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“非伝統的”金融政策の話 その3[月光為替]

それでは、非伝統的金融政策の3つ目である、オペレーション対象資産の拡大について話をしていきましょう。 

こちらは、さくっといける内容ですので、てっとり早く終わらせていきましょう。

オペレーション対象資産の拡大とは

ここでいうオペレーションとは、何回か前にお話しした、買いオペ、売りオペの“オペレーション”のことです。

基本的にオペレーションの対象資産は、国債が対象でした。 

そしてそれを拡大させるということは、外債、社債、株式、不動産、投資信託などもオペレーションの対象資産とするということになります。

今現在でも日銀のETF買いなどが行われマーケットの歪みをもたらす原因となっていますが、FXのトレーダーとして理解しなければいけないことは単純で、“効果は買いオペ、売りオペと変わらない”ということです。 

つまり、対象資産は拡大したとしても、実質的にはマネタリーベースの増大、減少を目的としたものですので、買いオペなら緩和効果、売りオペなら引締め効果をもたらします。

現在のように量的緩和をしっかり打ち出している間は、その国の通貨にとっては減価の効果があるということですね。 

“金利”はどの程度為替に影響を与えるのか

さて、これで長く、堅苦しかった金融政策に関する説明は一通り終わりとなります。

では、今日はまとめとして、実際にマーケットで金利と通貨がどの程度関係があるのかを見ていきたいと思います。

結局の所、ファンダメンタルズとはほとんど金利動向の予測をしていくことに集約されるという話をしましたが、その“金利”がどの程度為替に影響してくるのか、それを実際のチャートを使ってみていきたいと思います。


1990年からの米ドル/円の推移

1990年からの米国と日本の長期金利差の推移

まず、上の画像が1990年からの米ドル/円の推移、下が1990年からの米国と日本の長期金利差の推移です(長期金利差は、それぞれの10年債利回りを使用しています)。 

1985年のプラザ合意から、バブル崩壊を経て、クリントンによる日本叩き、ドル安政策、そして中国優遇政策から1990〜1994年の間は歴史的な円高傾向が進みました。

その後、1995年から見ていただければお分かりの通り、長短金利差の推移と米ドル/円にある程度の相関関係があることがお分かりになると思います(勿論ある程度、ですが)。

そして、その傾向はずっと続くのですが、またある時大きく崩壊します。それが2008〜2010年にかけてのリーマンショックです。

この時は、世界的なリスクオフ傾向により、大きく円高が進みました。その結果、金利差を無視しての推移になっていることが見て取れると思います。

そして、また直近、少し崩れているのがお分かりになるかと思います。 

米ドル/円は大きく2015年以降下げていますが、金利差はほとんど動いておりません。 

これを、そもそも2012年以降の米ドル/円の上昇が、長短金利差との下落とあっていないため、アベノミクスによる円安プレミアムが2015年から剥落したのか、現在は円高に行き過ぎと考えるのかは、考え方によるかと思います。

個人的には、現在のリスクオフ相場という観点から見ても、アベノミクスの剥落分下がっただけで、本格的なリスクオフプレミアムが円に乗っていくのはこれ以降であり、現在はほとんどフェアバリュー水準ではなかろうかと考えておりますが、これはマーケットに答えを聞いていくしかありません。

米国大統領選の結果を受けて米ドル/円はどう動く? 

さて、この原稿を書いている時点ではまだですが(11/4のため)、11/8には米国大統領選があります。

ここでの結果によって、またこの金利差と離れた動きに一時的にはなっていくのかなと思います。 

ですが、米国による大きな政策転換、金融危機、アベノミクスのような日本の大きな政策転換が起こらなければ、基本的には金利差に大まかには準じた動きになっていることが、過去のチャートをみてもお分かりになっていただけたと思います。

今後も基本的にはファンダメンタルズは金利をみていくものだ、ということに注意して、知識を磨き、分析を深めていっていただければと思います。

次回予告 

では、次回からは今までのおさらいとして、マーケットが考える米国の金利水準を計算する方法と、現在のFRBの金融政策に対する考え方をみていき、その後米国の個々の経済指標を紹介して、どのように金利と結びつけ、トレードに応用していくかのお話しをしていきたいと思います。

ただし、次回もしトランプ大統領が実現していれば、番外編としてタイムリーにトランプ大統領を念頭に置いたトレード戦略を考えていきたいと思います。

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