確率が高くなっています。特に20日は三つの通貨ペアが90%を超えており、かなり強い円安傾向があるということになります。
さて、ここまで10月の為替統計データを紹介しましたが、統計データを年間で見てみると10月から年末にかけては円安になりやすいアノマリーがあります。したがって、スイングトレードをしている人にとって10月は年末に向けてクロス円をロングしていくことを考える時期になります。特にNZドル円は12月に上昇しやすいアノマリーがあるので注目です。
※この記事は、FX攻略.com2020年11月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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