今日は、よくある根本的な誤解についてお話しをさせて頂ければと思います。それは、「FXトレードは結局、上か下かを当てるゲームだ」というものです。たとえば、トレードを真剣にやっていない人が良くする質問が、「これからドル円はあがるのか?教えてほしい」という類のものです。もう、この質問をする時点で、トレードの本質を全く分かっていないことが露呈されます。
FXは単純な二択ゲームではない
はっきり言いますが、「FXは上か下かを当てるような単純なゲームではない」です。トレードは、確かにどちらかの方向に予想はします。短期的に上昇の確率が高いのか下落の確率が高いのかを考え、より優位な方に賭けます。
ですが、同時にどこがその仮説が崩れてしまうポイントであるのかを事前に認識し、ポジションを手放す位置を事前に決めておきます。さらに、その方向の優位性が保たれている内に、細かく利益確定が出来るルールを事前に考えておきます。そして、自分の資産推移を最適化できるような、目的に合ったポジションサイズを決定し、一度にマーケットにさらすリスクを事前に決めます。
この一連の流れを全て、繰り返し行うのがトレーディングであり、決して方向の予想だけすればよいゲームではありません。
1月前半に米ドル/円を売ったとして耐えきれましたか?
考えてもみてください。例えば今年米ドル/円は年始から下落傾向にあります。ならば、米ドル/円を売っていれば果たして儲かっていたのでしょうか?勿論、マイナス金利導入決定後に米ドル/円を売っていればほぼほぼ今は利益が出ていると思います。では、それより以前、1月前半に売っていればどうなのでしょうか。2月前半に売ればどうだったでしょうか。
FXに限らずマーケットの世界では、トレンドが出来たとしても、必ず波が出来ます。その波の振幅は、時折ものすごく大きいものになります。1月前半に米ドル/円を売っていれば、結果今のチャートを見れば正しい方向には賭けていますが、十中八九マイナス金利発表の時に損失に耐え兼ねて手放すことになっていたでしょう。
次回からは、今までの質問の代わりに、こう質問してください。「これから米ドル/円を、どのポイントで、どちらの方向にエントリーしますか?その際のストップロスの設定と、利益確定のポイント、あと、ポジションサイズを教えてください」と。まぁこんな質問に毎回答えてくれるお人よしはいないでしょうから、皆さんはこれから自分でこの質問に答えられるようにならなければなりません。トレードは決して上下を当てる単純なものではないということを心に刻んで、これから勉強をしていきましょう!
では、次回は「予想」に関してその限界と対処法を話していきます。