首相就任直後に代理首相を任命
英国の法律では、「副首相」は存在しません。そのため、首相は就任直後に「代理首相」を選びます。公用などで国をあけるときは、毎週水曜日に議会で行われる首相への質問コーナーPMQ(Prime Minister’s Question Time)で代理首相が議会に登場します。それ以外でも、首相の執務継続が難しくなれば代理首相の出番となります。
英国の首相は辞任や死亡、あるいは国王が首相を辞めるよう言い渡したときに不在となります。英国法では、首相は国王に対し最もシニアなアドバイザーという役割を兼任しています。また閣僚間にも「位」があり、閣僚会議で座る位置で示されます。
一般的に、英国では首相の次に位が高いのが「筆頭国務大臣(First Secretary of State)」であり、現内閣ではドミニク・ラーブ外務大臣が兼任しています。ただし、筆頭国務大臣だからといって自動的に代理首相にはなれません。首相が正式に「代理」を任命する必要があるのです。
もし首相が不在となった場合、そのときの内閣(与党)が過半数以上の議席を持っていれば与党内で新首相を選び、国王に報告して承認されると晴れて新首相誕生となります。人選については、候補者の健康状態、経済や財政に対する考え方など、あらゆる面について全員が納得できる人物を厳格なコンセンサス方式を取って選びます。
場合によっては党首選が実施され、数週間の遅延が生じることもありますが、その場合は「仮のリーダー」を選出し、暫定首相とします。
筆頭国務大臣と副首相の違い
2010年、キャメロン政権は保守党と自由民主党との連立政権であったため、自由民主党のニック・クレッグ党首が副首相というタイトルを得ました。副首相と筆頭国務大臣では、与えられる仕事内容や権限の大きさが違います。
米国の場合、大統領に何かあれば副大統領が自動的に大統領に格上げされます。しかし、英国法では副首相とは名ばかりで、副首相であれ筆頭国務大臣であれ、首相がいなくなったときに自動的に首相になれるわけではありません。
副党首は首相の代わりになれる?
第一党の党首(=首相)が不在となれば、同党の副党首が首相の代わりとなれるのでしょうか? 答えはNOです。というのも、英国の政党の多くは副党首がいないからです。現在の与党である保守党にも副党首はいません。
なお、最大野党の労働党には副党首職があります。しかし、仮に労働党が与党であったとしても、党首(=首相)不在の場合に副党首が自動的に党首になれる仕組みにはなっていません。労働党の場合、そういう状況となれば党幹部会を開催し、そこで一時的な党首を選び、仮首相として党首選を実施します。
英国議会では、毎週水曜日にPMQがあるため、首相が国外に出るときには留守中の代理役を設定する義務があります。その一方で、必要とあれば世界中のどこにいても首相は英国のトップとしての仕事ができる保証もあります。
冷戦時代には、首相が核シェルターに入り自分の身の安全を確保しなければならない場合を想定し、いざというときのために「シェルターに首相が入ったときの代理首相」を任命していました。
代理首相が実際に執務をこなしたことが過去にあるのか?
1953年、ウィンストン・チャーチル首相は心臓発作を起こしました。これについてはほんの数人にしか知らされておらず、閣僚でさえ気づかなかったそうです。当時、チャーチル首相は自分に何かがあれば、アンソニー・イーデン外務大臣に代理首相をお願いしていましたが、そのイーデン氏も同時期に米国で突如倒れ、ニューヨークで手術を受けることになってしまったのです。
代理不在と知ったチャーチル首相は、心臓発作であるにもかかわらず、まるで何事もなかったかのようにそのまま執務を続けました。専門医は驚いて止めたのですが、翌月には病気をほとんど感じさせないほど回復したというから驚きです。
※この記事は、FX攻略.com2020年7月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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