蓄積したデータから見えるもの
国内唯一の月刊FX情報誌として、『FX攻略.com』は創刊9年目となります。その間、読者アンケートや会場セミナー、質問や問い合わせなどを集計することで、読者の皆さんが持っている悩みや疑問、陥りがちな失敗例について、多くのデータを集積してきました。
この記事では、そういったデータに基づき、FX初心者が知っておくべき、技術や考え方にフォーカスしていきます。第1回となる今回は、トレード成績についての考え方です。
※この記事は、FX攻略.com2017年6月号の記事を転載・再編集したものです
トーナメント思考はFXに向いていない
皆さんはスポーツ観戦がお好きですか? 野球やサッカーなどの球技で、複数のチームの中から一番強いチームを決めるとき、主にトーナメント戦方式かリーグ戦方式が採用されます。
前者の代表例は高校野球の甲子園で、一度負けたらそこで敗退、全勝したチームが優勝となります。後者の代表例はプロ野球のリーグ戦で、こちらは勝率が一番高いチームが優勝となります。
FXのトレードをこのどちらかに当てはめるなら、リーグ戦的志向の方が長く運用を続けられる可能性が高いです。逆に、トーナメント戦的志向が強すぎると、問題が発生しやすくなります。
コツコツ続けるリーグ戦型
FXの運用における目的は何でしょうか。おそらくほぼ全てのトレーダーが、「お金を増やすこと」と答えるはずです。途中経過がどんな展開だろうと、それこそ100連敗しても、1か月間に一度も利益確定がなくても、結果的に開始時より投資資金が増えていれば、その運用は成功であるはずです。
これはトータルで投資成績を判断する考え方だといえ、リーグ戦で優勝を狙うことに似ています。勝つこともあれば負けることもあるけど、最終的に優勝できればそれで良いのです。
この考え方が身に付いていると、統計で成績を判断するようになり、また損切りを必要経費と解釈できるようになります。また総合成績が大事なので、毎回のトレードに一喜一憂しなくなります。
さらに、どうしても負けるトレードがあることを理解しているので、失敗からの立ち直りが早いです。そして、売買数量を極端に増やした大勝負はせず、小さな勝ち、小さな負けをたくさん繰り返す傾向があります。これによりトレード回数が増えて、統計的な精度を高めることに一役買います。
勝ちにこだわるトーナメント戦型
一方トーナメント戦の傾向が強い人は、毎回のトレードにあたかも決勝戦のようなメンタルで臨んでしまいがちです。これは、負けたくないという気持ちが強すぎる状態で、その結果として損切りが後手後手に回るという状態を招きます。
また、負けたくないという気持ちは、トレードを勝ちで終わらせたい気持ちとイコールですので、もっと利益を伸ばせる場面でも、浅く利食いしがちです。その結果として、そこそこ勝率は良くても、トータルではお金が減っているという、利小損大状態に陥ってしまいます。
さらに、トレードごとに思い入れが強すぎると、自分の分析に固執するようになり、損切りを遅らせる要因になると共に、大勝負に出るケースも多くなります。
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トータル勝負に持ち込むのが一番
ここまで見てきたのは、あくまで傾向レベルの話ですが、思い当たるところがある方もきっといるでしょう。
FXにおいては、絶対に勝てる局面、あるいは極端に利益が出る局面というものはないと考えるべきです。ほんの少しの優位性がある状態で何回も参入して、勝ったり負けたりしながら利益を少しずつ積み上げ、トータル勝負に持ち込むことが、結局はお金を着実に増やす一番の近道なのではないでしょうか。
決勝戦のメンタルは、統計勝負のFXでは少し気負いすぎだと思います。
※この記事は、FX攻略.com2017年6月号の記事を転載・再編集したものです
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